★コピーライターが思わず ! となったコピー。 -33ページ目

エロコピーのトレンドとは

今週発売の週刊プレイボーイの中吊り広告。
シャラポワ、安藤未姫、宮里藍、荒川静香
<アスリートごっくんピンナップ4連発>なる見出しに、
ほう、どう<ごっくん>なのか気になりつつも、
もっと気になったのが、週刊SPA!の
アダルトサイト<最優秀エロコピー>大賞

さっそく読んでみると面白いことが書いてある。
全体的な印象についての選考委員の
ストレートな表現が多いですね”
“よく言えば、脳の快感中枢に直接的に
アタックしようということ。悪く言えば、工夫のない
そのまんまなコピーが実に多い”

というコメント。

どうやらエロコピーも、
世の中のコピーのトレンドと同じようだ。
求められているのは<速効力>だ。
特にWebは、3秒以内につかまないと、
とっととスルーされてしまうので、
勝新太郎の居合のような、キレとスピード
が必要なのだ。

ところで、アダルトサイトは、ネットでの
マーケティングを勉強するのに、とても参考になるそうだ。
思わずクリックせずにはいられないコピーや
ページのデザイン、サイトの構成と、いかに感情を
動かし、行動させるか。
そこにポイントが置かれているためだ。

なぜ、自分はそこでクリックして、
そのページに進んだのか、
どの表現に心をつかまれたのか、
それらを検証すれば、マーケティングのキモが
分かるかもしれない。

知り合いのシステムコンサルタントも、
エロサイトは、最新の技術が使われている
ケースが多いと話していた。

そのうち、<誰も書かなかったマーケティングの極意~
すべてアダルトサイトから学んだ>なんて
ハウツー本が出るとみた。(外れたらごめんよ)

ところで、選考委員が選んだ大賞は、
出会い系のカキコミのコピー。

ベンツで行きます。場所を教えてください。

ベンツというインパクト、フレーズの収まり、
出会い系の進化形態の先取りという点が
高く評価されたそうだ。

この記事の中で紹介されたコピーのなかで、個人的に
!となった。というよりも笑ってしまったのは、

江藤ひなちゃんのオ×××は
ビックリするくらいのパイナップルでした


このパイナップルというセンス!

他には、いかにもコピーライターが考えそうな

等身大の彼女に恋をした

という高級ダッチワイフの販売サイトのコピー。
少し情緒のある表現だ。

さて、
★今回の!なコピー…を紹介しようと思ったが、
あまりにエロとは関係ないので次回へ。

ただ今回、エロコピーも含め、世の中のコピーは、
ストレートかつ速効、すなわちマーケティング力の
高い表現が主流になってきていることが
分かった。これは収穫?だ、仕事には役に立ちそうも
ないのだが。

日経新聞でも、宣伝会議でも
こんなニッチなことは書くまい。

買ってもらう理由を気づかせる

先週の日経新聞で読んだ広告業界についての記事。

その中で、広告主の企業による、
広告代理店(メガエージェンシー)の一本化に触れていた。
代理店側にとっては、受注の独占化というメリットもあるが、
その代わりに、企業は広告手数料の値下げを強く求めているという。
記事の中で、その理由を費用対効果への厳しい目としている。

こうした状況が続くならば、今でもそうだが、
今後ますます販売促進のための広告が増えるのだろう。

広告とは販促の手法であったり、コミュニケーションの
手法であったりと、ゴールための戦術であり、
広告はこうでなければいけないという認識は、
少なくとも私にはない。

マーケティング、ブランド、販促…といった面の中で、
広告という点をどう位置づけて、どう生かすかという発想を
広告主も広告会社もしていかないと、
短期的な費用対効果だけで、広告の是非が判断されたり、
反対に、金の無駄づかいとしかいえない
広告が作られていくのではないか。

広告のみを点として捉えることは、
広告主も作り手もそろそろ
やめたほうがいいと思うのは私だけか。

★今回の!なコピー。

母だけで楽しむ「母の日」を、予約します。

ANAの超割の広告。販促の広告である。
ただ、この商品は母の日向けの商品ではない。
広告を見る限り、母親への特典はない。
たんに、この商品の利用期間に
5月の「母の日」があるだけ。

別に母の日や母親限定という条件はないから、
何もいわないと、お母さんに見過ごされてしまう。
そこで、先のコピーである。
コピーで、母だけで楽しむ「母の日」という
提案をしているのである。

利用客を増やすために、コピーでこの記事を
見るお客さんに、この機会に、こういう利用法は
いかが?と提案しているのである。

買ってもらう理由を気づかせる広告、コピーである。

「母の日」の関連商品の広告だと、お母さんへ
プレゼントをする側にむけたものが多いが、
この広告だと、せっかくの「母の日」だから、
自分にごほうびということで、母親だけで
楽しんではいかがと、母親へ向けて、
伝えているのである。

旅を楽しむ3人の母親の
イラストがビジュアルなので、きっとそのはず。
もちろん、母の日のプレゼントとして、子供から
贈ってもいいわけだ。

販促の広告だと、
安いとかお得とか、メリットばかりを
強調するものが多いが、
母だけで楽しむ「母の日」といったように、
使い方を提案して、
買ってもらう理由に気づかせる
のも
販促に効くコピーのポイントである。

意外に、私たちは、言ってもらわないと
買う理由に気づかないのだ。

そこをコピーで突くと、広告の効きを高める
ことが可能なのである。

日本の教育問題はこれだ

先週から、“てんてこまい”モードへ突入。
なるべく毎日更新することを心がけるが、
力尽きることもあり。
いつも読んでくださっている方へ、
申し訳なく候。

今回の!なコピー。

無競争社会の子供たち。

小中学生を対象とした学習塾、栄光ゼミナールの社内広告。
ここの広告は、いつも電車のドアの上の小スペースで展開している。
いつもコピーのみで、ビジュアルはロゴマーク以外になし。

学習塾だと、カリキュラムや学習環境のアドバンテージを
強調するが、ここは毎回日本の教育問題を、
キャッチコピーで投げかけている。

先のコピーも、現在の学校教育における
5段階評価について、
あいまいで、無競争状態にあることを指摘し、
健全な競争の必要性を
説いている。

コピーの表現としては、ストレートであるが、
ひきこみ方、つかみ方はうまい。
少し前だと(正確ではないかもしれないが)、

2006年問題。

というコピー。
学力低下で何かと話題になっているゆとり教育。
この教育で育ってきた子供たちが、大学に入学するのが
2006年である。予想されるだろう大学生の学力低下を
指摘しているのである。

このように毎回問題を指摘しながら、
自らのアドバンテージを
さらりとボディコピーで伝えている。
小学生、中学生の子供をもつ親は、
ドキリとしながら、読んでしまいの
ではないか。

このスタイルを徹底させている姿勢は、
個人的には好感を持った。

入学試験の時期であった、1月、2月の広告は、

社長さん、子供の合格発表日には、
お父さんを残業させないでください。


という、ニヤリとするコピー。
できれば、飲み屋のお姐さんバージョンも
見たかった。
さすがにこの回は、いつものように
教育問題をズバリと指摘するスタイルではなかった。

しかし、考え方によっては、
これも母親まかせになりがちな
父親のあり方という、一種の教育問題かもしれない。

これからも日本の教育問題を
社会へどんどんと
つきつけてほしいと願う。


ニッポンのオッパイ、その明暗

チャンピンズリーグ決勝トーナメント開幕。
ご贔屓マンチェスターUは、ホームでACミランに負け
がっくり。ルーニ-よ、ニステルローイよ。
今度は、アウェーでかましてくれ。

さぁ気をとり直して
オッパイについて書くぞ。

今週発売の<週刊新潮>の中吊り広告を見ていたら、
お母さんがペチャパイだから」という
フレーズが目に飛び込んできた。

しかし久しぶりに見たなぁ。
「ぺチャパイ」という言葉。
中学、高校以来である。

何か負け組みのごとき印象を
与える「貧乳」、
缶コーヒーの商品名みたいな
微乳」という表現に
いまいち馴染めずにいたのだが、
「ぺチャパイ」はみごと
私の心の琴線にふれた。ああ懐かしい。
よく女子に言ったものだ。

それはさておき、週刊新潮の記事。
さっそく本屋で立ちななめ読み。
内容は、女子中高生の
豊胸手術ブーム
について。

バストは遺伝するので、ぺチャパイなのは、
母のせいだということで手術を受ける
娘たちの理屈が述べられている。
そんな娘も娘だが、それに反対できない母親も
母親だ。

あたしがぺチャパイなのは、あんたのせい!」
なんて娘になじられる母親の気持ちを
想像するだけでオッパイ、いや心が痛む。

そんなニッポンのオッパイ事情に暗澹たるものを
感じながら、TVを見ていると…

今回の!なコピー。


胸がたくらんでいる。


ワコールの<デコルテメイクブラ>のCM
若いカップルがソファに座っている。
チラリと彼女を見ながら、「なんかいつもと違う」と男。
「どこらへんが…」とほんの少しうれしそうに彼女。
「どこってことないけど…」と言いながら視線は、
彼女の胸元へ。そこにはふっくら盛りあがったオッパイ

そんなうれしはずかし、胸がトクンとするCMだが、
最後の方に先のラブリーなコピーが現われる。

たくらんでいるのは胸でなく、彼女なのだが、
それを擬人化しているところにびんびんと
きた。思わず可愛い!と思った(萌え~とは絶対言わない)。
本当に胸がたくらんでいるようなのだ。

オッパイがふっくらと盛りあがって見えるのが、
この<デコルテメイクブラ>の特徴のようだ。
(メイクラブじゃないよ、ブラだよ)

CMに出ていたのが、
セクシーな大人の女性だったら、それほど
びんびんとこなかったであろう。

<デコルテメイクブラ>を着けたのが、
等身大の女性ということで
彼女の健気さがリアルに伝わってくる。
その微笑ましさに、すっかりオヤジの私は!となった。
(ふっくらオッパイも見れるしね)

まことにオッパイについての明と暗を
考えさせられた24時間であった。

ぺチャパイに悩む女性の気持ちを
推し量ることは難しいが、
親を責めるのはいかんよ。親を。
<デコルテメイクブラ>ではだめなのか。

そんなことを考えている前で、
消費者金融のCM。
ストーンズのビデオクリップみたいに
巨大な<ワカパイ>がのしのしと街を歩いている。
もちろん彼女にこのブラは必要ない。
だが、オッパイの大きさを親のせいにする
娘たちについてどう思うか?
(別に知りたくはないが。)

さて、オッパイという言葉は
何回出てきたでしょう?
3秒以内に答えなさい。

いち、に、さん!

おかしな日本語、そして親子

『問題な日本語』という本が売れている。

どのような方が買っているのか分からないが、
言葉に対して「どこかおかしい」といった疑問や、
「このままではあぶない」という危機感を
持っている人がそれだけ多いのだろう。

私もこの本を読んだ。コピーライターのくせして、
時々、言葉の使い方を間違ったり、使い方が正しいか
どうかで迷う時がある。実際にこの本で、
自分の間違いに気づいた。ああ恥ずかしい。

最近のコピーを見ると、へんだなと思うことも
少なくない。今どきの使い方だからと
いうことなのだろうが、
「~でしょう」が「~でしょ」になっていたり、
「さぁ、」が「さ、」になっていたり。
言葉の短縮もやたらに多い。

あのホリエモンも「~じゃないですか」をよく多用する。

こう日本語がおかしくなっていると、
コピーを考える方も、注意せざるをせない。
おかしな言葉づかいだが、流行っているから
という理由だけで、安易に使っていいものか、
時おり悩むのだ。

言葉への危機意識が本当に高まっているのなら、
おかしな言葉づかいは消えていくはずだが、
そう簡単になるまい。

おかしな日本語は、今後も次々と生まれるとみた。

今回の!なコピー。

大丈夫。
日本語が使い続けられるかぎり、
私たちは解りあえる。


最近、訴訟問題で話題になった、
<一太郎2005>と<ATOK2005>のシリーズ広告
いずれも、メインビジュアルは親子の写真。
一見、親と子のファッションからして
両者の価値に大きなギャップが
あることが分かる。
しかし、同時にお互い解りあえている
という感じも親子の表情から伝わってくる。

世代のギャップはあるが、そこには
確かに親子のコミュニケーションがあるという印象。
そして、「解りあえる」ことに大きく機能するのが、
言葉、日本語であるということが、コピーによって
伝えられている。

同時に、それは日本語のワープロソフト
<一太郎>に込められた思いでもある。
かつて人気の高かった<一太郎>も
依然、ファンはいるものの
すっかり、<MS Word>にシェアを
奪われ、市場シェアは数%ときく。

新バージョンの発売を機に
あらためて、日本語ワープロソフトという
ブランドを、忘れかけていた消費者に
思い起こさせ、同時に日本語への意識も
高めようとするのがねらいであろう。

ちなみに他の2つのコピーも、
日本語と親子のつながりについて
語っている。

どんなにグローバル化とやらが進もうと、
私たちは日本語でつながっている。

100年後、日本人をつないでいるのは、
日本語だけかもしれない。


ちなみに親子の写真を撮っているのは、
有名なカメラマン、ブルース・オズボーン氏
実は、親子の写真は、同氏の
ライフワークで、20年以上も前から
撮り続けているとのこと。今回はじめて知った。

また、同氏は2年前から
毎年7月の第4日曜日を「親子の日」として
普及させようと取組んでいる。
すでに300組以上の親子を撮り続けている。

<一太郎>の広告は、いわばジャストシステムの
使命と、ブルース・オズボーン氏の使命の
コラボレーションである。

ただ個人的な経験として、親子の場合には
言葉も重要だが、けっこう言葉にしなくても
解りあえることは多いと思うし、
反対に、いくら言葉で伝えようとしても
解りあえない(あるいは解りあいたくない)
ことも多い。

親子のつながりとは、シンプルにして複雑だ。

余談だが、東京周辺に住んで地下鉄東京メトロを
利用している方は、ご存知かもしれないが、
毎月20日に出るフリーペーパー『メトロミニッツ』
の今月号を読まれただろうか。

写真家であり作家である、藤原新也氏の連載記事
「撮りながら話そう」。私はこの記事を読むのを
楽しみにしている。
今月の話は、風俗に勤める少女と母親のエピソード。
じんときた。
親子と言葉と写真家つながりということで。

社会の問題に広告は…

ここ数日、駅にて<教えてgoo>の広告と、
本物のジーンズがぶら下がった<リーバイス>の
広告が、まるで爆弾のように大量投下されている。

ブランドを思い出させるという意味では、
面白いとは思うが、少々うっとおしい。

最近は少なくなったようだが、
電車の車両を貸しきって、
1社のみの広告で覆いつくす手法。
強制的に見せられているようで、
不快なときがある。(強制を感じさせない
工夫があってもいいのだが)

私はこれを車内暴力広告と呼ぶ。

今回は、しみじみしたコピーを紹介しようと
思ったのだが、本日電車の中で見た
暴力についての広告にドキッとしたもんで…

今回の!なコピー。

親に殴られる子ども。
じゃ、誰に抱きしめて
もらえればいいんだ。


途上国の子供の生活環境の向上に
取組むNGO<フォスタープラン>の広告。

ずいぶんとストレートな表現である。
それゆえ、ドキッとする。
幼児が虐待されたり、殺されたりする事件が
後を絶たない最近の世の中。

そうしたニュースを知るたびに、
私はいつも<暴力>のことを考える。
いじめから、テロ、戦争まで、その根源に
あるのは、暴力というウイルスではないかと。

暴力は、人の心に巣食い、そこから周囲に伝播し、
次々と人の心に潜み増大しながら、心を破滅させていく。
いたん暴力に蝕まれると、そこから逃れるのは、
難しい。たいがいは暴力によって滅ぶ。

昔、何かの本でテロリストのインタビューを読んだ。
印象的だったのは、長年テロをやっていると、
いつのまにか大義がぼやけ、やられたからやり返して
いるだけだということ。あきらかに暴力に蝕まれている。

先の広告は、ビジュアルを見る限り、
途上国の子どもを意識したメッセージのようだが、
コピーだけを見れば、普遍性をもったメッセージである。

わが子に暴力をふるったことのある(今もふるっている)
親がみればどう思うだろう?
自らが、暴力に蝕まれている事実に
気づいてくれればいいのだが。

雑誌「pen」の2/1号<広告のデザイン>特集で、
海外の公共広告で家庭内暴力防止の広告がある。(87ページ)
顔に殴られた痕のある成人女性と少女の痛々しい写真。

コピーは、
because he had a shitty day
because he was pissed off

の2通り。

超訳すれば、
理由?夫の機嫌が悪かったから。
理由?お父さんが怒ったの。

といった感じか。
(正確に翻訳できる方がいたら教えてね)

暴力に限らず、社会が孕んでいる様々な問題。
それに気づかせたり、アクションを起させるような
広告は日本では少ない。もっとあればいいのに。

私はそんな広告をやりたいな。

並外れた信念を持った広告の先には

ここ1ヶ月ほど、TVや新聞を見ていると、
矢田亜希子に出会わない日はない。

数日前の新聞では、異なった企業の広告2つに
矢田亜希子の笑顔が。
タレントと動物のプロモーションと
化しているタレントCMについて、
いまさら、あれこれ言うつもりはない。

タレントの起用には、
メリットもデメリットもある。
どうせ使うのなら、ロングランで使うケースが
あってもいい。最近はめっきり少ない。

サッポロ一番の藤岡琢也、桃屋の三木のり平など。
最近では、あのチワワ(犬の寿命を考えると長いか)。
いずれも、長い間CMの顔として君臨してきた方々。
ロングラン、しかも一貫性があるゆえに、
強い印象を残してきた。

熟女になっても、美味しそうにお茶を飲んだり、
社名を連呼するアヒルと共演する矢田亜希子を
見てみたい。…と思うのは私だけである。

今回は!なコピーライターの言葉。

かつてコピーライターの巨人、
デビッド・オグルビーはこう言っている。

「6か月ごとに『何か新しいものを』と要求する
プレッシャーをものともせず、
一つの広告スタイルを守り続けるには
並外れた信念が必要です。(中略)
一貫したイメージを(中略)を断固として
長時間守り続けるほどの安定した考えの広告主には、
黄金の報酬が待っています」
と。

このことを思い出させた記事を読んだ。
月刊誌『創』の恒例の広告界特集、2005年3月号。
冒頭の座談会で、焼酎『いいちこ』について
触れている箇所がある。

この記事によると、『いいちこ』の広告は、
「広告は文化たり得る」「文化でなくてはいけない」
という方針で作られてきたという。

1984年に最初の広告が出たわけだが、以来20年余も
同じ世界観を保ってきた。
いいちこミュージアムで、ご覧あれ)

そして長い歳月をかけて、一銘柄の焼酎系蒸留酒の中で、
売上世界1位!
になったという。
これほど幸福な広告主と広告制作者の関係はないのでは。

ブランドを広告のみで作るのは、難しいというのが
私の考えだが、『いいちこ』は広告でブランディングを
行った稀有な例かもしれない。

ちなみに1984年の広告のコピーは…

広告の世の中だけど、
噂で飲まれる酒がある
ミスマッチストーリィー

恐怖と不安をあおるホラーなコピー

時代は、
40才が
変えていく。


今月24日創刊の男性誌「UOMO」の屋外広告。
創刊間際ということで、TVの情報番組にて
雑誌のPRが行われていた。

自分のために上質の消費を楽しむ、
新しい大人のライフデザインの
提案を行なうとのこと。

主なテーマはファッション、食、車、時計など。
で、読者ターゲットは年収1,000万円以上らしい。

しかし「1,000万以下の俺には関係ない」と
無視をきめこむか、そうでないかであなたの
未来は変わる…かも。

無視するのもいいが、
全国の勝ち組めざす40男たちよ(あ、私もね)。
「UOMO」を使って、夢を実現しましょうや。
どうするの?簡単、簡単。

巷で人気の夢手帳(夢ノート、成功手帳など)。
それぞれ作っている方もいると思うが、
自分の手帳に「UOMO」で紹介された、欲しいが今は
変えない、ちょい無理アイテムの写真を切り抜き、
(あ、“ちょい”を使ってしまった)
夢手帳に貼ればいいのだ。そして、それを毎日眺めながら、
「勝ち組になってやる!」と自分を鼓舞する。
そんな自己啓発にピッタリの雑誌、それが「UOMO」なのだ。

…というのが私が考える「UOMO」の活用法。
私は、昔マイエロ本を作って以来、スクラップブックを
作っていないのだが、やってみようかな。
それにしても、このキャッチコピー、普通すぎる。

貧乏不可、勝ち組40才、御用達。
くらい挑発した感じのコピーがほしいところ。

そんな挑発したコピーが、
私の家の郵便受に。

今回の!なコピー。

あなたの
愛は
本物ですか?


調査会社のホットラインの投げ込みチラシのコピー。
オモテ面には、余計な写真やイラストはなく、
真っ赤な地色に、白抜き文字で
このコピーがどかんと出ている。
あとは問合せ先などが書かれているだけ。
(しかも愛の文字がでかい!)

急に本物かどうか尋ねられれば、たいていはドキッとして、
「本物かなぁ」と自問してしまう。
チラシなどのダイレクトマーケティングのツールに
多い、ドッキリさせるアプローチだ。

3秒以内で心をつかむという点では上等。
あの神田昌典さんのエモ-ショナルマーケティングが
広まって以来、こういう表現をよく見るようになった。
例えば、「まだ、お金を無駄に使いますか?」とか
「お金をドブにすてますか?」など。

かごの中の鳥の前に、急にネコをおくような、
恐怖や潜在的な不安をあおるアプローチは、
購買欲を瞬間的に高めることには効果がある。

しかし、過剰なインパクト、特に恐怖を
あおるアプローチは、効果が長続きしないという
実験報告もある。

サウスイースタン大学のJ・ヘイル博士は、
恐怖の強い広告と弱い広告を作って、
購買意欲について調査した。
その結果、恐怖の強い広告は、見た直後には
購買意欲は高まるが、時間がたつとしだいに
消えてしまった。

しかし、恐怖の弱い広告の方は、恐怖の強い
広告よりも、購買意欲が継続したという。
この理由を、強い恐怖の場合は、怖いので
記憶するのが苦痛で、早く忘れたいという
心理が働いたためらしい。
(実験についての部分は
「深層心理で売る技術」内藤誼人著を参考)

つまり衝動的にアクションを起させるには、
恐怖をあおる方が効果的だが、継続性では
あまり効果的ではないようだ。

チラシやダイレクトメールといった、
販促ツールに、インパクトのあるコピーが
多いのもそのため。
ただし、恐怖や不安をあおりすぎると、
心理的に反発が起こり、信用されなくなる。

「こうなるぞ!」とやみくもにあおるのではなく、
「こうならないよう、こうした方がいい」と
アドバイス的な表現の方が、反発をおこさず
信用されると思う。

しかしだ、「あなたの愛は本物ですか?」という
潜在的な不安をキリキリと絞めるコピー。
それまで、波風立てずに仲良くしてきた夫婦関係に
いきなりヒビをいれかねない怖さがある。

このチラシをみて「あの人って、本当に私のことを
愛しているのかしら?そういえば最近…」と
不安に陥れてしまうことになるのではと、
余計な心配をしてしまう。

このチラシによって救われる?人もいるが、
壊れる人もいるな。罪作りなコピーである。

データで高める広告の信頼性

このブログを読んでくださっている知り合いから、
斬って欲しいネタ(キャッチコピー)があるのですが…」と
言われたのだが、私は<コピー侍>ではないので、
むやみやたらに斬らないんだってば。

今回の!なコピー。

79人の有識者、その結果はYES。
つぎは、あなたのジャッジを。


アウディA6の広告。専門家や消費者などの第三者の評価を、
広告に使うケースを時おり見かける。
この広告もアウディの価値を、第三者の評価で
伝えようとしている。

日本自動車研究者 ジャーナリスト会議主催の
<RJCカーオブザイヤーIMPORT>を受賞
というコピーが
添えられており、コピーにある79人の有識者とは、
日本自動車研究者 ジャーナリスト会議のメンバーの
ことであろう。

車にうるさい専門家が選んだ、アウディA6。
そこから想像されるデザインや技術力の高さを
伝えたいようだ。

あとは、実際にお客さんの目で確かめてね、
ということである。
えらい自信である。それはそうだ。
車にうるさい見識者がそう言っているのだから。

いまどき、いくら広告主が自社製品を
広告でほめたたえても、見る人は
なかなか信用してくれない。

その点、第三者の評価は信用できるので、
広告の信頼性は増す。
数字データを出せば、より信頼度は高まる。

アウディの他に、人材派遣のリクルートスタッフィングも、
専門誌でのアンケート調査で、派遣会社1位に選ばれた
ことを、<今後も働きつづけたい、
友達に勧めたい、派遣会社1位に選ばれました。>という
ような内容のコピーで、広告を出しているのを見かけた。

差別化ができなくなっている商品では、
伝えたいことの信頼性をいかに高めるか、
そこに広告づくりのポイントが置かれているようだ。

ところで私たちが商品を選ぶ際、
客観的なデータに影響されることは
けっこう多いのではないか。

自分の価値観に自信があっても、
「この商品で本当にいいのか」
「他人はどう思うか?」と気になってしまう
ことってないだろうか。
その際、客観的な意見やデータを
参考にしてしまうことはないか。
私はあるよ。

それは別に、自分の価値に自信が
ないからということではない。

他者とは違うという<独自性>は持ちたいが、
他者と同じことで安心したい<同調性?>という
相反する二つの基準の間で、
心が揺れ動くのは、人の心理の常である。


こうした心理の動きを、うまく利用した
お客さんを買う気にする
セールストークもあるくらいだ。

当然、マーケティングにも有効である。
広告のコピーよりも、その商品のユーザーの
声の方を信用してしまう。

よくマーケティングのハウツー本に、
商品パンフレットやWebサイトに、
なるべくお客さんの声を多くいれましょう、と
いうアドバイスが書かれてあるのも、
売り手の言うことより、お客の声の方が
信用度が高いためである。

といっても…
信頼度は増すかもしれないが、
第三者による評価や、客観的なデータでしか
信じてもらえない広告ばかりになるのは、
作り手としては、イヤだな。

やはり、コピーにも情緒がないとね。

254年という経営資源

しかし、毎日ブログを更新している方は、
えらいと思う。どのようにモチベーションを
保っているのかお尋ねしたいくらいだ。

仕事などが立て込んでくると、
1回くらいいいやと、ついなまけ心が
もたげてしまう弱虫な私。

子どもの頃、飽きっぽい性分の私に、
これまた飽きっぽい父がよく言っていたものだ。

継続は力なり。

…その言葉、そっくりそのまま
父に返したかった。

そんな今回の!なコピー。

「254年かかって?」
いえいえ、
「254年かけて!」


名古屋のアパレル企業、タキヒヨー株式会社の広告で、
東証一部上場の告知を行っている。

私は、タキヒヨーという会社を知らなかった。
どのくらいの認知度があるか分からないが、
名古屋以外の認知度はそう高くないのではないか。

しかし、駅に貼っていたこのポスターが目に入って
きた時、254年!という半端ではない数字に!となり、
この瞬間、<254年の老舗企業、タキヒヨー>が
私のマインドにインプットされてしまった。

254年といえば、室町時代より長いのだ。
そして、この254年とは創業からの歳月なのである。
なんとこの会社、創業は1751年。
日本では江戸時代、“暴れん坊将軍”徳川吉宗が、
没した年である。(どうでもいい小ネタだが)

ヨーロッパでは、産業革命もフランス革命も
まだ始まっていない。
もちろんアメリカ合衆国はまだない。

そんな歴史の長さは、たんなる伝統ではなく、
もはや経営資源とさえ言えるのではないか。
これが遺跡や建造物であったら、立派な文化財だ。

この「254年かけて!」というコピーには、
タキヒヨーの歴史に対するプライドを感じる。
会社を10年間存続させるのに、大変な時代に
よくも254年も存続したものだと驚いた。

告知だけなら、おかげさまで東証一部上場しました。
という挨拶ですむところだが、この歴史を
印象づけるコピーによって、この広告に
インパクトが生まれた。

よって、この広告によって、はじめてこの会社を
知る人も多いと思う。