★コピーライターが思わず ! となったコピー。 -32ページ目

困った時は、あなた。

業界も目的も違う次のコピー。
唯一の共通点は…

★今回の!なコピー。

証券DNAを
受け継ぐ
あなたへ。



会社のシステムには
ずいぶん投資しているのに、
効果があまり実感できない。
というあなたへ。



最初のコピーは、日興コーディアル証券
人材の募集広告。
二番目のコピーはNTTデータの広告。

共通しているのは、<あなたへ>という表現。
こういう表現は、コピーの効きを高めたい時に使う、
奥の手のようなもので、いわばコピーライティングのコツ。
ダイレクトメールのレターなど、
ダイレクトマーケティングのツールのコピーに、
よく<あなた>が使われることが多い。

私もたまに使うのだが、困った時の<あなた>という
感じで、コピー案が出尽くした時に、<あなたへ。>とか
そんなあなたのために。>等となかば苦し紛れに
書くことが多い。
(で、そういうコピーに限って、お客さんが気に入ったりする)

この<あなた>という表現、メッセージを受け取る
側から考えると、自分だけに向けたメッセージという
錯覚を心理的に起させてしまい、メッセージを無視できなく
させるのではなかろうか。

本当は、不特定多数に向けたメッセージなのに、
<自分に対して言っている>という気にさせるのだ。

…と科学的な根拠もなしに言うのだが、
『広告の天才たちが気づいている51の法則』という本の中でも、
重要なことば、それは「あなた」>というパートのなかで、
あなた>という言葉は、想像力をかきたてられると書いている。
自然と反応してしまうのだな、<あなた>と言われると。

さて、歴史的に最も知られている、<あなた>の入った
コピーかどうかは分からないが、第1次世界大戦時の
アメリカ陸軍の徴兵ポスターなんかどうだ。
コピーは、

I WANT YOU
for U.S.ARMY


星条旗の星のついた、シルクハットを被った
オッサン(アンクルサム)が、「そこのあなた」と
指をさしているイラストのやつ。
世界史の教科書や参考書などで、
一度は見たことがあるかもしれない。

ちなみにアンクルサムとは、アメリカ合衆国の愛称。
<アンクルトム>とよく間違いそうになる。
こちらはストウ夫人の小説「アンクルトムの小屋」に
登場する黒人、いやいやアフリカ系の男である。

この徴兵ポスターのI WANT YOUや、
あなたへ>と指差すアンクルサムに
触発された若者が入隊の応募に
殺到したかどうか、そこまでは分からない。

しかし、かなり野郎どもの血をたぎらせたのではないか。
「そうか、国は俺の力を必要としているのか。
よーしお国のために、一丁やるぜ!」と。

あなた>という言葉が、
メッセージの効きを良くする効果があると
知った上で、このコピーにしたのなら
こわいことだ。
マーケティング先進国ゆえにやりかねない。

勉強熱心なあなた、
どう思うよ?

珠玉?のコピー、たな卸し2回目。

今回は、コピーのたな卸しの2回目。
取り上げようと思っていたが、本人の勝手な都合により、
紹介できなかったコピーを一挙放出。

他のコピーライターの方々が、ある時は苦労しながら、
ある時は、ダメだしされながら、ひねり出したであろう
珠玉?の一発をご覧あれ。

●その1

牛丼を愛してくれて、ありがとう。
たった一日だけで、ごめんなさい。


ご存知、吉野家の広告。一見1日だけの牛丼復活デーに
来てくれたお客さんへのお礼のようだが、
実は、輸入の正常化に慎重すぎる、政府に対する抗議の広告とみた。
アメリカの新聞にも出稿すればいいのに。

●その2

お奨めする理由は、
利回りだけではありません。


UFJ銀行の外貨建債券の広告。最大のウリである利回り以外の
ウリとは何か?とつかむコピーの例。

●その3

1825年から、いつの時代も
最先端の美しさをあなただけに。


1825年に!となったが、日本は江戸時代、文政8年。
岩倉具視が誕生。どうでもいいか。
伊勢半(伊勢丹とお間違いのないよう)の広告。

ついでに、その100年後(大正14年)。

1925年のキューピーマヨネーズ。
それは、どんな味がしたのでしょう。


濃厚な味だったとか。
3月1日は、日本初のマヨネーズ誕生の日。
その3日後に生まれたのがポール・モーリア。知らんか。

●その4

島。
都心。


さて、どこでしょう?

インターネットで<芝浦の島>と検索させるための広告。
全15段2色という予算をかけて、ただそれだけ。
目的を絞り込んだ
マーケティングのための広告のお手本。
私もさっそく検索。わりと楽しいサイトであった。
<芝浦アイランド グローブタワー>の広告。

●その5

感動のないものは造らない。

住友ゴム工業㈱の広告。本当ですね、お願いしますよ。

●その6

採用担当者様。
工学院大学就職支援センターが、
求人活動のベースキャンプになります。


工学院大学の広告。大学もあの手この手で大変だ。

●その7

一生の出会いは、二度と訪れない。

マンション「ザ・ハウス南麻布」の広告。
私の一生の出会いは、小林麻美と松坂慶子に
サインをもらった時。そんな私は松坂世代。

●その8

無意識に視界から消えていくクルマがある。
無意識に胸に焼きついてしまうのは、
NEW Audi A4。


アウディA4の広告。惜しい。NEW Audi A4と自分で言わずに、
見る人の判断に委ねればいいのに。

…と思っていたら、

ドイツを制したのは。

アウディのラインナップの広告。
本国ドイツで4階級制覇(伝統のある自動車の雑誌の読者投票にて)
で自信満々。ということは先の胸に~のコピーは、
ちょっぴり不安だったということか。

●その9

社会人のマニュアルを読むより、
一生の宝物になる本を選んでみませんか。


ベストセラー<Good Luck>の広告。
一生の宝物?私の場合は、小林麻美と松坂慶子のサイン。

●その10

日本全国無料の旅。

会員制のリゾートクラブ<エクセレント24>の広告。
おお!と思ったものの、入会金\1,837,500なり。

●その11

外貨の話だからって、
時差なんかありません。


シティバンクの外貨預金の広告。
365日24時間対応といってしまえば、味も素っ気もない。
そういわないところがうれしい。

●その12

資源のない国は、
技術にしか頼れない。


求人情報誌<エンジニアType>の広告。そう言っているわりには、
日本の企業は技術者に冷たかったのではなかったか。

●その13

世界一と世界初がここにある。

沖縄美ら海水族館のキャッチコピー。
人工尾びれプロジェクトで話題になった、
バンドウイルカの「フジ」もいるよ。


●その14

ギター殺人者の凱旋

ロックの名盤ジェフベックの<Blow By Blow>の
CDがペーパースリーブで復刻。その帯にある
邦題も復活。懐かしい!
で、ギター殺人者って?今でもよう分からん。

…ふう。

さて、あなたの心の琴線や
涙腺にふれたコピーは?

最後に、オスカー女優にして、
今年ラジー賞(最悪の作品や演技に贈られる)も
受賞してしまった、ハル・ベリー姐さんのお言葉。
わざわざ授賞式にまで出席した、
その理由についてこの一言。

「子供のころ、母から
『胸をはって負け犬になれないものは、
勝者にもなれない』って言われたからよ」



くぅ~、さすが姐さん。
ついていきます。

ライク・ア・ベッカム。

先日インクジェットプリンターの台数シェアについて、
キヤノンが8年ぶりにセイコーエプソンを抜いて首位とニュース。

置けちゃう~♪ 置けちゃう~♪と柴崎委員長率いる
<置き楽委員会>の奮闘も、レーザープリンタでは検討しているが、
インクジェットのチャンピンベルトまでは守れなかった。
最近徐々に、大人っぽくなってきた、
インクジェット担当<あやや>の巻き返しはなるか。

エプソン内では、キヤノンを抜いちゃう~♪抜いちゃう~♪と
連呼しているかどうかは分からないが、そのエプソンの次世代の
技術が、先日テレビ東京の情報番組「WBS」で取り上げられていた。

話はいきなり変わる。
<ベッカムに恋して>という映画。
ベッカムに憧れる、インド系イギリス人の
サッカー少女とその家族、友人たちを描いた
青春映画なのだが、その原題は

BEND IT LIKE BECKHAM

ベッカムに恋して>ではない、
bend it、そしてLike Beckham
つまり<ベッカムのように曲げろ>である。
ご存知ベッカムの右足から蹴られた、ボールの
弾道の曲がり具合は、それはもう芸術的。
右足一振りで、過去、イングランド代表や
所属チームが何度救われたことか。

さて、エプソンの新技術とベッカムのキック
一見無関係のようだが、実は本当に関係ない。
すまん。
だが、共通項はあるのだ。それが

Bend it!

曲げろ!>である。

★今回の!なコピー。

プリンタのインクジェット技術が、
未来をどんどん薄くする。


このエプソンの広告では、プリンタの技術を応用して
開発した超薄型の回路基板について説明している。
これと同じことだと思うが、薄くて曲げられる!フィルム状の
超小型演算処理装置(MPU)
を開発したことが先の「WBS」や
新聞などで伝えられた。
このMPUによって、曲げられるディスプレイ
丸めて持ち運んだり、複雑な形状に張り付けられるパソコン
実現できるのだと。

まさに<bend it>である。いつのまにか次世代の技術開発は、
<曲げること>に、しのぎをけずっていたのだ。
昨年末、東大で折り曲げ可能な<シート状のスキャナ>が
開発されたことが発表されたし、同じ時期には、東工大で、
曲がるTFTディスプレイ>の実現の道が開けたと発表。

ベッカムの右足から放たれる、あの芸術的な
曲がる(そして落ちる)ボールのごとく、
日本の優れたエンジニアたちも、曲げることに夢中に
なっているのだ。
つまり合言葉は、bend it!

なんとも強引なこじつげだが、
どちらも曲げる技術ということで
ゆるしてもらいたい。

こうした技術が、実用化するのは
3~5年くらい先だということだが、
そのうちに、曲げちゃう~♪ 曲げちゃう~♪
と連呼しながら、柴崎委員長が日本中のオフィスに
現われるのではないと期待してしまう…

ま、そんなことは起きないな。

余談だが、「ベッカムに恋して」は、
インド系ゆえの伝統にしばられながらも、
サッカー選手という夢を追う少女の健気さと
家族の絆がユーモアラスに描かれ、
最後にホロリとさせられる、キュートな小品である。

いつも高橋には、ドキッとさせられる。

ああ痛恨の深酒 パンツの乱

…と女性セブン最新号の広告の見出し。
モーグル選手、里谷多英の例の騒動について。
それにしても<パンツの乱>というセンス!
女性週刊誌の見出しには、
いつも人をワクワクさせるものがある。

舞台となった六本木のクラブ、
色とりどりのパンツが、
桜ふぶきのようにひらひら舞う中、
アクロバティックな、エアを
びゅ~んと決める多英が目に浮かぶ。

それにしてもだ。
壬申の、平治の、応仁の、島原の
大塩平八郎の…とこれまで様々ながおこったが、
いずれも、NHK「その時、歴史が動いた」的な
スケールであった。

まぁ、自民党の<加藤の>という
ショボイものもあったが、今回の
パンツの乱>はそれをまた下回る
ショボさである。
加藤のと同様、歴史から消えて欲しい
>ではある。
黒澤明も天で嘆いているだろう。
まぁ、言葉のセンスは面白いけど。

もう放っておいてあげなよ、
彼女もいい大人なんだから。
取材等に「セックスはしていません」と
言ったとか言わなかったとか。
そこまで苛めてどうする?

お口直しにというわけでないが、

★今回の!なコピー。

「4月になったら
私も高橋よ」
と彼女は言った。


高橋書店の新作手帳の広告。4月、つまり新年度から
使える手帳の広告である。
この高橋の広告が好きだという人は多いのではないか。
いつも、コピーに!となってしまう。
?と一瞬で心をつかみ、そのほんわかとした
ユーモアに!となるのだ。

昨年の春は、

4月になったら、私も高橋だ。

だった気がする。
その他にも、

今日、高橋を失った。

いろいろ浮気をしたけど、やっぱり高橋が一番だ。

(うろ覚えなので、間違っているかもしれないが)
高橋には毎回、楽しませてもらっている。

情緒のあるコピーが少なくなった今、
このスタイルを貫いてもらいたいコピーのひとつだ。

この高橋の広告、コピーの表現もいいのだが、
コピーそのものを際立たせるデザインが、
コピーライターとしては、うれしい。
シンプルで、でかでかとコピーが心地よさそうに
座っている。

いいコピーであっても、ちっともそれが
目だたないデザインになっている広告も
少なくない。

コピーライターの中には、その点で
デザイナーとぶつかった経験がある方も
多いだろう。私もたまにある。
コピーに鈍感なデザイナーと組む時は、
つい警戒してしまう。

昔、カンヌでグランプリを受賞した
メルセデスベンツの1行もコピーのない
広告
(雑誌PEN2005年2/1号85Pをどうぞ)
があるように、広告は、必ずしもコピーと
ビジュアルがなければいけないとは
思わないが、コピーがあるのに粗雑に
扱われるのは、我慢ならないのである。
よいこのコピーライターは、
みんなそう思っている。

だが、高橋の広告のデザインは
コピーを大切にしてくれているので、
うれしいのだ。

もっとも、高橋の広告の場合、
コピーがすべて、ということもあるのだが。

生きるスタンスを問われるコピー。

誰しも、全くついていない日というのが
時々あるだろうが、私の今日はまさにそんな日。

こういう日は、おとなしくしておくか、
気分転換するのが、一番である。
…と頭で分かっていても、気分はうんざり。
いまいちやる気がおこらず。

それに比例するかのように、仕事への
モチベーションが少しづつ下がってくる。
そうなると、ああ楽したい、適当でいいや。
というような気になってくるもの。

そんな私にカツを入れるコピーが…

★今回の!なコピー。

このまま人混みの流れにまかせて、
揉まれて生きていくのか。


「流されて生きていくのか」と問われ、
イヤイヤ、まだまだ踏ん張りますぞと
思わせた、このコピー。

何の広告だ?とよく見ると、

この世が、人の幸せに向かっていなくても
その流れに逆流する仕事がある。


というサブキャッチ。
採用の広告である。広告主は
イノベックスというクインタイルズ・
トランスナショナル・ジャパン株式会社
のMR(医薬情報担当者)のアウトソーシング事業

行っている事業部だ。

流れに逆流する仕事とは、どうやらMRのようだ。
なぜ、MRという仕事が、この世の流れに逆流する
仕事なのかは、この広告からは具体的には
読取れないが、MRは人の幸せに貢献していく
仕事であることを、このJポップの歌詞のような
コピーで伝えたいのだろう。

採用募集のコピーにしては、いやにあついコピーである。
ならば、私もうんざりしている場合ではない!
シャキっとせねばと一瞬思ったもの、
あれ、ところでコピーライターって
人を幸せにしているのだろうかという思いが、
脳裏を過ぎる。そして考え込んでしまった。

どうかなぁ。

今日は、なかなか前向きになれない私であった。

ついでに、人の幸せになりそうな仕事の
採用広告をもう一つ発見。

いい空気をつくる人。

空調メーカー、ダイキンの技術者を
募集している広告のコピー。

なんともシンプルで、ラブリーなコピーである。

さて、コピーライターは世の中や、
人を幸せにしているのか。

幸せにしている、はず…、きっと、たぶん、おそらく。
どうかなぁ?

今日は早く寝よう。

無視されない広告を作るには

私にとってのお客さん、つまり広告主のことだが、
お客さんと広告について打ち合わせをする際に、
いつも不思議に思うことがある。

それは、消費者は広告をしっかりと見てくれる
(あるいは読んでくれる)という自信

この情報過多の時代、よほど商品が
画期的であるとか、ブランド力があるとか、
また広告スペースが大きいとか、
何かインパクトがあれば別だが、そうでない
場合はたいていスルーされると思う。
あなたはどう?

スルーとまで言わなくても、ほんの数秒しか
見てもらえないケースがほとんど。
でも、なぜか広告主、時には広告会社の方は
どうも「消費者はウチの広告をきっと見てくれる」
いう前提でいる。どこからくるよ、その自信。

制作する側である私は、それとは反対。
つまり、広告は見てもらえない、見てもほんの僅かの時間。
という点から、広告の内容やコピーの表現を考える。

だから、いかに一瞬でコピー、あるいはデザインで、
見る人の視線と心をつかむか、そこに注力する。

広告主は、自社の広告は見てもらえるという
プラスのポジションから発想する。


私は、広告はスルーされるという
マイナスのポジションから発想する。


だから、アイデアや表現をする提案の段階で、
食い違いが発生することがある。
話し合いながら、そのミゾをうまく埋めることもあるが、
埋らないケースもある。

その場合、お客さんの方針が採られる
ことが多い。そのことに、いちいち腹を立てたりすることは
ないのだが、一応広告やマーケティングのプロとして
意見を述べているので、信用してくれてもいいのにと思う。

ストーカーと思われないで、
大好きなあの娘と仲良くなるには、
どうすべきか。


これがポイントなんだな、クリエイティブの。

★今回の!なコピー

※ご飯、みそ汁、ハンバーグは
 本体価格に含まれません。


広告主は情報機器などの販売、
保守事業を行っているグローリー商事㈱
開催中のイベントに出品している商品の広告である。
新聞全15段、2色なので、それだけでも目立つのだが、
やはり!となるこのコピーが決めてくれる。

ビジュアルは、プレートの上に乗っているご飯、
みそ汁、ハンバーグ。そのプレートの側には、
なにやらレジのような機器がある。それだけ。

実は、これが取扱商品のオートレジスター。
つまり自動精算機。簡単に言うと、
社員食堂での精算を自動化する機器なのである。
食べたいものをプレートに乗せて、
あとはこの機器に置くだけで、
精算してくれる、ICタグを使ったシステムなのだ。

こんなビジュアルなので、
一見なんのことか分からないが、
このコピーのおかげで、ニヤリとさせられ
つい目を止めてしまう。
その勢いでボディコピーも読ませてしまう。

リードコピーの一部に、

トレーを置くだけで、瞬時に合計金額を表示。
グローリーは、オートレジスターを売っています。


と書かれてあり、本来ならこちらをメインにしたい
ところだが、あえてどうでもいいような冗談を
メインに持ってくるあたりに、一瞬で心をつかむぞ
という心意気を感じる。

全文紹介できなくて申し訳ないが、
こんにちわ。営業の尾上です。「おのえ」と読みます~
始まるボディコピーも愉快だ。読ませるコピーになっている。
「フードケータリングショー」なのに、おいしいもので
おもてなしできず恐縮ですが~
とか、
~ここではできなかったおいしい話、豊富にご用意して
お待ちしております。
など楽しげである。

目立つように
尾上(おのえ)は、会場でご相談を承ります。とも書いてある。

商品に興味がわかなくとも、このイベントにいったら、
ついでにこの尾上氏を見てみたいと思ってしまう。
当然、グローリー商事のブースに足を運ぶことに
なるのだから、尾上氏もほくほくだろう。

笑いをとりながらも、ピントは外していない。
この会社、先週にも別の商品の広告を出していたが、
その時のコピー。

展示品には、
お手を触れて
ください。


と、笑わせるコピーでかましている。


大好きなあの娘と仲良くなるには、
どうすべきか。


まずは笑わせてみよう!

笑いは、マーケティングの強力な武器なのだ。

それはもう必死、PCの広告

油断をしていたら、ダジャレコピー、
しかも時間外取引きのような反則(販促じゃないよ)
すれすれなコピーを発見。

地震に自信

ニッタ㈱の建築用の免震積層ゴムの広告。
小スペースだから、見落としそうになるが、
ちゃっかりと自己主張している。

もうベタベタな表現、思いついても恥ずかしいので、
ふつうは言わないのだが、ここがニッタのえらい?ところ。
臆面もなく世に出す姿勢にハナマル。

さて日経新聞を読んでいる方は、お気づきだろうが、
毎日のようにパソコンやサーバの広告を目にする。
別にパソコンもサーバも買う予定はないので、
注意して見ていなかったのだが、
何気なく眺めていたら、ちょっと面白い。

★今回の!なコピー。

安いだけでは困る。
ソフトやメモリも必要だし、品質にもこだわりたい。
でも高いのも困る。


富士通のFMVのPCの広告。販促のための広告。
ここでは、お客の本音をコピーに落とし込んで、
あなたのこういう悩みに応えますよ、FMVはスペックも充実、
値段もお得ですよと見る人の心をつかもうとしている。

コピーライティングの基本的な手法である。
お客の本音や感想、買った理由を、
コピーで表現する方法だ。

コピーのお手本になるような例だったので、
取り上げたのだが、実は!となったのは別の表現。

サブキャッチで、

安心の日本製、しかも低価格。

というコピーがあるのだが、いつのまにか
セールスポイントとして <日本製>が強調されているのだ。

国内向けの低価格のパソコンは中国など東南アジア製
という印象が私の中にある。
私が10年前に最初に買ったパソコンは、
シンガポール製かマレーシア製だった。
別に作動に問題はなく気にもしなかった。

いつのまにか私のマインドには、パソコンが安いのは、
中国製だからという認識が定着していた。
別に品質に問題がなければ、どこ製でもいいじゃないかと。

ところがどうだ、いつのまにか <安心の日本製>
わざわざ言わねば差別化できない状況になっていたのだ。

裏を返せば、中国など東南アジア製では、
やはり品質管理(特に出荷テストなど)の面で、
国内製よりも劣るということか。
(このあたりの事情に詳しい方がいたら、教えていただきたい)

ちなみに先月のFMVはもっと、日本製が強調されていた。
その時のコピーは、

安心の日本製で、
SOHOや個人事業主を応援する
FMVバリューライン


である。この時から少し気にはなっていた。
とにかくいまやパソコンは、スペックもデザインも
同じ価格帯であれば、ほとんど差別化しにくい。

取り上げたFMVだけでなく、
PCメーカー各社差別化に苦労しているようだ。

エプソンの場合、

これからは、スピードにも保証をおつけします。

と、全製品3日間配達保証書をつけている始末。
遅れたら、5000円をキャッシュバックだと。
まるでデリバリーピザである。

今日の新聞でも、エプソンは

エプソンのパソコンは、全製品3日配達年度内には必ずお届けします。

の上に、値引き実施中である。

NECの低価格、高性能サーバの広告では、

すぐ届く2営業日出荷。

と圧倒的にスピード重視。各社年度末の追い込みに必死とみた。

<安い、早い、うまい>というコンセプトは、
もはや吉野家だけではないのである。
それにしても日本人にとって、いまだ <メイドインジャパン>
ブランドは、強いらしい。

世界ではどうか?ソニーのCEOも外国人になるわけだが。

こっちの買収劇もなかなか…

NTTドコモが、2年後をめどにPHSサービスを終了する旨を発表。
NTTパーソナルからPHS事業を継承して6年間。
その間の累積赤字はなんと約3,800億円、まぁ撤退は仕方ない。
経営資源をFOMAに一本化する、‘選択と集中’という判断は、
まったく正しい。
とうとうPHSは消えていくのかと思っていたら…

★今回の!なコピー。

ガースナーは、稲盛和夫は、
「ウィルコム」で
何を狙っているのか。


『逆転戦略』という本のオビに書かれていたコピー。
本の広告でも、でかでかとこのコピーが使われていた。
このところ、ライブドア社によるニッポン放送の買収劇

ホリエモンは、
「ニッポン放送」で
何を狙っているのか。


のおかげで、注目された記憶がないのだが、
これは、アメリカの<カーライルグループ>と、
<京セラ>が共同で、PHS事業を行っている<DDIポケット>
を買収し、先月<ウィルコム>としてスタートしたのだ。

通信サービス「EDGE」のカラフルな広告や
プロモーション
もここ最近目立ってきた。

買収や新社名はすでに昨年発表していたのだが、
どのような戦略で展開するのかは、
まだ明らかになっていなかった。

通信業界関係の方やこの業界に興味のある方には、
やはり、ルイス・ガースナーと稲盛和夫という
カリスマ経営者の動向には、たいへん興味を
そそられたのではないか。

それゆえに、コピーに
カーライルやKDDと社名を出さずに、
カリスマ経営者であるトップの名前を
出すほうが、インパクトは大きい。

稲盛和夫は、ご存知の方も多いが、
ルイス・ガースナーは、知らない方もいるだろう。
元IBMの会長であり、一時傾きかけた
IBMを建て直したことで知られる経営者だ。
私は読んでいないが、著書『巨象も踊る』は
わりと話題になっていたような記憶がある。

そんなことより、個人的に!ときたのは、
<カーライルグループ>という世界的な投資会社。

とにかく興味をそそるのは、
顧問に各国の元首や閣僚経験者がずらりと
名前を連ねていること。

パパブッシュにブッシュ大統領、ベーカー、パウエルといった
元国務長官、メージャー元英国首相…とVIPばかりが過去
顧問や理事としていたのだ。

一番話題になったのは、サウジのビンラディン一族との関係。
きな臭い話もささやかれるが、ここでは関係ないので触れない。
興味のある方は、<教えてgoo>で検索をどうぞ。

さて、カーライルグループ。国防、通信、航空といった
影響力の大きな事業を中心に投資しているということで、
なにやら軍産複合体の温床のような企業だが、
そのあたりの追求は、マイケルムーア監督か
オリバーストーン監督におまかせしよう。

ところで、<ウイルコム>の逆転戦略だが、
「弱み」を「強み」に変える経営だということらしい。
『逆転戦略』を読んでいないので詳しくは分からないが。

具体的には、PHSによる通信サービスを軸と
した事業展開のようだが、NTTドコモが捨てた
PHSをどう成長させていくのか、

ライブドア社対フジテレビもいいけど、
<FOMA VS EDGE>今後も注目(かも)。

環境にいいことをしていますか?

京都議定書の発効や、愛知万博など
この先日本は環境先進国、環境大国?への
道を歩むらしい。

エコノミックアニマルから、
エコロジカルアニマルへのシフトか。
(アニマルでなくてはいけないのか
という点は要検討だが)

莫大な借金をかかえて、経済大国という
ブランドに無理が出てきたとみるや、
「そうだ、環境へいこう」といったかどうかは
知らないが、もはや平和?な国、安全な国とも
いえず、最後のよすがとして、
出てきたのが環境。…ではなかろうか。

そんな国家の思惑はどうでも良いのだが、
やはり、小市民として何か環境保全へ
貢献しなくてはと、たまに思うのである。
こんな広告を見てしまうと…

★今回の!なコピー

使うたび、地球にいいこと。


ココロも満タンなコスモ石油の、
コスモ・ザ・カード「エコ」の広告。
入会金と給油などで支払う料金の一部が
環境保全活動に役立てられるとのこと。

「使うと地球にいい?」ってどういうこと?と
思わせる点は、つかみのいいコピーだとは思う。

意外性で引き込む。
ホテルニッコーのマイレージの広告も

眠っている間にも、マイルはたまる

と似たような表現。
ホテルニッコーに泊まる(眠る)と
マイル(ポイント)がたまるわけだ。

話がそれた。
それで、コスモ・ザ・カード「エコ」。

エコ活動はめんどうだが、何か役に立ちたいと
いう人にはうってつけのカードのようだ。
ポイントは、気軽にできるエコ、
それはお金による貢献。

自衛隊が出せないので、
せめてお金で…という湾岸戦争の頃の日本と
だぶってしまうが、戦争と環境では大違い。

とはいえ、地震の被災地でボランティア活動
をするほどの意志と行動力はないが、
ドラエモン募金には電話をして、
いいことをしたような気になっている、私のような
人間は、共感するぜぃ!と入会してしまうのだろうな。

お金を使うたびに、地球にいいことをしている。
と思うと気分もいいはずだし。
さすがコスモ石油、企画力も満タン。

いいカードだと思いつつも、
今、現在このカードには入会していない私。
なぜなら、クルマを持っていないので。

よってガソリンも使わず、排気ガスも出さない
ので、これはこれでいいわけだ。

やっぱり、やれることからやることに。
さしづめ、東京電力のでんこちゃんのいうとおりに、
まずは省エネして、CO2削減に努めます。はい。

ちなみに京都議定書発効の日に出した
東京電力の広告
コピーらしいコピーだ。

京都の約束、東京の本気。

さて、あなたのエコ活動はいかに?

世の中のすべての親と子にささげる

今日もニュースで無理心中事件を知る。
先週も、話題になった無理心中事件のニュース。
無理心中事件で何よりも心が痛むのが、
幼い命が失われること

まだものの分別がつかない小さなこどもたちが、
最も信頼している者に、命を奪われていく時、
彼らの心には、どのような思いが去来するのか。

おそらくそこには、ただただ恐怖だけしか
ないのではなかろうか。
それを思うと、本当にやりきれない。

最終防波堤としての
家族の絆、親子の絆が機能しなくなった
とは思っていないが、あっけなく
こわれる、その脆さに危惧する。

だからか、こんなコピーに安堵を覚える。

★今回の!なコピー

家族が家族で
いられる時間は、
長くはない。



一生懸命だけど
ときどき音が外れる。
この子の歌が、
今の僕の応援歌。


「家族が~」はご存知、三井のリハウスの広告。
CMでは使っていないと思うが、使えばいいのに
と思う。(使っていたらごめんよ)
リハウスすることよりも
家族について、何かしら考えてしまうコピーである。

「一生懸命~」はヤマハ音楽教室の広告。
子どもだけが通うのではなく、
親子で通えるスクールであることを
ボディコピーで伝えている。
しかも、創立以来50年ものあいだ、
続けてきたルールとだと言う。

解りあえない親子が多い時代、
音楽の力で、絆をつくるというメッセージ
だが、それよりも子どもの存在に、
いかに自分が支えられているか、
それを強く思うのでは。
(私には子どもがいないので推測だが)

こういうメッセージを目にしなければ、
なかなか家族や親子について
考える機会がない世の中であっては困る。

たかがコピーではあるが、されど、である。
このコピーが、世の中のぐらつきそうな
親や子の救いになればいいのにと
思うのは、コピーライターの傲慢か。

家族をめぐる悲惨な事件が、これだけ多いと
たとえ、広告のコピーでも冷静に見れないのである。

良いコピーには、
なにか普遍的にひびくものがあるものだ。