★コピーライターが思わず ! となったコピー。 -7ページ目

タバコは、ダイエットサプリか。

中国で、タバコの広告が禁止になるそうだ。禁煙
ニュース によると、2011年からタバコの広告と
販促活動が全面禁止
になると言う。中国は
世界最大のたばこ消費・生産国なんだそうで、
タバコ会社、広告関係者にはイタイ話。禁止
 
アメリカのタバコ会社について書かれた
「悪魔のマーケティング」という本の中で、
これからの戦略としてアジアやアフリカなど
新興国市場を狙っていく
こと、女性を重要な
ターゲットとして見ている
ことなど、暴露話を
含めてなかなか恐ろしいことが書かれてあった
ように憶えている。(立ち読みだったので、
詳しくは分かりませんが)
 
本の内容もそうであったが、何よりも
驚いたのが帯に書かれていた一文。
大手タバコ会社の役員が実際に言ったと
されている発言の引用だが、あんまりな
言いように以前、このブログでも
紹介したその発言とは、
 
タバコなんざ、ガキや貧乏人に黒人、
あとはバカに吸わせておけ

 
まるでジェイムズ・エルロイの
暗黒小説に出てくるような、
えげつないセリフである。ドクロ
 
この発言をした役員がたまたま
下劣な人だったかどうかまでは
分からないが、昔のアメリカの
タバコ広告のコピーもけっこう
すごいことを言っているなぁと
思わせるのもあったりするのだ。
たとえばこんな言い草で。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
"Light a Lucky
and you'll never miss sweets
that make you fat"
(ラッキーストライクをどうぞ、
肥りすぎのもとになる甘いものが
欲しくなくなります。)

 
 
ラッキーストライクの古典的な広告より。
女性をビジュアルに使ったデザインである。
確証はないが、女性の喫煙が市民権を
得はじめただろうとされる1920年代あたり
ではないか。
 
それにしても、女性心理に
つけこんだこの言いよう、今では
できない表現だが、この広告は
大当たり(まさにラッキーストライク!)
だったそうで、利益を6年間で2倍以上に
伸ばしたとか。叫び
 
タバコが今のように有害視されている
時代ではないにしても、タバコ会社の
考えていることは昔からそう変わりが
ないようだ。やはりえげつないのか。
 
まぁコピーライティングというのは、
見込み客の心理につけこむことも
発想法のひとつだし、タバコを嗜好品でなく、
ダイエットという視点から表現
するタバコ
ことについては、ちょっとしたアイデアである。
つまり、この商品はある意味~であるという
切り口から表現を考えるということ。
 
ところで、45年ほど前の日本の
タバコの広告にも女性向けを意識
したものがあったのでご披露。
コピーもビジュアルもいかしてます。微妙に。

こちらはタバコはダイエットでなく、アクセサリー。
 
たばこ1

 
もうひとつ日本のタバコ広告の
コピーといえばあれですね。
あの頃の日本は、アゲアゲでした。

(たけしさんのギャグではありませぬ)


たばこ2

 
画像はたばこと塩の博物館 より


武蔵、勝てるコピーをかく語りき。

かの宮本武蔵が巌流島で
佐々木小次郎と決闘をした時のこと。
互いに剣をかまえたその刹那、
武蔵は言い放った「小次郎、敗れたり!」。
 
「ええっ!」とこれで動揺した(と思う)
小次郎は心に乱れが生じ、武蔵のペースに
はまり、結局脳天を割られて死んだ。叫び
 
生真面目な求道者(だと思う)である
小次郎は、武蔵の一言を真に受けたのである。
これが、シャレのわかる性格であったら、
「なにをおっしゃるウサギさん、そういう
アンタもフンドシの横から大事なモノがポロリと
顔を出しているではないか」と
笑って切り替えしたであろう。
 
子供だましのような挑発に動揺
していないことを見せつければよかった。
だが、小次郎はまだ若かった。
武蔵が挑発した時点で、やはり
勝負はついていたのだ。
 
武蔵は人を斬るうえで大事なことは
技巧ではなく、「敵の側をねじらせ、
ゆがませて、敵の心がゆがんだところに
つけこんで勝つ
」ことを重んじると
いったそうな。
どこまでも実践派。武蔵、ボンバイエ。
 
ところで、武蔵の兵法のような
アプローチは昔からコピーでも
よく使われてる。
初手に心をゆるがせて、関心を
ひきコピーを読ませるやり方だ。
 
 
★今回のビックリマークなコピー(の一部)。
 
 
家に対する日本人の考え方は、間違っていないでしょうか。
それが言い過ぎであれば、少し時代遅れではないでしょうか。
日本は長寿を誇る国です。しかし家について、それは当てはまりません。
住宅の平均寿命は、米国が約45年、英国が約77年に対して、
日本はわずか約30年。住宅ローンが終わる頃には、
建物の価値はゼロになって、また取り壊して建て替えている。
それが実態です。そのことに疑問を持つ日本人もまだ多くありません。
 
 
旭化成ホームズのロングライフ住宅
へーベルハウス
の広告より。
紹介したコピーは、長めのリードコピーの一部。
キャッチコピーは
日本も、ロングライフ住宅へ。
でも、ここはそれに続くリードコピーに注目だ。
 
リードコピーは、この後
日本にロングライフ住宅の考え方を根づかせたい。~
と商品であるロングライフ住宅の良さやその価値
について語っていくのである。
コピー全文は同社のサイトにPDFで
掲載
されているのでご覧くださいませ。
CM、ラジオCMも掲載されているよ。

 
コピーのアプローチの流れをみてみると、
まず疑問を投げかけ、証拠を示し、問題を
提示して、その解決方法を示している
ことが分かる。
 
家についての考え方が
間違っているのでは?(ドキッ!えっ

日本の家の平均寿命は30年(知らなかった!ガーン

建物の価値はゼロ(何とかしなきゃ!ショック!

そこでロングライフ住宅(なるほど!ニコニコ
 

…という風に、疑問を投げかけて
軽く心を揺るがせ、客観性を示して
関心をもってもらい問題を浮きぼりに
して商品へと誘導する

 
まるでビートルズの「アビーロード」の
メドレーや、イエスの「危機」の
ように随所にフックを効かせて
組曲のごとく流れていく。
 
こうした流れは、読み手に考える
余裕を与えず、納得させていく
ための
基本的な表現方法として
昔から広告やセールスレターの
コピーに使われたきた方法で、
今でもよく使われている。
 
分かっていても
感情移入させ感動させてしまう
ハリウッド映画ヒットの法則の
ように
ある基本パターンとして存在するわけだが、
表現は無限にあり、今でもちゃんと
通用しているのだ。

 
いきなり疑問を投げかけられたり、
問題に気づかせられたりすると、
人は興味を持ってしまう
もの。
「そのダイエットはあなたに
合っていると思いますか?」
なんて言われると気になるよね。
はじめから「ロングライフ住宅
というのはですね…」と言われても
ちょっといま忙しいのでと
言われるのがおちなのだ。

 
こんなことを言うと、
そんな手にのらないよと
思うかもしれない。でも、
あなたが潜在的に抱えている
悩みや不安について
問われればたぶん反応すると思うよ。

 
だって人は不満や不安の「不」を解消すること、

快を「もっと快」にすることを求めているのだから。

それに、僕もあなたも宮本武蔵のように

真理へたどり着つくにはほど遠い生き方をしてるしねー。

 

  


それって、きっとワケあり。

この間、ハンコを注文しようとネットで検索、
探しているものは、相場があるようで
どこもおおむね同じ価格。

ところが他と比べ半分くらいのお店を発見。

キャンペーン価格だから安いのかというと

そうでもなく、通常価格も他店と比べて安い。
 
ここに決めるかなと思ったのだが、
あんまり安いと質は大丈夫かと

訝しんでしまうもの。

それで気になって
サイト内を調べていたら、Q&Aコーナーに
なんでこんなに安いのですかと
いう質問があった。

 

そこには安さの理由が挙げられており、
真っ当な理由だったので納得、
そのお店で購入することにした。
 
もし、安さの理由が説明されて
いなかったら、買ったかどうか分からない。
金額をけちって段ボールで作られた
ハンコが送られてきたらイヤだしなー
なんて思ってしまうしね。
 
上戸彩ちゃんのお父さんだって、
すべてのものに理由がある!と吠えてわんわん
いるように、人は理由を知りたがる
生き物なんだよねぇ。
だから、教えてあげないと…
(なぜあのお父さんが犬なのか
知りたいでしょ?)
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
「PCを買うなら直販」という会社、62.5%。
理由:必要なものだけを選べるから。

 
 
デルの広告より。
客観的な評価や数値が入っている表現だ。
客観性があることで広告に信憑性が増す
それだけ信じられるというわけで
よく見かける表現である。
 
もちろんその数字は、第三者による
ものなので、当社調べという広告主の
データよりは信じてもいいと思ってしまうものだ。

 
僕が注目したのは、客観的な数字を
挙げるばかりでなく、理由まで挙げている点だ。
この場合、もし数字だけだとお客からみれば、
自分にとってのメリットがよく分からない。
 
なるほど、みんながそう思っているのは
よく分かった。しかし、それのどこに
享受すべきメリットがあるというのだ。
理由を教えてくれよ。といった感じでね。

 
だが、きちんと理由を教えてあげれば、
説得力は増すというものだ。
言いたいことでなく、知りたいことを
言ってあげないとメリットに
気づいてくれない
のだ。
 
ただでさえ、広告を眺めている時は
うわの空なのに、連日の酷暑で
反応が鈍っている時などは
まったく気づかないものなのだ。
 
なぜ売れているのか、
なぜ選ばれているのか等、
商品が評価されている理由
できたらトッピングしてあげたい。

 

その理由が、お客のニーズと

合致すればメッセージは

ぐーんと強力になるはず。

客観性とその理由による2トップは、

得点力のあるコンビと言えるかもしれない。


 
ついでに言うと、安さの場合も同じ。
安いを強調するのはいいけれど、
相場とかけ離れた安さだと、
不信感をもたれるので、きちんと
説明責任を果たすことも大切である。

ワケありな商品は、
ワケありなカップルと同じくらい、
偏見にさらされるものなのだ。!?シラー

 

言ってみれば、これも間接話法。

のためなら死ねる。
小学生の頃、流行ったマンガ
「愛と誠」の中で岩清水くんはそう言った。
愛する者のために死ねるかと問われると、
やっぱりちょっと考えさせてと
躊躇しちゃいますよ、小粒な人間である
僕としては。
 
でも、君のためならがんばる。
これならOK。ぐんと敷居も下がって
張り切っちゃいますよ。
人間は誰しも自分が一番かわいい。
だから、自分のためだけに
がんばっていると、
わりとくじけてしまいません?
きついのはイヤ、誰にも迷惑かけないし
という感じで。
 
しかし、不思議なことに誰かのため、
たとえば家族や恋人など
大切な人のためなら、なんとかふんばれる。
 
以前、ある社長さんが
酒の席でしみじみと言った。
「何度も会社をたたむことを考えた。けれど
ウチに帰って娘の顔を見ているとね…」と。
この社長さんの場合、がんばろうスイッチを
押してくれているのは子供なのである。
 
あなたのがんばろうスイッチを
押してくれるのは誰?
 
 
★今回のビックリマークなコピー
 
 
私の心配を
してくれる人が
私は心配。
 
妻の内視鏡検査。

 
 
オリンパスの広告より。同社の
胃カメラについて触れた企業広告なので
内視鏡なんて言葉が使われているわけだ。

 
「誰に」「何を」「どう言うか」
これらは広告を考える時の軸。なかでも
「誰に」と「何を」は大事
で、
ここが明確でないと、よく分かんない!と
言われてしまう広告になり、予算を
社会保険庁のようにムダにしてしまう。
 
上のコピーは、企業広告ではあるが
乳がん検診キャンペーンの広告のように、
妻の内視鏡検査を促進する表現にも
なっている
ので、その視点から見てみると

ひとつの気づきが発見できる。
 
内視鏡検査を受けてほしいのは、
この場合は妻である。
だから直接、妻に対して「検査を受けましょう」と

語ってもいいのである。
ところが、このコピーは夫に向けられている。
間接的にメッセージを届けようとしているのだ。
 
どうしてか。その意図は容易に
察することができるよね。
それは広告に言われるよりも、この
広告によって妻のことを思う夫(近しい
大切な人である存在)から
「検査を受けてみたら」と言われた方が、
説得力は大きい
から。グッド!

 

つまり間接的に伝えたほうが、

自分ことを心配してくれる
夫のためにと検査を受けてみよう
という気にさせやすいのだ。
 
気にかけてくれる大切な人のためならと
モチベーションもアップ
する、そう思いません?ドキドキ
 
私のことが好きなら、あいつを殺して!
と惚れられていることをいいことに
男に殺人をさせようとする悪女が
よくサスペンスドラマに出てくるが、
冷静に考えれば、馬鹿げたこと
なのだが、惚れた女に言われると
「君のためなら死刑になってもいい」と
やっちまうのだ。叫びラブラブ
なんか変なたとえですまん。
でも、言いたいことは分かるよね。
  
広告の言うことは鵜呑みにできないけれど、
信用している人、好きな人からの情報は
信じてしまいやすいという口コミの
メカニズムと似ている。
 
この間接的に人を動かすという方法、

いろいろと応用が考えられる。
たとえばメンズ製品、直接男性に訴求せずに
その妻やカノジョに間接的に訴求することだって
できる。あなたのカレシ(夫)をもっとカッコよく
しようというメッセージで。
 
妻と夫、彼氏と彼女、親と子など
互いに強い信頼、影響力のある関係性を
うまく使うやり方だが、この場合は
広告をセールスマンではなく、
黒子のようにアドバイザーのように
機能させる
といったイメージ。

 
間接的にアプローチすることで、

広告くささを和らげる。でも説得力は強くなる

急いてはことを仕損じる、急がば回れ。

言ってみれば広告による間接話法。

そうするだけの効果は期待できる。


 



まさに、呼び水となる。

コーズ(課題)マーケティング(cause marketing)なる
ものを耳にしたことがあるかもしれない。
分かりやすく言うと、社会貢献活動を活用した
マーケティング
。たとえば商品を買うと
利益の一部が、乳がん撲滅の資金に使われると
いったようなしくみ。
 
アメリカでは、年々コーズマーケティングの
市場は拡大傾向のようで、その理由は
予想以上に大きな利益を生み出しているから。
調査によると、寄付活動をしている会社と
そうでない会社を比べた場合、90%の消費者が
寄付する企業の商品を買う
という。

 
参考記事(ちょっと古いですが)
「ピンク一色に染まる米国企業のなぜ」

 
最近、ボルビックは、
「1リットル for 10リットル」
というCMをやっているが、これは
同社がユニセフに協力しているプログラムで、
ボルビック商品を買うと、アフリカの井戸づくりに
資金に使われるというもの。
1リットルあたり、10リットルの水がアフリカの
井戸から生まれるから名づけられた名称だ。
これもコーズマーケティング。

 
そのボルビック、「ミネラルウォーターに
関するアンケート」
では、好きなブランド1位。
「1リットル for 10リットル」実施後では、
売上の面でも大きな伸びが見られるのだろうか。
同調査では、ミネラルウォーター購入時に
広告やCMによるイメージは重視されていないようだが、
パッケージのデザインにも反映していれば、
選ばれると思う。自分もプチ社会貢献という感じでね。

 
それにしても、水を買うなんて
20年くらい前は想像もできなかった。
昔、社会の先生が将来水と食料を
めぐって戦争がおきるぞと言っていた。
そんなアホなとその時は思っていたが、
最近の食をめぐる世界の動向をみると、
この先、そんなことが起こっても
不思議ではないと思う。
ということで水についての広告を…
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
飲水は気にするのに
毎日のお風呂は無関心?

 
 
風呂用浄水器アクアミルムのネット広告より。
ヴィジュアルなしで、テキストのみの広告。
短い言葉で、いかにクリックさせるか、
つまりいかに興味を持たせるかに注力
しなくてはいけないコピーだ。
 
ニーズを作る、あるいは潜在化している
ニーズに気づかせる
、そんな表現である。
「そう言われると気になるな」と
思わせなくてはいけない。そんな気に
させるためにどうしているのか。
 
それは説得力をつけるために、
ほかの例を引き合いに出していること。
この場合は、飲み水。
ほとんどの人が、安心や安全のために
飲み水にお金を出す今、同じカラダに
入っていく風呂の水には無頓着で
いいのかという問題を投げかけている。
 

風呂で使う水も、飲み水と
同じように気を使うべきでは?
と、飲み水を引き合いに出すことで、
その必要性を喚起させようとしているわけ。

呼び水となるとはこのことだ。
たんに「お風呂にも安心な水を」と
言うよりも説得力は強くなる。

 
ちょっと応用してみよう。
たとえば、国産の材料しか使って
いないちょっと高めの価格の漬け物の場合、
「野菜は国産しか選ばないのに、
漬け物は無関心?」なんて言われると、
商品選びの基準に気づかされて、
高くても買ってしまうかもしれない。
 
まぁ漬け物でなくても、ジュースでも
スープでもサプリメントでもいいが、
こだわりのある商品にも使えるね。
 
他にも「オフィスでは省エネにうるさいのに、
家の~はいいの?」なんていろいろ考えられる
けれど、キリがないのでこのへんで。

 

お、さっきサッカーの女神が、

イラクに素敵なギフトをプレゼント。

すばらしい!プレゼントクラッカー 

いつもはsunday bloody sunday、

でも今日はsunday bright sundayになったね。

 


それは、あなたの知らないニュースか。

シラー「世の中は欺瞞に満ちている。政治家も
企業もウソばかりつく」
ドクロ「その通り。そんなものを簡単に信じて
いいんですかね」
シラー「あんた、誰だ」
ドクロ「あ、どうも。広告です」
シラー「広告なんて、はなから信用されていないぞ」
ドクロ「ええ、知っていますよ。昔アメリカで行われた
調査によると、広告の85%が無視されて
いるとか。私も大げさだとかうさんくさい
なんて言われたものです」
 
シラー「よく分かっているな。その広告が信用に
ついて意見など言えるとでも」
ドクロ「キツイこと言ってくれますね。でも私たちは
時に愛され、人々を楽しませますよ。そして
みんなの役に立つ情報も伝えている。
政治家と比べないでください」
シラー「ほう、いやに得意げに言うじゃないか。
しかし所詮、商品を買ってもらうためだ」
 
ドクロ「おかしなこといいますね。あなた本当に
コピーライター?私は広告、それも商品広告。
遅かれ早かれご主人の商品を売るのが目的。
そのためにお客さんに向けて説得するのが
仕事なんですよ」
シラー「広告のくせに真っ当なことを言うな」
ドクロ「分りきったことをいうヒマがあったら、
私が仕事をしやすいようなコピーを
考えてくれませんかね、たとえば
ニュースのようなコピーとか」
むっ「ニュース?」
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
くすんだ肌は、
古くなった肌だと知っていますか。
 
 
やせにくくなった原因は、
基礎代謝にありました。
 
 
最初のコピーはクリニークの美容液
後のコピーは大正製薬の健康食品の広告より。
二つのコピーの共通するのは、
客観的事実を伝えようとしてること。
その事実を知らない人にとっては、
それはまるでニュースのような情報である。
 
もちろん、これは「くすんだ肌」や
「やせにくくなった原因」という
誰もが抱えがちな問題を浮かび上がらせる
ことで、商品の必要性を持たせるための表現。

 
このようにまず客観的な事実をつきつける。
新しいこと、知らないことには人は興味を
持ちやすい
。なにせ人間は好奇心のかたまり。
特に自分に興味のあることには
思わず反応するでしょう?
  
他にも「10人に1人は~という事実」
とか「企業の40%は~を導入」のように数値を
おり込んだ表現も客観性があると思われ、
信じてしまいやすい。(データの信憑性に
疑問があるケースもあるだろうけど)
 
だが、事実を述べたところでそこは広告。
キャッチコピーで問題に気づかせて、
その解決をボディコピーなどで示しながら、
商品への欲求を高めて、買うという行動を
促していく
のだ。
 
よくある「~で悩んでいませんか」と
問題を提示し、「そこでこの~」と解決方法が
商品を使うことであるという基本的な
流れと同じパターンである。
 
ただし、この場合だと表現によっては、
うさんくさくなるので、事実を示して
信用を得る方法のほうが効果的だろう。
ただし、データや事実の歪曲や捏造は
なさらぬように。
 

ドクロ「どうです?広告のほうが正直でしょう」

 

やっぱり必要なんだよ、フェロモンが。

君の本が第1ページでこの読者をとらえそこなったら、
彼はそれを棚に戻し、別の作家の小説を買うだろう。
と言っているのは作家ディーン・R・クーンツ

著書「ベストセラー小説の書き方」でそう述べている
クーンツはモダンホラーで多くのベストセラーを
出している作家で、代表作「ウォッチャーズ」は
以前読んだが確かに面白かった。
 

そのクーンツがベストセラー小説を書く
ポイントのひとつに、冒頭の3ページが勝負だ
と挙げている。いかにはじめに読者を引きづり
込むか、それが大事だということである。
 
それはコピーも同じである。
キャッチコピーは、リードコピーを読ませるために
リードコピーはボディコピーを読ませるために
機能させなくてはいけない。
それで、それでと次へ次へと読み手を誘導させる
ことが必要なのはとても基本的なこと。
 
特に最初に目にとまるキャッチコピーは、
文字通り読み手の関心をキャッチしなくては
いけないのである。キャッチコピーで

キャッチできなかったら、どんなにボディ

コピーが素晴らしい内容でも読んでもらえない。
 

そんな読み手を思わず引き込むような

一行を書くには、どうすればいいのか。

それにはいろいろな意見もあるだろうけど、

個人的には小説をたくさん読むことがいいと思っている。
 
あまりこんなことはビジネス書に書いていないから、
ホント?と思うかもしれないが、自分の体験で
いえば小説を読むことはかなりプラスになっている。

 
それで、僕の好きなある作家なのだが、
この方の作品では、思わず引き込まれる
ような最初の1行をよく目にする。
どんな書き出しかちょっと興味ある?

 
 
★今回のビックリマークコピー書き出し。
 
 
一杯のカクテルがときには人の運命を変えることもある。
 
夢の中で三晩つづけて姉を抱いたことがある。
 
あたしがゆきおくれたのは妹のせいだ。
 
今年四十歳になる運転手、武上英夫は秘密を三つ持っている。
 
その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。
 
子供のころから名前では苦労している。
 
男にとってこの世でいちばん頭の痛い存在は妊娠した女である。
 
失業したとたんにツキがまわってきた。
 
夫があの不幸な事件で命をおとしたあと彼女は十歳も老けた。
 
 
すべて佐藤正午さんの小説より。
みな最初の1行である。作品を順番にいうと、
「ジャンプ」「傘をさがす(夏の情婦収)」
「姉(バニシングポイント収)」「運転手(バニシングポイント収)」
「彼女について知ることのすべて」「童貞物語」
「個人教授」「永遠の1/2」
「アーガイルのセーターはお持ちですか?(カップルズ収)」。
短編は( )に収録されているタイトルを入れています。

いずれの文章も、その先を読みたくなるような

フェロモンを漂わせている
 
恋愛小説、青春小説というカテゴリーで語られることが
多い佐藤さんだが、文章の巧さもピカイチである。
これは他の作家や文学評論家が言うのだから間違いはない。

よくある話でも、この巧みな語り口につられて

ついつい読み進んでしまうのだ。
 
デビュー作「永遠の1/2」を読んで以来、かれこれ
ファン歴20年ほどになるが、文章や語り口の巧さに
気づいたのはやはりコピーライターになってから。
たぶん仕事柄、ストーリーだけでなく、言葉の使い方

や表現に関心を持つようになってからだと思っている。
 
佐藤さんの作品は、いくつか映画化はされたけど、
TVドラマの原作になって話題になったということもなく、
作風も最近のトレンドのようにベタベタな泣かせる
感じではないので、あまり注目されることがないのだが、
恋愛小説、青春小説の醍醐味である、振り返ると
あり得たかもしれないもうひとつの人生を思う時の
切なさ
は十分堪能できるんじゃないかな。
 
ところで先に挙げた、最初の1行の巧みさであるが、
思わず本文に引き込まれてしまう。そんなツカミの
あるところが読まずにはいられないコピーの
考え方と共通
している。
 
意外性、具体性のある表現、非常識(人を殺す、姉を
抱いた)な表現を使った、謎めいた感じの文章が
その先へと興味を誘うのである。
 
アメリカの伝説のコピーライター、
ジョン・ケープルスが手がけた
音楽学校の有名なコピー、
私がピアノに向かったら、みんなが笑った。
この後、「しかしピアノを弾き始めると…」と
(原文はThey Laughed When I Sat Down At the Piano
But When I Started to Play! -)
続くのだが、このコピーは通販や
セールスレターのコピーライティングについて
語られるとき、よくお手本として紹介される。
 
上の佐藤さんの最初の1行と同じように

気にならずにはいられない文章である。
小説であれ、コピーであれ読み手の興味を
つかむという点では違いはない
のだと思っている。
冒頭で小説をたくさん読むのも
コピーライティングの腕を上げるコツであると
いうことも納得できません?

 
僕が佐藤正午さんの作品を再読しずっと

読み続けているのは、文章そのものを

味わうためでもある。

そんな小説の楽しみ方を知ったのは

コピーライターになったからだとつくづく思う。

 
最近、佐藤さんの作品を読み返して

思わずため息の出た文章がある。
エッセイ「ありのすさび」の<ラブレターの練習>
の中で見つけた。それが、
 
世界中の何よりも、切なさを母親にして誕生する言葉は美しい
 
という一節。なんでしょうね、この色気のある表現。どうです?
 

ひと手間かける、それだけでうまくなる。

へぇ、そんなに怖かったんですか。
すごーく怖かった、メチャメチャ怖かったと。
なるほど。もっと詳しく言うと?
不倫相手に「奥さんに全部話してやる!」と
言われた時と同じくらい。おーそれは怖そうですなぁ。
 

え、寝ているトラのキン○マを踏んづけて
しまった時と同じかもしれないって?
それもまた怖いですなぁ。怒るでしょうな、そのトラ。

しかし、あなたも極端に表現しますねぇ。

 
まだあるって。

リングっていう映画で貞子というお化けに
殺された人の顔くらい怖かった。

確かにねぇ。あれも怖かった。
いやー本当に恐ろしい目に会ったんですねぇ。
 

私ですか?えーそうですね、昔
暴走族に追いかけられたことがありました。
あれは怖かったですねぇ。
殺されると思ったもんです、あの時は。
あちらはバイクでしたけれど、こちらは
自転車でしたから。

 
まぁなんですね、一口に怖いと言っても
いろいろなレベルの怖さがあるんですねぇ。
「すごい」とか「超」とか「驚異的」なんて
簡単に言ってしまいがちですけど、
ちょっと具体的に言ってみたり、

面白いたとえで言ってみたりすると、

これが、なかなか
実感のこもった表現になるもんですねぇ。

説得力のあるって感じかなぁ。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
世界最小の設置面積。
ささやき声ほどの稼動音。
図書館にも置けるPCサーバ。

 
 
バケツをひっくり返したような雨にも濡れない!
 
 
ひとつめは富士通のPCサーバの広告、
ふたつめは東レ・エントラントの
レインコート・スーツ
の広告より。
業種や商品ではなんの共通もない
この2つの商品だが、表現では共通した
ものが見られるよね、分かります?
 
商品の特徴や機能の程度を
形容する表現が具体的で
分かりやすい
と思いません?
「ささやき声ほどの稼動音」なんて
音の大きさがイメージしやすいでしょ。
 
「図書館にも置ける」と言い方も、
小さくて静かであることがよく分かるしね。
もし稼動音が32dBという静けさなんて
スペックで言われたら専門家以外は
分からない。巧い伝え方である。
 
ふたつめのコピーも同じで、
雨の激しさを「バケツをひっくり
返したような」と表現することで
「激しい」「すごい」「豪雨」なんて
言われるより、その程度が

分かりやすくなっている。
 
具体的に言ったり、比ゆを使って

表現すると、伝えたいことが相手にとって

想像しやすくなるという例である。

 
料理を作るとき、ひと手間を加えることで
ぐんと美味しくなったりするものだが、
コピーの表現も同じで、
具体性や比ゆで形容する、いわば
ひと手間をかけると、分かりやすさという
旨みも増すというものだ。

んー、ちょっと強引か。

 

でも神は細部に宿るって言うじゃない。

受け手が想像しやすいコピーも

そんな細部から生まれるんだな。これが。
 

商品、ウソつかない。(社長、ウソつくね)

人は言葉を使ってあざむことができるが、
ものを言わない商品はそうはいかない。
最近よくそんなことを思う。
 
ここひと月ばかりの間に、有名な企業の
不祥事がぞろぞろと発覚してきている
わけだが、経営者たちの弁明を聞いていると
言葉の浮きっぷりが目立ってしまう。シラー
 
トップの言葉だけでなく、その会社の社名や
理念やキャッチフレーズも含めての話である。
昔、担当した会社が不祥事を起こしたことがあって、
その一週間前くらいに、そこのトップに取材した
のだが、いい話はするし、魅力的な方だった。
さすが、○○のグループ企業だなと感心していた
ところ、不祥事がおきたのだ。ショック!
 
いち平社員のしでかしたことでなく、
経営層に近いところでの事であったため、
真偽は分からないがどこか欺かれた感じが
したものだった。
 
経営者とはいえ人であるから、
保身や責任逃れのためにウソを
つくこともある。
だが、商品ではウソはつきにくい。
あざむいてもすぐにバレてしまうし、
市場や消費者からの反応は正直である。
 
トップの言葉も理念も重たいものだが、
結局その企業のすべてを体現し、語って
いるのは商品(製品やサービス)だと思う。
 
商品広告は、その企業を一番よく語っている
コピーライターの仲畑貴志さん
どこかで書かれていたのを思い出した。
よい商品広告は、よい企業広告である
そしてそんな広告は売る力もあるはず、
そう思いませんか。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
消しゴムの人生は、
後半がボロボロでした。

 
 
トンボ鉛筆のホルダー消しゴムの広告より。
商品広告であるが、同時に企業広告でもある。
できるならボディコピー も読んでほしい。

商品や商品づくりに対する思いがきちんと
つづられている。
 
商品をモノとみなさず、そこに人格を与え、
消しゴムに、美しい一生と送らせたい
という
トンボの気持ちがよく伝わってくる。
 
広告の表現において、商品を人格化させる
いうことは昔から行われてきた方法。
たんなるモノとしてよりも、
人のように語るほうが、
商品との距離も近くなるし、好きになりやすい

友達と仲良くなるような感じかな。
 
もちろん商品にどんな人格を与えるのかで、
商品の印象も違ってくるし、好みも分かれてくるが、
それはまさしく人間的でしょ。
また、
キャラクターやタレントを起用するというのも
商品の人格化
もひとつの方法である。

(ただしリスクはあるけど)
 
さて、キャッチコピーを見よう。
消しゴムを使ったことのある人なら、
消しゴムの末路を思い浮かべ
、そこに
共感してしまうだろう。
 
出会ったときの初々しい姿が、
使うにつれて黒ずみ、ヒビが入ったり、
割れたりと老化していくのを。
それを人生と重ね合わせて語っている
だから、ちょっと胸が疼くのだ。
モノでなく、よく知っている誰かの

ことのように気になって。
 
しかし、ビジュアルの消しゴムを観て
ホッとする。この消しゴムはきっと
ボロボロになったりしないだろうと。
この商品の価値が、たとえボディコピーが
なくても分かるのだ。きれいに使えて
便利だし長持ちしそうだしね。
こんど消しゴムを買うときはこの商品を。
そんな気にさせてくれそうだ。

 
商品の魅力的な部分を人格化して
表現することで、トップのどんな高邁な
言葉よりも、説得力のある企業広告になる

そんな商品広告のように感じた。
 
そういえば昔、DDBというアメリカの広告会社が
手がけたフォルクスワーゲンの一連の広告

あれも優れた商品広告であり、同時に優れた
企業広告だと思っているのですが。

 


VWad01

言い訳を、言うわけを知りたい?

買い物をする時、いざ買おうという
段階になって、急に冷静になる
ことがある。
 
「これ、本当に欲しかったんだっけ」とか
「いやまてよ、こんなの買ったらセンスを
疑われるかな」とか「あっちの店のほうが
安いかもしれない、後で決めよ」とか、
急にぐらついたりしてね。
 
他にも売り場に行って、急に他の商品が目に
入ってお目当てのものと違う商品を

買ってしまったりと…
買い物時の心の動きは感情まかせで
ホンネとタテマエ、感情と理性がせめぎあって

面白いものである。
 
さらに、買った後なぜか冷静になって、
なぜ買ったのかとちょっぴり後悔の念が
湧き上がってくることもある。

「これは無駄づかいではなかろうか」と。叫び

 
そんな時は、往々にして自分を正当化
する
ものだ。間違った買い物などして
いないと自分に言い聞かせるのだ。
 
曰く「自分にご褒美」だとか
「自分に投資」だとか言い訳をして
納得させるのだ。
 
人は感覚で買い物をし、その買い物を
理屈で納得する。

(ジョセフ・シュガーマン/ダイレクトマーケッター)
 
買い物時の心理状態は

感情的で意外とあやふや。
だから、時としてコピーにも
買っても後悔しない言い訳をちゃんと
用意
しておくことが求められるのだろう。
クロージングのうまい店員の
背中を押すたくみな、たとえば

こんな一言のように…
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
年月と共に、ただ古くなっていく車か、
ビンテージとして愛されていく車か?
 
Golfという価値。

 
 
欧州車ゴルフの広告より。
ゴルフがビンテージとなりえるクルマなのか、
すでになっているモデルがあるのかは詳しく
ないので分からないが、うまいことを言う。
むろん、ゴルフはビンテージとして
愛されるにふさわしいと言っているのだ。
 
正直なところ、フォルクスワーゲンなら、

ゴルフよりビートルの方が
似合いそうな表現ではあるけれど、
オーナーマインドをくすぐりそうな一言である。
 

優れたドライビング性能を言うのでもなく、
ブランドイメージを語るのでもなく、
普通そんなことは気にしないだろうと
言うことを、まるでクルマを選ぶ際の
優先すべき基準のように言ってる。
 
果たしてゴルフを買っていいものかどうかと
購入決定の境界線を行ったり来たりしている
状態のときには効きそうである。
背中を押すダメ押しのフレーズという感じだ。
なにかいい買い物をしているという
優越感さえ感じさせてくれる。
 
締めのコピーに「Golfという価値」とあるように、
商品の価値に気づかせるというのがコツ。
とてもとても基本的なことだ。
それが差別化できるポイントとなったり、
購買を決定する決め手になったりするのだ。
 
結局のところ、表現や切り口はいろいろ
あるけれど、商品の価値をどれだけ
抽出できるか、アイデアはそこから生まれる

いろんな角度から光を当てて、ものを
見ることって大切なんだね。

 
クルマだから、ドライビング機能を
訴求すればいいという常識に
とらわれずに。