★コピーライターが思わず ! となったコピー。 -34ページ目

やっぱり東大なのか?

最近、目にすることの多い<ちょい>なる言葉。
特に<ちょいモテ>。ずいぶん慎ましいのだが、
これも年収300万円時代、夢がもてない時代における、
ささやかな夢なら、ちょっと頑張れば実現するよ、
という現実的な選択なのだろうか。

でも、<ちょいモテ>でいいのか、
<大モテ>しなくていいのいか。どうなんだ。

<プチ>といい、<ちょい>といい
小さくまとまろうとしている世の中だが、
やはり夢と志は大きい方がいい。

そんなわけで、今日は何かと<東大>の
文字が目に入ってきた。

今回の!なコピー。

なんで、私が東大に?!


<菊川怜>のキャッチフレーズ。

…ではなくて、東京の予備校、四ツ谷学院のポスター。
四谷学院に通って、見事東大に合格した方の体験記のような
コメントがつづられている。
どうだ、東大だ。大きく高い志ではないか。

受験シーズンということもあって
予備校の広告やCMが目立つ。
インパクトということでは、
<なんで><東大に?!>は、つかみのいい
キャッチコピーである。

そのポスターを見た同じ日に
本屋をうろついていると、
<東大>という言葉がタイトルに入った
本が目に入った。

東大生が書いたやさしい経済の教科書

東大生が書いたやさしい株の教科書

東大で教えた社会人学-人生の設計編


…と3連発。
相変わらず東大ブランドに揺るぎはないようだ。
なんだか保守化が進む日本の世情を
反映しているわけではないだろうが、
私には、東大ブランドの復権が
来ているのではないかとつい妄想してしまった。

まさか、早稲田出身、慶応出身と続く総理大臣に、
「やっぱり私立はダメだよな」なんて
声が上がりつつあるのかと思ってしまう。
おおげざだだが。

あのホリエモンも東大なわけだし。

やはり日本を救うのは東大なのか?
だが、思い出してほしい。

この国がおかしくなった原因のひとつに
挙げられる官僚。ほとんど東大出身ではないのか?

この先「東大出身者がおかしくしてしまった日本」
等という本が出ないことを願うわけだが。

水と生きるサントリーの生き方

ランチェスターなる言葉をご存知?
サッカーチーム?それはマンチェスターユナイテッド。
イギリスの地名?それはランカシャー。

ランチェスターといえば、ランチェスター戦略である。
戦略でなく、法則と書いてあることもあるが同じだ。
もともと空中戦における戦闘機の量と損害数の間にある
ひとつの法則から生まれた軍事戦略で、いまでは
ビジネス戦略として知られている。

マーケティングに興味のある方は、一応勉強されることを
おすすめする。(関連本はいろいろとあります)
ランチェスター戦略のなかで、弱者が強者に勝つための
戦略発想のヒントがある。

戦闘力=戦闘効率×兵力数という法則なのだが、
弱者が戦う場合は、この戦闘効率を高めことがポイントである。
戦闘効率とは<差別化>のこと。

商品、価格、サービス、チャネル、地域の<差別化>を徹底する
ことが、弱者の戦略だと語る。(かなり端折っているので、
くわしくは関連本などで見てね)

強者とは1位であり、2位以下はみんな弱者。
弱者がやってはいけないのが、強者のマネ。
弱者はとにかく<差別化>で勝機を作るしかないのだ。

そこで、今回の!なコピー。

サントリーは、
天然水の
うまさでいく。


サントリーのビールと発泡酒の広告。
キャッチの他に次ぎのようなコピーも。

2005年、すべてのビール・発泡酒を
天然水100%で仕込むことを宣言します。


…とある。私はこのコピーと商品戦略に
ランチェスター戦略を感じた。

ビール通のなかでは、サントリーのビールはあまり
人気がない。やはりエビスやキリンの方が人気がある。
ビール系飲料の国内の市場シェアでも、サントリーは
アサヒ、キリン、サッポロに続く4番手。
(上海のビール市場では51%と1位)

ランチェスター戦略では、サントリーは国内市場で弱者である。
そこでシェアを伸ばすために行った<差別化>が、
ビール、発泡酒すべての天然水100%での
仕込みだろうと考えられる。それがサントリーの戦略。

そして、それを全面に出した宣戦布告が、
「サントリーは、天然水のうまさでいく。」というコピーである。
今後、商品広告やパッケージには、天然水という言葉がつねに
より強力に鎮座していくことだろう。

ところで、私はサントリーのロゴが変わったのに最近気がついた。
知り合いのデザイナーにも聞いたが、知らなかった。
現在、「水と生きるサントリー」というスローガンが使われ、
水へのこだわりを印象づけようと新たな戦略?を見せたサントリー。

ギネスビールが好きな私は、サントリービールはほとんど
飲まないのだが、天然水仕込みとそうでないビールの味って
どうなの?味の違いは明確なのか。

飲み比べた方はぜひ教えて。

企業広告は信用できるか

企業広告のメッセージを信用する人はどれくらいるだろう?
コピーライターである自分がいうのは何だが、
私はその手のメッセージには、懐疑的なのだ。
つまり、間に受けることができない。
なぜか?それは広告で伝えようとしているからである。

そこで今回の!なコピー

透明でありたい。

日本アムウェイの企業広告。新聞全15段。
この広告では、製品の品質はいいが、誤解されていることを伝え、
開かれた企業であり、なんでも聞いてくれと問合せ先が記されてある。

察するに、企業の透明性を伝えたいのだろうが、
すんなりマインドに入っていかないのは何故だろう。

それは広告で伝えようとしているからではないか。
主観で言うが、いまや広告主が思うほど、
広告(特に企業広告)は、消費者に信用されていない気がする。

いくら広告主の企業が、<お客様の安全を第一に>とか、
<地球環境を考えます>というメッセージを伝えようとしても、
広告でいってしまうと、自画自賛としか受け止められず、
多くの消費者は信用していないと思う。

反対に、なにかやましいことを
行っているのではないかと勘ぐってしまう。

広告でメッセージを発すれば、伝えたいこととは、
逆のメッセージとして受け止められる、
いわば<伝達の逆説性>が起こることを、
企業は考えた方がいいのではないかと思う。
特にマイナスイメージのある企業はそうだ。

「透明でありたい。」というコピーで、
そうなんだ、アムウェイは変ったんだというより、
やっぱり不透明であったことを認めたな、とか
最近、やけにイメージ挽回に必死だな、
何か問題があるのかなといったことを、つい思ってしまう。

特にアムウェイの場合、ビジネスモデルについて、
消費者保護の観点からいろいろと問題があることが
指摘されてきただけに、マイナスイメージがある。

日本アムウェイの名誉のために言うが、
これまで指摘されてきた問題について、様々な取り組みを
行って、課題の改善に努めているのは事実らしい。
実際に2004年の売上高も8年ぶりに上昇しているのだから、
改善の結果は出ているのだろう。
本気で信頼回復に取組んでいるのだと思う。

だが、今回の広告で、マイナスイメージを持つ人の
マインドを変えたか。広告で言うとおり、
本当に透明性の高い企業になったか
(あるいはなろうとしているのか)というと、
そこまでの信頼を得るのは難しいのではないか。

今日、広告の言うことを間に受ける人は、
ほとんどいないだろう。
もし、本当に誠実な企業であることを
信用してもらいたいのなら、広告はいい方法ではない。
別の方法の方にするべきだと私は思う。

または、信用しないというマイナス状態を
前提にした表現をとる必要があると思う。

ちなみに日本アムウェイは、昨年から
以下のようなキャッチコピーで
新しい企業像を伝えようと努めている。

アムウェイはメーカーです。
あなたの日常を支える製品を提供しています。


信頼は壊れやすい。
そのことを、アムウェイはよく知っています。


内容はともかく、「透明でありたい。」という
コピー同様に、消費者がすんなり信用するとは思えない。

このメッセージは、インナー広告として、
消費者よりも日本アムウェイの内部へ放った方がまだ
広告として機能するのではないかと思う。

以上、客観的なデータを提示せずに、
書いているので偏っているかもしれないが、
まんざら的外れではないと思う。

あなたの企業広告における信頼度はいかに?

キャッチコピーのたな卸し


今日は趣向をかえて、コピーのたな卸し。

これまで取り上げようと予定していたが、
事情があって紹介できなかった
最近の!なコピーをいくつか紹介。

とりあげなかった理由は、
取り上げる価値がないとか、
つまらない、面白くないといった
ことではなく、たんに私の気まぐれ
によるもの。

コピーくんたち、許してね。

では、どうぞ。

その1

つぎは日本をイタダく。

ねらうのは1億2千7百万人のハート。

映画「オーシャンズ12」の広告。
→ハートをイタダくなんて、
「カリオストロの城」のルパンとクラリスみたいだ。

その2

ウン十年後の自分がどこに住んでいるかなんて
想像もできないあなた、全国の郵便局で受け取れる
「簡易保険」はいかが。(加入後の手続きが違います)


簡易保険の広告。
→キャッチコピーは短く、なんてこだわる必要はない。


その3

式場は、祝福してくれる人のことも考えて、選びませんか。

メトロポリタンホテルズの広告。
式場選びのポイントを伝えて、アドバンテージを伝える
<気づき>のコピー。

その4

英会話につまづく人は、
英会話スクールに選びにつまづいている人だと思う。


失敗させない自信があります。

英会話スクールECCの広告。
→老舗の自信である。今までECCでつまづいた人はどう思う?

その5

ご本尊、最初で最後のお出まし。

「唐招提寺展」の広告。
→お出ましという表現に、ありがたさを感じる。
早く観にいかなければ。

その6

ついその気になって声にだしたくなる
風情のある懐かしい日本語の宝庫です。


単行本コミック「花縄」のオビ。
→斎藤孝の推薦コメント。目下「言葉」関連では、
この人のお墨付きは強力だ。言葉における千利休か。

その7

「朝から全身がだるい、
きょうもすっきりしないまま
一日が始まる。」


疲れているなんて、もったいない。


タケダの新アリナミンAの広告
→この他にも、2種類のバリエーションあり。
効能を伝えるのではなく、潜在的な悩みを出すことで、
共感を得たほうが感情を動かしやすい。

その8

世界が恋する邸(すまい)。

南青山テラスの広告。
→何だかすごそうだが、よく分からない。
世界って、どの世界だ?

…ということで、
あなたの心の琴線にふれた!なコピーはありましたか?

王者と、プライドと、マル暴と。

王者たる者の言葉は、つねにこうでなくてはならない。

今回の!なコピー。

誘惑する者、される者、どちらの罪が重いのか?

メルセデスベンツCLS-Classの広告のコピー。
シェイクスピアの言葉の引用だ。

こんなコピーが似合わうのも、メルセデスだから。
さらに次のようなコピーも添えられている。

誘惑のテクノロジー。Mercedes-Benz CLS-Class登場。

一瞬で虜になり、触れるたび、走らせるたび、
想いはつのるだろう。
究めたテクノロゾジーは、心ゆさぶるもの。
この美しい一台とともに今、
メルセデスの新しい幕が上がる。


人間でいえば、このCLS-Classシャーリーズ・セロンや
モニカ・ベルッチ(個人的な印象です)みたいなものだろう。
(なにせ、メルセデスという名前は、
ダイムラー社にレーシングカーの開発を依頼した
大富豪イエリネックの愛娘の名前からとったそうなので。)

商品広告にしろ、ブランド広告にしろ、
メルセデスの広告のコピーには、
つねに、王者のプライドを感じる。
(市場シェアでは王者ではないが、
車のブランドでは王者だと思う)

メルセデスは、世界屈指のパワーブランドであるという
自信がなければ、こうは言えないし、
いつのまにか私たちのマインドに刷り込まれている、
メルセデスのブランドイメージに絶対の自信があるからだろう。
けっこう自信たっぷりなメルセデスの広告に、
嫌味を感じないのもそれが理由だと思う。

C-Classの広告のコピー

乗らないときは、飾っておきたい。

も然り。
また、昨年暮れのブランド広告
好感度の高い広告だと思うが、
これも王者の揺るぎない自信を感じる。

といっても、
日本ではなぜかマル暴方面に人気があるメルセデス。
その事を本社はどう捉えているのか、ちょっと知りたいものだ。
ついでに、世界のマル暴方面に人気のある車のブランドも知りたい。

そういえば、マル暴ではないがアラファト議長も
防弾装備のメルセデスに乗っていたような記憶がある。

昔、私の父が車を買い換える際に、
中古のベンツを子どものように欲しがったのだが、
母が強固に却下。
その理由は、やっぱりマル暴方面に人気があるからという
いかにも日本的な?理由から。

日本では、なぜか背後にマル暴がちらつく、
大物で魅力ある芸能人のようなメルセデス。

このイメージを払拭するのは、王者をしてもちょっと無理か。

絶滅が危ぶまれる?ダジャレコピー

連日繰り広げられる北朝鮮戦報道の狂騒ぶりに、
サッカー好きな、私の母親までが
「なんか不気味だねぇ」と不安に陥っていた。
見かねた私は「北朝鮮はこわくない、
実力的に手ごわそうなのはイランだから」とフォローする始末。

オレオレ詐欺やスキミングでおびえる、
老人を不安にさせるなよ、特にテレ朝。

話変わって、たぶんコピーライターは、
ダジャレを考えるのが好きだ(と思う)。
違っていたらごめんよ。
私も考えるのは好きだが、コピーに活かすケースはほとんどない。
ネーミングを考える時は、たまにダジャレから思いつくのだが、
キャッチコピーに使うことはない。

最近の広告でも、ダジャレなコピーは見かけない。
面白がるのは考えた本人くらいで、受け手のマインドは
ちっとも動かないことが多いからである。
ダジャレコピーは、もはや絶滅危惧言葉なのだと思っていたのだが…

今回の!なコピー。

いい滑降しよう。

ズルッ。
埼玉県、狭山スキー場のポスターのキャッチコピー。
スキーでいい滑降して、いい格好しようということか。
円楽さんだったら、「うまい、座布団あげて!」と言いそうなのだが、
大喜利のようにコピーを考えると、すべる可能性が高いので、
コピーライターはあまりやらない。

「いい滑降しよう。」と言われても、
ふーんという冷たいリアクションを
してしまいそうなのだが、私としてはよくも世間様の前に
出してくれたもんだと、その勇気をほめたい。
今どき見かけないよ。この手のコピー。

つまらん!と斬ってしまうにはもったいない。
でも良い子のコピーライターは真似しないようにね。

このコピーを考えたのが、誰だか知る由もないが、
内輪では、「おお、うまい!」と盛り上がったのだろうか。
仮にプロではなく、広告主が考えていたとして、
「どうだ、オレってコピーライターだろう。わっははは」
なんてことになっていたら、いやだなぁ。

…と思っていたら、また見つけた。

1ついい!
2ついい!
3ついい!


三井ダイレクト損保のステッカー広告。
三井だから、3ついい!というわけか。

よしなさいって。

会社の再生は、ブランドの再生も。

現在オンエアされている、ガリバーのCMソングは耳に残る。
感情を逆なでされそうで、ちょっとイヤなんだが。

今回の!なコピー。

私たちの宝物を、二通だけ公開させていただきます。

ハウステンボスの新聞広告(全15段)のキャッチコピー。
宝物とは?二通とは?ということで、ツカミのいいコピーである。
その宝物とは、ハウステンボスのホテルを利用したお客さんからの
二通の手紙のことで、その全文を直筆のままで掲載している。

手紙を読んでみると、毎年結婚記念日にハウステンボスの
ホテルを利用する、結婚3年目のお客さんと、
娘との旅行にホテルを利用したお客さんからの
感謝の言葉がそれぞれ綴られている。

どちらも心のこもった、ジンとくる手紙である。
直筆なので書き手の感情が、そのまま乗っているようである。
両方とも何か特別のサービスについて感動しているわけでなく、
おもてなしの心がこもった、ホテルとしては当たり前の
サービスに感動しているのだ。

好感度の高い広告である。自ら自慢をするのでなく、
お客さんの声を紹介し、それを宝物というところがニクイ。

本当に感じのいい広告なのだ。しかし…

ハウステンボスという一度ケチのついた
ブランドを回復するには、
この広告はどこまで効くのだろうか。
あまり効かないのではというのが私の考え。

ご存知とおり、ハウステンボスは経営破たんになり、
野村証券グループの企業による支援を受けて、現在再生中である。
それゆえに、まだマイナスイメージの方が強い。

実際はさまざまな取り組みを行い、前進しているのだろうが、
少なくとも私のマインドには、経営破たんしたテーマパークという
イメージが強く残っている。
この広告だけでは、まだそれが払拭できない。

CMや広告だけでは、このブランドの信頼回復、
マーケティングは難しいだろう。
PRなど、統合的な展開が必要だ。

もし、ハウステンボスが信頼あるブランドとして
認知されていたなら、この新聞広告の効きは
大きかったにちがいない。

信頼のブランドに、お客さんからの信頼が拍車をかけ、
マーケティング上有効であったろう。

好感度の高い広告だけに、そこが惜しい。
再生を期待しているが、
同時にブランドの再生も急務ではないか。

便利かもしれないが、ありがたくないぞ。

死んでも逃げられない。

と映画「THE JUON 呪怨」のコピー。
死んだら放っておいてほしいのだが。
思い起こせば、昔は映画のコピーもうさんくさいが、
面白いものも多かった。

しかし、映画の宣伝が情報誌やインターネットに
ウェイトをおき始めてから、
インパクトのある、映画のコピーがめっきり
少なくなったような気がする。

その点、昔の東宝東和が配給する映画のコピーは、
面白い(というよりも苦笑する)ものが多かった。
実際の映画の内容とは違うコピーやポスターの
イメージでだまされた人も多いのではと思う。

その意味では、コピーにはマーケティングな
マインドが溢れていた。
サスぺリアの「決してひとりでは見ないでください」は
代表作だった。

「THE JUON 呪怨」は、邦画「呪怨」のリメイクだが、
邦画版に出演していた
伊藤美咲の風呂上りらしき姿が目に入り、
クラっとくる。

そこで今回の!なコピー。

髪を乾かす間に、
サッカー1試合楽しめる。


日立のパソコン<Prius>の広告。
髪を乾かす伊藤美咲が画面を見つめる姿を
私は見つめた。
そしてこのコピーだ。

ん?90分も髪を乾かしていたら、
頭皮や髪が痛むでしょうにと
余計な心配をしてしまいそうになるが、
実はテレビ録画機能の
ことを伝えている。

サッカーや野球の録画でハイライトシーンだけ編集して、
例えば90分のゲームも5分に編集できる機能らしい。

コピーとしては、なぜ髪を乾かす間の数分で、
90分のサッカーが観れるのかという何気ないようで、
おや?と思わせる表現に!となるのだが、
(コピーの基本的なテクである)
それより、この<いいとこ観>という機能は、
本当に便利なのか。そっちの方が気になる。

私だったら使わないな。
結果とハイライトを見たいなら、
スポーツニュースで事足りる。
スポーツファンなら、
録画してもノーカットで観たいだろうに。

さすが技術立国ニッポンらしい機能だが、
好きな番組くらい、ゆっくりと見たいよと
釘をさしたい。
日立には申し訳ないのだが、大きなお世話機能である。

いつもメーカー側の作りたい機能と、
ユーザーの欲しい機能との間には大きなギャップがある。

目下、世の中のベクトルはスピーディである。
ビジネスも生活もますますスピーディになり、せわしない。
だからこそ、好きな番組はゆっくりと
見たくなるのではと思う。

髪を乾かす間に、サッカー1試合を見れることを
別にありがたく思わない生活をしたいものである。
「THE JUON」のコピーではないが、
「録画しても見られない」ではいやだ。

きっと伊藤美咲もそう思っている(はずだ)。

たった一人は、孤独ではない。

別に政党や政府の広告をこきおろして、ストレス解消する気はないのだが、
今日も郵政民営化の広告に書かれていたスローガン

YOU SAY YES

に笑ってしまう。
郵政民営化にYESということか。
政府内、自民党内の反対勢力が手ごわいとみたか、
国民を味方にせねばという焦りからか、今ごろこんな広告でPRをしている。

なぜ政府は郵政民営化にこだわるのか、多くの国民はピンときていなかったはず。
もっと早くからPRすべきだったのではと思う。そうだろう?竹中くん。

このヘンな、チャゲ&飛鳥の曲名のような
スローガンについては、代わりに誰か突っ込んで。

今日の!なコピーは、このスローガン。

Only is not lonely.

これは糸井重里さんが運営する
超人気サイト『ほぼ日刊イトイ新聞』のスローガン。
すでに読まれた方も多いと思うが、糸井さんの著書『ほぼ日刊イトイ新聞の本』
の中で、このスローガンについて書かれている。(文庫版212ページ)

そこで、
たった一人であることは孤独でない、
自分と同じことを考えている人が世界のどこかにいる…

書いている。糸井さん本人もこのスローガンにずいぶん
支えられたと書いている。

心の奥から生まれた言葉だという印象を受けた。
なにせ糸井さんほどの人でも、精神的、経済的に苦しみ、
へこみそうになっていたのだから。

新しいことをはじめようとする人、会社の中で浮いてしまいがちな人、
これから起業しようとする人、フリーランスで仕事をされている方など…
いつも孤独と隣り合いながら生きている人すべてを元気にしてくれる、
そんなスローガンではないかと思う。

この『ほぼ日刊イトイ新聞の本』は、
Webサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の誕生から幼年期までを
語ったものだが、ビジネス書的な感もあり、
クリエイターやクリエイター志望の方、ビジネスにインターネットを使おうと
考えている方や使っている方などには、いろいろとヒントになると思う。

後輩のコピーライターとしては、
文庫化にあたって加筆された第8章の348ページの書かれてある、
「広告的な表現の技法を鍛えるということは、相手への想像力が大きくなる
ということだ。」
に、自分と同じことを考えているのだと感銘した。

まだコピーライターになりたての頃、
クローン糸井重里になるまいと、意識的に無視していた
時期があったが、今あらためて感じることは、

やっぱり天才だ、この人は。

imagine?

都条例のおかげで、成人向け雑誌はテープが貼られて、
ページが開けられない。

しかし、週刊大衆にはテープは貼られていないのだが、
増刊大衆には貼られている。
どこに差があるのか?どっちもエログラビア満載なのだが。
量の問題なのか?

誰か教えて。

今回の!なコピーとして、自民党の衆議院候補の広告の、
またのんきなキャッチコピー

政治の血液サラサラに。

に突っ込もうと思ったのだが、だんだんとうんざりしてきた。
この伝わらない表現はどうか。
メッセージにしても、広告にしても、
まず誰も政治家や政党の言うことは信じないという前提で
考えて欲しいものだ。ウソくさい広告を見る方の身になってくれよ。

というわけで、沁みるコピーを。
今回な!コピー。

想像しなさい。

これは、アニ-・リー・ボビッツというフォトジャーナリストの
写真集「アメリカの神々」のオノヨ-コのポートレートに添えられていた、
彼女自身のコメント。
広告ではないので、やや反則なのだが、写真も言葉も
まるで広告のような佇まいであったので取り上げた。許してね。

不確かなのだが、これをぱくった広告を見た記憶がある。
文庫のキャンペーンだったような気がするのだが。

この写真集は、70年代の音楽、スポーツ、ファッションの
アイコンたちの風変わりなポートレートで構成されている。
その中で、印象的だったものの一つが、オノヨ-コだった。

静かに目をつぶったオノヨ-コの顔のクローズアップに、
「想像しなさい。」という言葉。

沁みるでしょう?

世の中が便利になり、システマチックになると、
どうしても想像することを忘れがちだ。

例えば、思いやりというのも想像力なのだと思う。
少し想像力を働かせば、うまくいくことってあると思うが、
なかなかできないものだ。

よいコピーライターの条件のひとつに、
この思いやりがあることを挙げてた人がいたが、
私も同感である。

人の感情を動かす言葉は、他者を慮ることなしには生まれないのだ。
冒頭に挙げた自民党の広告のコピーには、それがない。

そこのあなた、想像してます?(妄想じゃないよ)