コトバに花を、そしてスゴ味を。 | ★コピーライターが思わず ! となったコピー。

コトバに花を、そしてスゴ味を。

よく物忘れする人に言いますね、「このトリ頭!」なんて。
3歩歩いたらきれいさっぱり忘れてコケコッコ~。
でもね、カラスはお利口だそうで。意地悪した人間のことを
覚えているっていいます。デスノートも持っていたりして。
僕も仕返しされたことありますし。パンチ!
 
ついでに、まったくカラスだけにクロウしますねって
ダジャレも言っておきます。(カラスは英語でcrow、
念のため言っておきますぞ)
 
豚肉を食べるとき 僕はお箸で肉をつまみながら、
この資本主義のブタめ、醜いブタめ!いただきまーす」
と言って敬意を表します。(これはウソ)ブタ
 
イヌ。わんこと言うとカワイイけれど、犬死とか犬侍とか
侮る表現にもよく使われますね。まぁ「わんこ死」なんていえば
ちょっとは侮蔑感が減るような気が。イヌが蕎麦を食べたら
わんこ蕎麦。なんちゃって。あ、失礼。
 
ごますりや腰ぎんちゃくのことを
○○のイヌめ!」と軽蔑したりします。
でもね、警察犬に「警察のイヌめ!」と言っても、
怒んないと思いますよ。「その通りですが何か?」と
吠え返されるのがオチ。たぶん。わんわん
 
野菜はどうかな?
太めの足のことを「だいこん足」と、昔よく言ったもの。
でもね、腹のすわっている人に言ってもあまり効果ありません。
「あら、そんなに白い?」と返され「バーカ」と言われる始末。
 
これも最近あまり耳にしないけれど、叱るときに
「このボケナス!」や「どてカボチャ!」なんて
野菜に失礼なフレーズもありましたね。
ナスやカボチャが聞いたら「なにさ、ポリフェノールも
カロチンもたっぷりなのよ、人間なんてコレステロール
ばかりじゃないの」と噴飯ものですよ。
 
美人のことを昔は、立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、
歩く姿は百合の花
なんて、粋でイメージしやすい言葉で
言い表したもの。まさに言葉に花、花鳥風月黄色い花
 

それに比べて、チキン野郎(臆病者)、どろぼう猫
金髪ブタ野郎(by泰葉)、イモ野郎等々…と
悪しざまに言うときの表現と言ったら
人間の上から目線というドライブがかかりまくり。

自然への敬意が欠けていますね。
 
なんだか人間ってえらく傲慢じゃないですか?
物事のたとえに、動物や野菜など自然の生き物(それも大そう
世話になっているのに)を使って、言葉にスゴ味をきかせようとする。
でもね、そのくせ大臣なのに空気や漢字が読めないとか、副大統領を
めざそうとする人がアフリカを国名と思っていたりとか…。
まったく、トリのことなんてバカにできないと思うんですけど。
 
そう言えば、そういう人たちの頭のことを
ある野菜に例えたりしますよねー。
なんでしたっけ?
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
「スゴ衣」は、
ピーマン2個分の軽さ。
スゴイあったかい
ワコールの肌着です。
 
 
ワコールの肌着「スゴ衣」というスゴイ商品名の広告より。
商品名にも驚いたけれど、ピーマンにも驚く。
肌着の広告になんでピーマンの写真が?と
思わずクギづけになった。(そこがミソ)
 
ピーマンもね、よく呆れるような失敗をした時や
頭の回転がさえていない時に登場しますよね。
「お前の頭はピーマンか?」なんて。まぁ中身が
スカスカだから、ピーマンの肉づめという料理が
成り立つわけで、世の中持ちつ持たれつってことだよな。
 
さて、たとえにピーマンを持ってくるという
意外性だけに目を向けがちだが、商品の特徴の軽さを
分かりすく表している
ところは、実に基本を押さえて
いるという点で見逃してはいけない。
 
すごい軽いとか、着けていることを感じない軽さ
等と曖昧な表現、あるいは重さ66グラムと数値を
出されても、なかなか想像しづらい
もの。
受け手にすばやくくっきりイメージさせることは、
コピーで大切
なこと。
 
この場合は、ピーマンという比較対象を
引用してそれを実現。
強調したいことは、あいまいな形容詞より
例を挙げたり、具体的に描写して
分かりやすくする
こと。
 
よく分からんなと思われてしまうと(=想像できない)、
スルーされ、商品との間に架けられる欲望のハイウェイは、
工事の途中で崩れ落ちてしまう。
 
たとえ受け手がピーマンな頭であっても、受け手の
想像力増幅装置のスイッチを押すのがコピーの

(そこに使われる言葉)重要な仕事だ。
もちろん、イメージ増幅は早く起動させなければ
いけない。だから自分の知性や受け手の
IQを試すかのような連想テストのような
表現は避けないとね。
 
それと新商品だからでしょう。商品名(スゴ衣)、
ブランド(ワコール)、スゴイあったかい、軽い
と商品を簡潔に分かりやすく伝えている。
そんなものがあるとすればだけれど、
折り目正しいコピーの文法の手本のようで。
 
わずか30文字くらいで上手にはじめましての
自己紹介。1球目は速球ストレートでOK。
(すでに市場に類似商品がいろいろあって
違いが出しにくい状況だと、変化球が必要だけど)
 
なんてことは、何度も言ってきたけれど、
人間も忘れやすい動物だし、僕も時々忘れるんで
今一度、言っておきますよ。
 
これを読んで数分後、きっと「あれ、なんて
書いてあったけ?」と首をかしげるはずだし、
24時間後にはきれいさっぱり消去されているかも。
 
仕方ないですね。
なにせ、きっと僕もあなたもトリ頭ヒヨコでございますから。
 
 
プレゼントおまけ
こんな引っかけがありましたね。
「牛はビーフ、豚はポーク、じゃあ鳥は英語で?」
「チキン!」
「ブッブー、鳥は英語でバードですぅ」