そうだったのか、ソーシャルメディアマーケ | ★コピーライターが思わず ! となったコピー。

そうだったのか、ソーシャルメディアマーケ

ドラッカーの有名な言葉、
何によって人に憶えられたいか。
この言葉の意味するところは、
自らの強みといった自分にとって
重要なことを知ることによって、
まず所を得よと教える
(ドラッカー研究家、上田惇生)
 
つくづく鋭い言葉だと思う。
毎日のように情報が大洪水のように
流通している今、どのように
記憶されるかということは、
とりわけ仕事では、大きなテーマだ。
パワーブランドや人気のある商品や
会社、人もそう。
みな何かしら強烈なイメージと
一緒に憶えられている。
 
「所を得よ」をマーケティング寄りに考えれば
「ポジショニング」のことだろうか。
ポジショニングとは、見こみ客の心のなかに、
その商品の位置づけを行うこと。
 
情報社会(もはや災害が起きるほど
情報大洪水時代だ)で成功するためには
現実に即していなければならない。
現実とは「消費者の頭の中に
既にあるもの」だ。

 
ポジショニングの基本手法は「消費者の
頭の中に既にあるイメージを操作し、
それを商品に結びつける」
(ポジショニング戦略、A・ライズ&J・トラウト)
 
ざっくり言うなら、
○○といえば○○とお客に知覚させること。
レッテルを貼ってもらって、記憶の片隅に
格納してもらうイメージ。

 
良くも悪くも、このレッテルは一度貼られると

なかなか剥がれない。つまり、はがして
新しいものと替えるのは並大抵のことではない。
 
たとえばシャープのスローガンは
「目指してる、未来がちがう。」
だけれど、まだほとんどの人が
「目の付けどころが、シャープでしょ。」
と憶えていると思う。

 
先日のスターバックスのどこか中途半端な
ロゴ変更についても、それを非難するファンも
たんに好みだけでなく、スターバックス=
エスプレッソのコーヒーチェーンという
レッテルの変更に戸惑ってしまったからかもしれない。

 

★コピーライターが思わず ! となったコピー。-stb
 

おしゃかになったGAPのロゴ変更もそうかも。
不評だからといって元に戻したその性根も

どうかと思うけど。
 
★コピーライターが思わず ! となったコピー。-gap

ところで、会社でも人でも自分が思われたい
イメージと他者が思っているイメージというのは
必ずしも一致しない。
それがうれしい場合もあるし、がっくりする場合もある。
(だいたい、後者の方が多いのでは?)
もっともパワーブランドや人気企業がそうであるのは
自他のイメージが一致しているからだろう。
 
まぁ自分について、他人がどう思っているのか
それを聞き出すのはちょっと勇気のいることだが、
企業だとそう難しくない。
たとえばこんなキャンペーンで聞いてみるとか…
 
 
★今回のビックリマークコピー問いかけ。
 
 
無印良品といえば?
 
 
無印良品有楽町の10周年キャンペーンの応募に
使われたテーマというか、問いかけだ。
このキャンペーンは、ツイッターとFacebookを
使って行われた。
 
応募者は、無印良品といえば○○○と自分が
思っているイメージなり、商品なりを書いて
ツイッターとFacebookに投稿する。
投稿すればもれなく割引クーポンがもらえる
というもの。



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これをソーシャルメディアを使った来店促進の
マーケティングの施策と捉えてもいいのだが、
僕はこの問いかけのフレーズにおやっ?
と思ったものだ。
池上彰さんなら、「いい質問でね~」
と言うかもしれないポイント。
 
無印良品といえば?という問いは、
無印良品サイドからみれば、無印ブランドが
どのように記憶されているのか知ることができる。
そこには思わくどおりと納得するものがあれば、
意外な発見もあるだろう。
 
これらの声は、宣伝や商品開発のヒントにも
なるし、無印のメッセージがきちんと
浸透してるかどうか判断する材料にもなる。
ポジショニング、あるいはリ・ポジショニング
にも役立つはずである。
 
一方、投稿する人やファンサイドから

すれば、宣伝のメッセージにもなる。

他の人の投稿を見ることで「私の知らなかった

無印」「そうだったのか!無印」を知ることが

できるわけだ。
 
実際に投稿内容をみてみると、
無印良品といえば「シンプルイズベスト」、
「機能美の極致」、「バームクーヘン」、
「私の毎日の定番服」…と様々。
ちょっとしたレコメンドになる。お客は
キャンペーンで手に入れたクーポンの
使い道ができるわけだ。
その意味では、とてもいいキャンペーン
テーマだと思った。
 
ソーシャルメディアを使ったマーケティング
の好事例のひとつになると思うが、
パーツを分解すると、その中身は
顧客、ファンの声を使ったアプローチ
ということもできる。

 

広告に、販促物に、WEBに顧客の声を
載せるという手法自体はとくに珍しいもの
ではなく、よく使われてきた方法だ。

 
ただ、ツイッターやFacebookを使うことで
声を集めること、宣伝をすることが
同時にオープンにできたことは、メディアの
特性をうまく活かしていると言える。
 
無印良品は、ツイッター、Facebookを使った
タイムセールなどソーシャル
メディアを上手に使っている企業のようで
手法ありきみたいなことになっていないのがいい。
 
ブログもそうだけど、新しいメディア(タッチポイント)
が出てきて、それをマーケティングに使うのは
とてもいいことだと思う。

 

しかしマーケティングのストーリーを考えないで、

魔法の手法かなにかと勘違いしてうまく使えて

いないケースも多い。
まずは作戦とフォーメーションを考えて
ほしいのだけれど。

 
結局、グル―ポンなどのフラッシュマーケティングの
使い方も、ストーリーの最初の点にすぎないのに
集客から儲けることまでを、すべて一発で
やろうとするからおかしなことになるのである。

 
線とか面で考えないで、点で考えるからてんでダメね
となってしまうわけだ。
 
参考になると思うが、企業のソーシャルメディアについての

調査データがある。
企業のソーシャルメディアの活用割合は増加傾向らしい。
でも、ツイッター利用者の企業公式アカウントフォロー数は、
平均3つ。ゼロも3割強
と消費者は冷静だ。(そして薄情で浮気者)
 
まぁ、理想と現実にははざまがあるもの。そこのところを
おり込みずみでやらないと挫折するだろう。
フォローが少ないとか投稿がないとかガックリして
疲れて止めることになっている企業も少なくないよね。

 
それよりも、冒頭のドラッカーの言葉のように
何によって人に憶えられたいかを確立することが先だ。
それにしても、無印良品ってつい無印商品と

書いちゃうんだな。