それじゃ、話が違うよ。 | ★コピーライターが思わず ! となったコピー。

それじゃ、話が違うよ。

1年ほど前の新聞記事、携帯電話と消費行動
について、こんなエピソードが紹介されていた。
 
携帯サイトである焼酎を発売した。その時のコピーが
酒が笑うんですよ。魂を込めるほどに
しかし注文はわずか。ところがコピーを
先着300名様限定!」に変更したところ、
あっという間に完売したとか。
 
希少性の法則、限定マーケティング
とても分かりやすい事例だ。
担当者によると、最初のコピーには
けっこう自信があったとのことだが、
わりとありがちな思い違いをしている。
 
ビジュアルも含めて、実際にどんな表現
だったのか、また商品の詳細を知らないので
とぼしい情報での推察になるけど、
この場合、広告の目的と表現にミスマッチが
あったのではないかな。
 
たぶん携帯サイトの通販のようなので、
その場で売らなくちゃいけない。
店頭のPOPのような引きが欲しいところ。
そう考えると、最初のコピーは抽象すぎて分からない。
分からないものはBye-Bye!
 
広告には目的がある。それによって、
期待される働きも変わってくる。
さらに媒体の条件によって、商品によって
とさまざまな要素がからんでくる。
当然、コピーもデザインも変わってくる。
 
広告が効かないといわれて久しいけれど、
目的と表現が合っていないために、
効いていない事例も多くある。
 
先の焼酎のコピーの例も、たぶん
その場で、すぐに売るというリアリズム
表現に欠けていたのだろう。
 
リアリズムに徹したコピーなら、
通販(ネット、紙媒体)の広告表現が一番である。
試行錯誤を経て精度を高める努力、気がつけば
いろいろやってますねー。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 

 
 
 
 
いつもとは違う、ちょっと変則的なやつでいきます。
ライスフォースという化粧品のバナー広告より。
ヤフーでは、よく表示されるので見たことの
ある方も多いんじゃないかな。
 
メッセージを読むと、30歳代の女性に向けたもので
あることが分かる。○歳に見えない~という興味を
そそるようなコピーは同じだが、使われている言葉には
それぞれ違いがある。
 
見てみると「通販限定」「400万本突破」「大ヒット」
「売れ筋」「体験談[写真付]」といったように、
訴求のポイントは似ているが、意味やニュアンスの
異なる言葉を用いて、違いを出している

 
どの広告からのクリックが多いか、すなわち
どんな表現(あるいは言葉)に反応するかを
比較
するために行っているわけ。
そして、なるべく反応が高い、精度の高い表現を
見出そうとしている。
 
さらにクリックした後に行くランディング先の
ページだが、僕が試したところどちらの広告からも
同じページへとぶ。
したがって、これはバナー広告のキャッチコピー&
デザインのテストだね。次いこう!
 

↑の広告は、同社の40歳代、30歳代向けの広告。
ランディング先のページには、商品を使った体験談が
掲載されているが、40歳代向けのほうは40歳代の、
30歳代向けのほうは30歳代の体験談がトップに
載っている。バナー広告とランディングページの
内容が一致
しているわけだ。
 
細かいが、大切なこと。バナーやリスティング広告で
アクセスを集めたものの、ランディングページの内容や
表現とミスマッチ
しているため、結局そこで読み手を
離脱させてしまう
ことが多いと聞く。
行ってみれば、話しが違うじゃない!とガッカリさせて
しまうんだね。
 
サッカーでイメージすると、ゴール前、ドンピシャの
クロスなのに、シュートを外すといったイメージだね。
聞こえてくるのは、あ~というサポーターの落胆の声。
 
これはネット広告だけの話ではないぞ。
たとえば、キャッチコピーとリード、
ボディコピーのリレーション

あるいはダイレクトメールにおける、封筒の表現と
中に入っているレターやブローシャの表現の連動

コピーだけでなく、デザイン(写真、レイアウト)
の影響も大きい。
 
ゴールを決めるまでの最適な説得のシナリオを
どう作るか、それは仮説を立てテストを重ねて
精度を上げていくしかない。
 
上の例のように、異なったバナー広告の表現で
キャッチコピーやデザインのベストな表現を
抽出する方法
もあれば、共通のバナー広告を
用いて、異なったランディングページを
設定し、購入や資料請求などゴールの精度を
比較
する方法もある。
 
こうしたテストによるノウハウの蓄積は、
今後増える携帯電話でのモバイル広告、
テレビのデジタル放送下のCM(映像・音声)
でのアプローチにも役立つんじゃないかなー。
 
サッカーの釜本邦茂さんは、決定力を上げるため
には、ゴールから逆算してプレイを考えろという。
広告も同じですよね。ん?
さぁ練習、練習!

やっているとこは、やってますぞ。
 

おや、サイバーエージェントさんも。

 
 
練習するときはネタに使ってくださいな。

「売る」コピー39の型/有田 憲史

¥1,554
Amazon.co.jp