★コピーライターが思わず ! となったコピー。 -5ページ目

“ちゃっかり”を、せこいと思うのは愚かである。

僕が社会人になった頃、年配の方に多かったと思うが、
コピーを取ることをよく「ゼロックスする」と言っていた。
ゼロックス(富士ゼロックス)というのは、コピー機
のメーカー(商品名でもある)であるのだが、
リコー製でもキヤノン製でも
なぜか彼らは「ゼロックスする」と言う。
 
もっとも無理もないことで、ゼロックスは
1960年代に業界初の普通紙コピー機として登場したのだ。
オフィスにあったコピー機はゼロックスが多かったのだろう。
たぶん彼らの中では、コピー機といえばゼロックスという
イメージが刷り込まれていた
はずである。
 
携帯音楽プレーヤーなんて言葉を使わなかった時代、
(当時はヘッドフォンステレオなんて言っていたっけ?)
カセット携帯音楽プレーヤーのことを、多くの人が
ウォークマンと代名詞のように言っていたのと似ている。
でもウォークマンはソニーの製品である。
 
さくっと言うならば、このように
○○○といえば△△△(商品名やブランド名など)という
ことを刷り込むための手法をポジショニング
というが、
言ってみれば、消費者にいかに優位なレッテルを
貼ってもらうかを行うマーケティング
である。
 
この情報過多の環境の中でメッセージを届けるための、
有効な方法やケーススタディについては
最近、復刻された「ポジショニング戦略[新版]」を
読むとよく分かる。僕もよく広告のアイデアを練る時に
ポジショニングという手法は利用する。というか重宝している。
 
ポジショニングというのは、なにも商品に限った
ことではなく、レッテルを貼ってもらうという
ことでは、国でも人でも使える方法なのだ。
そこのところをちゃっかりと使っているような
コピーを目にしたのだが…
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
安心へのこだわりはゆずれません。
ドイツ生まれですから。

 
 
アリアンツ生命保険の広告より。これまたずいぶんと
ザックリした物言いである。ボディコピーには、
同社の商品を、堅実や職人気質といった
ドイツについてのイメージらしきものと結び付けている。
 
説得力があるんだかないんだか判断に困るのだが、
これが生命保険でなく、工業製品だとクラフトマンシップ
のイメージがあるから納得できるけどねー。
 
とはいうものの、すでに知覚されているイメージを
利用する
というやり方もポジショニングの手であるから
アイデアは参考にしたい。
 
「ポジショニング戦略」の筆者は、ジャマイカの観光促進
のための戦略を依頼されたときに、コンセプトとして
カリブ海のハワイ”と考え、バハマやヴァージン諸島といった
同じカリブ海の競合との違いを際立ようとした。
もちろん、ジャマイカのロケーションがハワイに
酷似しているという強みがあったから。
ちゃっかりとハワイのイメージを利用したんだね。
だが伝わるスピードは相当に速い。
効率的だ。
 
パリやロンドン、ローマに比べて観光地として
パッとしない(と思われてきた)ベルギーの航空会社は、
ベルギーには、アムステルダム5個分の魅力があります
という広告でキャンペーンをした。大反響だったとか。
ベネルクス三国(←言える?)内に、ミシュランの三ツ星都市
が6つ、そのうち5つがベルギー、残り1つはアムステルダム(オランダ)
という事実を発見し、それを利用したのだ。
 
ここでもちゃっかりと人気の観光地アムステルダムを利用し、
ミシュランというご威光をさらに輝かせることで、
強力なツートップが誕生、決定力不足を解消したのだ。
 
さぁ、そろそろお気づきだろうか?
マーケティングも広告も、そして人生さえも、
“ちゃっかり”した奴のほうが先にいっていることを。
どちらかというと“うっかり”している
僕やあなたが、世知辛い世の中を渡っていくには
いまこそちゃっかりとポジショニングをやるべきなのだ。
(こら、セコイって言うな。)
 
ところで、ドイツ関連の広告をもうひとつ発見。
 
ビールの本場、
ドイツで
金賞
 
サッポロビールの広告からであるが、特定の銘柄が
受賞したのではなく、協同契約栽培という取り組みが
受賞したのだ。
この賞の価値がどんなものなのかは分からないが、
ビール、ドイツ、金賞というのはなんだか
すごそうなイメージ。ビールの美味さも脳内増幅しそうです。
 
 
おまけ
対抗型ポジショニングの広告として成功した
エイビスの広告(byDDB)。

 
エイビスは、ナンバー2のレンタカー会社にすぎません。
それなのに使っていただきたいワケは?


エイビス

 

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ポジショニングなコピーの考え方も紹介
してますが。
ちゃっかり、ちゃっかり。↓
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君のスタジアムを、サポーターで埋めつくそう。

久しぶりに見たあなたの笑顔、元気そうでうれしくなりました。
それに相変わらずの人を煙に巻くような話っぷりも健在で、
ユーモアと風刺の間にかいま見えるあなたの情熱がいささかも
衰えていないこともうれしく思いました。
 
思い返せば、あなたが命をかけて咲かせようとした希望の花は、
一度は蕾のままで枯れたかに思えました。しかし、
ものごととは連綿と続くその積み重ねの上に起こるもの、
あなたの育てた芽は枯れるどころか、力強く花開こうと
その時を待っていたのだと先日知ることができました。
それゆえに悲観はしていません。
 
これから、あなたは少し遠くから見守るとのことですが、
タクトをふる姿を見たかったものとしては、いささか残念な
気もしないではありません。
 
しかし、これからもっと多くの花が咲くのを見ることのできる
幸せということでは、新しい楽しみが増えるのだ。そう思っています。
 
いくたびか地獄を見、死線をさまよい、人間や万象の美しさ、
そして醜ささえも受け止めてきたあなただからこそ言えること。
しかも、それはいつまでも色あせない。
この先も、きっと多くの人たちが重みや気づき、含蓄を
あなたの言葉から感じ取っていくことでしょう。
 
もちろん、それらが唯一の正解でないことも承知した
上でです。あなたは神様ではないのですから。
 
それでも、僕たちは時おり聞こえてくるであろう
あなたの話に耳を傾け、行間を読み、何かを感じ、
何かを学ぼうとするでしょう。
 
もしかしたら、これはしばらくの間の
お別れかもしれません。
けれども、やはりあなたの元気な姿を見ると、
こう言わずにはいられないのです。
 
お帰りなさい、オシムさん。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
動画は、写真の連続です。
 
 
キヤノンの広告より。同社の動画技術を

紹介した内容だが、企業広告でもある。
かっこいいフレーズで決める企業広告も悪くはないが、
やはり優れた商品広告=優れた企業広告となるのが
理想だと思う。

商品にはその会社の歴史や英知、
理念や思いが込められているのだ。
 
それで、このコピー。「言われてみればそうですね」
的な表現ではあるけど、キヤノンが言うと説得力がある。
デジカメもそうだが、ビデオカメラの市場にも
いくつもの会社が参入している。カメラメーカーよりも
オーディオや電器メーカーの方が多い。
 
最近では機能やスペックも拮抗しているので、
なかなか突出するのは大変だ。
だから「包丁ならドイツね」「ワインならフランスね」
なんて、脳内ポジショニング(ブランド認知なんていう時も)
で選択させてみたい気も起こる。
 
静止画1枚1枚を美しく描写する技術があるから~」と
リードコピーにあるように、カメラメーカーとしての
自信と矜持が、受け手にとっては信頼に映るかもしれない。
もちろん、そこは自負があるから威張ったりせずに
スマートにさらりと言ってみる。
 
同じコピーを、たとえば松下やビクター、カシオが
言うと、価値の落としどころがよく分からないから、
優れた技術であっても、アドバンテージとして
受け止められるかどうか不明。
 
サッカー前代表監督イビチャ・オシムさんは復帰会見 の中で
再び、日本サッカーのイノベーションの方向性を示している。
それは監督就任時でも言ったことだ。それはすなわち日本代表の日本化。
 
(サッカー強国の)まねをしても彼らを超えることはできません。
まねは良いことではありません。ですから、日本はコンプレックスから開放されて、
自分たちのストロングポイントを自覚することが必要だと思います

 
ビジネス界でもさんざん言われてきたことだ。賢い人生のわたり方
でもある。オシムさん、貴方はフットボール界のドラッカーのようですね。
 
先のコピーは、キヤノンのストロングポイントだからこそ説得力がある。
5日の日経新聞にビデオカメラのランキングが掲載されていたが、
専門家による評価で(各社が推す18機種の中で)一番ポイントが
高かったのがキヤノン、一ヶ月の販売台数では3番目。
 
そんなパワーブランドであっても、激しい競争の中では
「動画も、キヤノンで美しく」と、つねにストロング
ポイントの訴求はさぼれないということだ。
2番手下ならなおさら。

 

強みを見つけたらスピーディに受け手の脳内に攻め入る。

その高速カウンターを広告やPRが支える。
 
最初は小さなことでも、使う人にとって価値あるものならば
磨き続けることで、それはいつのまにか競合からの
参入障壁となる
のだ。ホームとなる自分のスタジアムを
つくり、サポーターで埋めつくそうじゃないか。
相手は萎縮して力が出ないかも。
 
貧しい国が金持ちの国を倒してほしいです。金で選手が買える国や、
勝って当然という国が勝ったらつまらないじゃないですか

つくづく痛快なじーさんだ。
サッカーのせいで病院に運ばれたけど、サッカーの力で戻ってこれた」と
笑わせてくれるけど、リハビリ中でもサッカーを学ぶことを止めなかった
情熱と向学心には驚嘆するだけだ。
 
僕たちも、まだまだ学ばなくちゃね。
 

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それじゃ、話が違うよ。

1年ほど前の新聞記事、携帯電話と消費行動
について、こんなエピソードが紹介されていた。
 
携帯サイトである焼酎を発売した。その時のコピーが
酒が笑うんですよ。魂を込めるほどに
しかし注文はわずか。ところがコピーを
先着300名様限定!」に変更したところ、
あっという間に完売したとか。
 
希少性の法則、限定マーケティング
とても分かりやすい事例だ。
担当者によると、最初のコピーには
けっこう自信があったとのことだが、
わりとありがちな思い違いをしている。
 
ビジュアルも含めて、実際にどんな表現
だったのか、また商品の詳細を知らないので
とぼしい情報での推察になるけど、
この場合、広告の目的と表現にミスマッチが
あったのではないかな。
 
たぶん携帯サイトの通販のようなので、
その場で売らなくちゃいけない。
店頭のPOPのような引きが欲しいところ。
そう考えると、最初のコピーは抽象すぎて分からない。
分からないものはBye-Bye!
 
広告には目的がある。それによって、
期待される働きも変わってくる。
さらに媒体の条件によって、商品によって
とさまざまな要素がからんでくる。
当然、コピーもデザインも変わってくる。
 
広告が効かないといわれて久しいけれど、
目的と表現が合っていないために、
効いていない事例も多くある。
 
先の焼酎のコピーの例も、たぶん
その場で、すぐに売るというリアリズム
表現に欠けていたのだろう。
 
リアリズムに徹したコピーなら、
通販(ネット、紙媒体)の広告表現が一番である。
試行錯誤を経て精度を高める努力、気がつけば
いろいろやってますねー。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 

 
 
 
 
いつもとは違う、ちょっと変則的なやつでいきます。
ライスフォースという化粧品のバナー広告より。
ヤフーでは、よく表示されるので見たことの
ある方も多いんじゃないかな。
 
メッセージを読むと、30歳代の女性に向けたもので
あることが分かる。○歳に見えない~という興味を
そそるようなコピーは同じだが、使われている言葉には
それぞれ違いがある。
 
見てみると「通販限定」「400万本突破」「大ヒット」
「売れ筋」「体験談[写真付]」といったように、
訴求のポイントは似ているが、意味やニュアンスの
異なる言葉を用いて、違いを出している

 
どの広告からのクリックが多いか、すなわち
どんな表現(あるいは言葉)に反応するかを
比較
するために行っているわけ。
そして、なるべく反応が高い、精度の高い表現を
見出そうとしている。
 
さらにクリックした後に行くランディング先の
ページだが、僕が試したところどちらの広告からも
同じページへとぶ。
したがって、これはバナー広告のキャッチコピー&
デザインのテストだね。次いこう!
 

↑の広告は、同社の40歳代、30歳代向けの広告。
ランディング先のページには、商品を使った体験談が
掲載されているが、40歳代向けのほうは40歳代の、
30歳代向けのほうは30歳代の体験談がトップに
載っている。バナー広告とランディングページの
内容が一致
しているわけだ。
 
細かいが、大切なこと。バナーやリスティング広告で
アクセスを集めたものの、ランディングページの内容や
表現とミスマッチ
しているため、結局そこで読み手を
離脱させてしまう
ことが多いと聞く。
行ってみれば、話しが違うじゃない!とガッカリさせて
しまうんだね。
 
サッカーでイメージすると、ゴール前、ドンピシャの
クロスなのに、シュートを外すといったイメージだね。
聞こえてくるのは、あ~というサポーターの落胆の声。
 
これはネット広告だけの話ではないぞ。
たとえば、キャッチコピーとリード、
ボディコピーのリレーション

あるいはダイレクトメールにおける、封筒の表現と
中に入っているレターやブローシャの表現の連動

コピーだけでなく、デザイン(写真、レイアウト)
の影響も大きい。
 
ゴールを決めるまでの最適な説得のシナリオを
どう作るか、それは仮説を立てテストを重ねて
精度を上げていくしかない。
 
上の例のように、異なったバナー広告の表現で
キャッチコピーやデザインのベストな表現を
抽出する方法
もあれば、共通のバナー広告を
用いて、異なったランディングページを
設定し、購入や資料請求などゴールの精度を
比較
する方法もある。
 
こうしたテストによるノウハウの蓄積は、
今後増える携帯電話でのモバイル広告、
テレビのデジタル放送下のCM(映像・音声)
でのアプローチにも役立つんじゃないかなー。
 
サッカーの釜本邦茂さんは、決定力を上げるため
には、ゴールから逆算してプレイを考えろという。
広告も同じですよね。ん?
さぁ練習、練習!

やっているとこは、やってますぞ。
 

おや、サイバーエージェントさんも。

 
 
練習するときはネタに使ってくださいな。

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そろそろ、君が幸せをつかむ番。

今日深夜というより、明日未明にヨーロッパクラブNO.1を決める、
チャンピオンズリーグ決勝が行われるので、ひとり地味に盛り上がっている。
周りにユナイテッドファンはおろかサッカー好きはほとんどいないので、
だいたいこんな感じ。もう慣れちゃいましたが。
(TV中継は地上波はフジ系列深夜3:35~)
 
それでもファイナル進出はなにせ9年ぶりなので、
ユナイテッドファンの僕としては、盛り上がらずにはいられない。
といっても、興味のない方にとってはどうでもいいことなので、
僕の胸中などはさておき別の話をひとつ。
サッカーファンにとっては特にシリアスで、いたくて重い話
なんだけどね。かお
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
ただのボールだと思うな。
チームメイトだと思え。

 
 
アディダスのサッカーボールの広告より。
この夏行われるユーロ2008に使われる公式試合球らしい。
実際にありえない話だけれど、もしある国の子供たちが
このメッセージを見たときにどう感じるだろうか、
 
ご存知の方もいるだろうが、サッカーボールのほとんどは
主にパキスタンやインドで作られている。
問題になってきたのが、ボール作りに多くの子供たちが
使われていること。
断っておくけど、上のコピーのアディダス社がそれに
加担しているということではないよ。
 
サッカーボールが悪質な児童労働によって作られている事実は、
以前から大きな問題となっていて、FIFAの指導などで
改善されてきている部分はあるにせよ、依然として
なくなっていないと言う。(興味のある方は、
「サッカーボール」「児童労働」で検索してね)
 
サッカーボールは機械でなく、ひとつひとつ手縫いで作られる。
それは大人でもきつい仕事で、1日2、3個しか作れないという。
それを小学2年生から5年生くらいの年の子供たちが、
学校にも行けず、あるいは行ってても放課後に作っている

 
それで1個あたり得られる金額は15円くらい
針がささったり、間違ったら大人に怒られたり、手が湾曲したり
などとてもつらい思いをしながら縫っていたらしい。
 
以上の話は本やネットで知ったことで、不正確な部分も
あるだろうし、現状はどうなのかは分からないこともある。
フェアトレードによる売買も広がってきているようで
少なくとも悪い方向には向かっていないようだけど。
 
それでも、「僕たちの国で作ったボールで、あの
クリスティアーノ・ロナウドがゴールを決めた!」と
子供たちが喜ぶ日が来るには、まだ時間がかかるのだろう。
  
心がしずむような話だけど、そういう影の部分も
知っておくのも、または伝えることも
サッカーファンとしてありだと思うので、あえて。
 
そろそろ君が幸せをつかむ番
その時は僕もそばにいたい

(THE BOOM「そばにいたい」より)
 
雑誌BRUTUS最新号の特集は「サッカーは地球を救う!?」。
それによると、クラブも、選手も、関係者も
いろいろやっているようです。ファンもがんばろうと
思いました。
 
 
さて。今夜行われるファイナルは、
マンチェスターユナイテッドVSチェルシー
というイングランド対決なんて言われるが、
案外対照的なことも多い。
 
たとえば、
ユニフォームカラーはレッド(マンU)VSブルー(チェルシー)
そのサプライヤーは、
アメリカのナイキ(マンU)VSヨーロッパのアディダス(チェルシー)
ちなみにナイキの契約選手にはクリスティアーノ・ロナウド、
ルーニー
のユナイテッド勢、
アディダスはA・コール、バラック、ランパードのチェルシー勢。
 
両チームのオーナーは、ユナイテッドがアメリカ人のグレイザー
チェルシーがロシア人のアブラモビッチ。どちらも大富豪。
ピッチの外の戦いも熱そうで。
 
テレビ次の映像は、9年前ユナイテッドが優勝した「カンプノウの奇跡」の
ダイジェスト。3分間のロスタイムに起きたマジック。
 
あの時、僕もテレビの前で興奮したけど、今からみると
最後まであきらめなかったユナイテッドにフットボールの女神は
微笑んだ。終了ホイッスルも鳴っていないのに、勝ちを確信し
闘将マテウスを下げ油断したバイエルンに女神がそっぽ向いたのは
自明の理だったんだね。
さぁユナイテッドキングダムの誕生の瞬間(今回もそうなれ!)

想像してごらん、その恐怖。

どうやら、ジュリアロバーツはワキの甘い女らしい。叫び
この記事 を読むと、そういわれても仕方がないだろう。

仕方がないだろうと、出演料2,000万ドルの大物女優に向かって
えらそうに言うことでもないけど。

 
まぁジュリアは、ワキの下のデオドラントは使わない、
ワキ毛の処理にも無頓着だということを知っただけの
話である。(また、つまらないことに記憶容量を使ってしまった)
 
ワキ毛といえば、「ロックバルーンは99」のヒットで有名な
ドイツのバンド<ネーナ>のネーナ嬢(Vo担当)のワイルドなワキの
に衝撃を受けた世代であるが、そんな誰もが知っている(年配の方は
知らネーナ?)話はさておき、あまり知られていないワキの話はどうだろう。
 
TVのドキュメンタリーで知った生半可な知識だが、
古代ローマ帝国の時代に、ワキ毛職人なるプロがいたそうな。
ワキ毛の職人というからには、盆栽アーティストのように
ワキ毛をハートドキドキやクマちゃんクマの形にカットしたり、
レインボーカラー虹で染め上げたりするのだろうと
想像しがちであるがそうではない。(それはそれで
見てみたい)
 
その番組によると、ワキ毛職人とはワキ毛の処理をする、
今でいうとエステシャンのようなプロとのこと。
ローマの貴族たちも、現代人同様によくスパ施設に
通って温泉に浸かっていた。
当然エステサービスもあったらしく、男もワキ毛職人に
ワキを脱毛してもらっていたらしい。きっと胸毛も

抜かれていたんだね。
 
この時代、ローマの貴族たちはメトロセクシャルな
人だったのだろう。ロン毛やヒゲは野蛮な民族という
ことで、ヘアスタイルは短め、ワキはツルツルが
流行っていたようだ。そんな風だから、ワキ毛ボウボウ(推測)

のゲルマン人に滅ぼされちゃったんだね。
 
どうです?くだらない?(よね!)
……仕方がない。ジュリアロバーツの話と同じくらい、
記憶容量をムダにしたと思った人のために先に急ごう。
そして、話はさらにワキにそれる。(剃れるでなく、逸れる)
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
だんだん薄着になって行く
だんだん私が現れる。
夏、どーするオナカ。

 
 
ワコールの<おなかウォーカー>の広告より。
電車の中、自分の腹の肉をつまみながら、他人事でない
ぞと警戒したコピーである。女性はこの矯正ランジェリーの
広告をみてどう思ったのでしょうか。はてなマーク
 
広告というのはある意味において、妄想発生装置、
イメージ増幅装置
みたいなところがある。商品を手に入れることで、
素敵な自分になれるかも(あるいは手にいれないとヤバイかも)と
思わせるようなイメージをくっきりとさせる役目を果たすからである。
 
ポジティブにしろネガティブにしろ未来をとことん、
リアルに想像させることに機能し、商品への欲望(または興味)を
生じさせればしめたものである。
 
紹介したコピーは、危機への警告である。
それをもうすぐやってくる、夏や薄着の季節という
状況下において、どのようなリスクがあるのか
具体的にイメージを増幅させようとしている。

 

思わず自分のプニッとしたおなかの肉を

つまみたくなるほど、恐怖の未来を

脳裏というスクリーンに映し出させる。ドクロ
 
ぼんやりした必要性に、くっきりピントを合わせる
ことによって、そのイメージは鮮明となり欲望が生まれる。
ニーズからウォンツへと心理的な化学反応がおきるのだ。
 
ジョン・レノンが、<イマジン>で“想像してごらん”と
歌ったように、広告でも、“想像してごらん、素敵な自分を
(あるいはヤバイ自分を)”と語りかけよう。
 
さて、話はさらにワキにそれる。
何気なくTVのニュース番組を聞いていたら、ゴキブリ、増加という
言葉が耳に入ってきたので、ええ!と画面を見たら、GDPについての
ニュースだったらしく、ゴキブリと聞こえたのは、五期ぶりという
ことらしいことが分かった。
それはともかく、4期ぶりだろうが、お久しぶりだろうが、
これからの季節は、ゴキブリが増加することに間違いはなく、
ワキ毛、おなか、臭いとともに十分注意したいもんである。
 
今日はなんだか、おじさん、ダジャレが多かったりして。ロボット
 

 

 

 

あなたのおかげで、重版になりました!

どうもありがとうございます。

ワキ毛職人のコピーもビビビと

ひらめくヒントがいっぱい!

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環境と反響の間で。

前々回で、品質や環境についての広告が多くなったと
言って、安全・安心を伝える広告を取り上げた。
今回は、環境についての広告。別にたいそうな話はしないけど。
 
ここ1年ほどくらいですかね、環境をテーマにした広告が増えたのは。
新聞を見ると、必ず毎日1つふたつ見かける。
その昔、といっても20年くらい前。ボルボの広告に
 
私たちの製品は公害と騒音と廃棄物を生みだしています。
 
というドキリとするコピーがあったけれど、
こんな「生まれてきてどうもすいません」と
太宰治のような表現こそ見かけないが、
工場でこんな取り組みをしていますとか、環境負荷の少ない
素材を使っていますかとか、
それはイロイロ。みな率直に語っている。
 
最近では、環境へのやさしさで選んでくださいね
というちょっぴり売る気を見せるメッセージも目につく。
それが家電とかクルマなら分かるんだけど、まさかね、
この業界も?!と驚いたのでありましたー
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
今の時代、お金のことばかり
言ってられない空気です。

 
 
ソニー銀行の広告より。何のこっちゃ?と
思わず目が止まるような言い草。
 
サブキャッチが目に入る。ふむふむ。
「100%カーボンオフセット銀行へ。」や「これからは銀行を
選ぶことが、地球温暖化の防止につながります。」とあり、
銀行選びの条件にも、環境がランクインしてきたのか?
とちょいと驚く。
 
似たような切り口で、次の日本ヒューレットパッカード
PCの広告でも、エコ性能で選んでねというメッセージ。
 
管理者の負担も、地球の負担も管理、軽くします。
 
とここでもエコなコピー。ちょっと前は、省エネ=経済性で
語られることが多かったけれど、同じエコでも
エコノミーでなくエコロジーなんだね、今は。
 
他にも、鉄道貨物をエコで語り、トラック輸送よりも
優れているということを訴求した広告もあったり、
エコをてこにした、電気製品の買い替えキャンペーンがあったりと
商売にもうまいこと使われている模様。
 
そうは言っても、環境にやさしければ売れるという
わけでもなさそうで、以前に僕の知人がクルマを買う際、
夫は環境にいいからとハイブリットカーにしようと
思っていたのだが、妻のデザインとかブランドで選びたい
という意見に押されて、結局ガソリンエンジンの欧州車に
したという話がある。
 
環境にやさしいことよりも、まだ多くのことが
優先されるというのも事実なようで。
環境と反響の間には、まだ開きがあるんでやんすね。
 
これから環境にイイという大義名分での
マーケティングも増えてくるけど、
以前アダルトビデオのチラシで見た
「これなら性病の心配なし!」のような
想像を超えたメッセージを期待したいです。はい。
 
 
さて。ウイガァラィ!(We got it!)
クラッカー先週末、マンチェスターUが二連覇、ファンとしてはホクホク。
今シーズンは、すっかり大人のチームになっちゃって。
クリ坊の活躍ばかりが目立ったけど、圧倒的な守備力のおかげだと
思っています。昔、サッカー指導者から聞いた、
サッカーはつねに守備から始まるという言葉を実感したなー。
  
ということで、優勝記念に歌ってもらいましょう♪
優勝セレモニーでも流れていたし。
“友よ、俺たちこそがチャンピオン。最後まで闘おうじゃないか”
次は5月21日、モスコゥでこの曲を聴きたいぞ。
(ところでフレディ、その格好、あんた風呂上りのオッサンか)

 
マンUのアメイジングなゴール集(4月)こちらオフィシャルサイトで。
クリ坊の「どこから現れた!テレポーテーション弾丸ヘディング」や
どこか乙女なハーグリーブスのアーセナルに「もう歯向かいません
ごめんなさい」と言わせたFK
敵将ライカールトに「わたし、これで
辞任の決心しました」とふんぎりをつかせたスコールズの中距離ミサイル
シュート
など4月はスゴイのばっかり!叫び

大きさなんて、気にしないわ。

バカね。小さいとか大きいとか気にしていないのに…
そう慰められても、やっぱり気になるあのサイズ。
誰も気にならないのになぜこだわるの、まったく男って。
  
で、サイズとプライドの話である。
デジカメやケータイの広告を見ていると世界最小、世界最軽量、
世界最薄といったコピーが目につくが、そんなスペック至上主義みたいな
メッセージに、どれだけの人がその商品を欲しくなるのだろうと思ってしまう。
 
自分について言えば、世界一小さいからといって、よほど画期的なレベル
でない限り、欲しいなんて思ったことはない。
持ち物はナンバーワンでないと気がすまないという人以外、
たとえワールドクラスなスペックであっても、ほとんどの人はさほど
興味を持たないのではないかなー
 
それにもかかわらず、広告主は世界一や業界一を強調したがる。
2番目との差がほんのわずかであっても、
バーンとでっかく世界一を入れましょうと意気ごむ。
反対に、わずかの差で世界一に届かないと「これといって特徴が…
どうしましょう」と弱気になる。
電器メーカーの仕事をしていた頃、度々そんな場面に出くわしたものだ。
 
もちろん、自社の技術の結晶を世に知らしめたい気持ちは分かるし、
それは必要だと思う。しかし、そのレベルを数値や最小とか最大とか強調表現で
そのまま伝えたところで、欲しいとか知りたいという欲望と結びつくかというと
あまり期待できそうにない。
 
なぜなら、イメージしにくいから。そのサイズなり重さのレベルが
なんとなく分かっても、商品を使ったときのメリットが想像しにくいのである。
世界一薄いノートPC、マックブックエアーの薄さがイメージできるのは
数値でなく、封筒にも入るという演出があるからなのだ。
 
だいいち、小さいからスゴイとか、軽いから便利という表現で、
みんなが商品を欲しくなるのなら、コピーライターなんて必要ないのだ。
欲しいと思わせたいのなら、小さい、大きいということを言葉や
ビジュアルのアイデアで商品価値に変換して、欲望とつながなくてはいけない

そこが頭の使いどころであり、広告のプロたちはそれでご飯を食べている。
 
  
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
手より小さくなった瞬間、
Video Cameraは荷物でなくなる。

 
 
ビクターのエブリオというビデオカメラのコピーより。
少し前、商品のWEBサイトで見かけた。
デジカメやビデオは、より小さいとか、より軽いとか、よりきれい
といったところでしのぎを削っているので、いつも最小とか最軽量、最薄など
という単語が出てくる。
(もちろん世界一~というお墨付きもくっつく場合も多い)
 
そうした表現では、商品が優れていることは分かるけれど、
もし自分が使うとどんなメリットがあるのか見えにくいのだ。だから、ここは
サービス精神がほしい。小さいということは、あなたにこんなイイことがあると
イメージさせたい
。それが商品価値というやつなのだ。それが伝わらないと、
欲しいなーとは思わないものだ。
 
たんに世界一とか数値のみで語るより、手のひらサイズと言ってみたり、
上のコピーのように荷物でなくなると言ったり、マックブックエアーのように
A4の封筒に入れてみたり…と使う人の立場にたって、想像力のスイッチを
押してあげたい
。数値や漠然とした表現では想像しにくいことを、
くっきりとイメージさせよう

 
 
ついでにもう一つ。
じゃあ他社にイチバンの座を奪われた場合は?
ウリが無くなったからあきらめる?ギブアップすることはない。
そんな時は戦い方を変えてみる。チャンピオンからチャレンジャーの
戦い方へスイッチ
する。
アウェイで勝てなくても引き分けにして、ホームで勝負するといった感じで。
 
たとえばアウェイのテーマが「小ささ」ならば、その差がわずかであれば、
これ以上小さいことが本当に大切なの?他にもあるんじゃない?と最小ということが
それほど重要でないことを言うとかね。
そして、ほかの優れた点(自社が優位に立てる点)で勝負すればいい。商品選びの
ポイントを他のことにスイッチするとかね。そうして受け手の興味のほこ先をそらす
 
自分の土俵に持ち込んで、競合商品の良さを消し、自分のところの商品の
良さを伝える
方法。これがホームで戦うということ。つねに優位な状況をつくりだそう。
 
たとえ一番と誇れることができなくても、クヨクヨしなくていい。
大きさなんて気にしちゃダメよ、あなたにはもっと素敵なものがあるじゃない♪
と言ってあげよう。(オネエ言葉で)
 
それではマックブックエアーのCMをどうぞ。
シンプルなアイデアながらThe world's thinnest notebook.という
タグライン(キャッチコピー)のイメージが強調されて分かりやすい。

 
 
弱者でも逆転できるコピーのアイデアが大盛り。 

「売る」コピー39の型/有田 憲史

その時、守るか、攻めるか。

<「売る」コピー39の型>を買ってくださった方、その上コメントまで
下さった方、本当にありがとうございます。うれしくて、近所の本屋さんに行って
棚にあるのを取り出し、平積みになっている他の本の上にこっそり置いてきました。にひひ

 
 
アメリカで生まれたシリアル(ケロッグのコーンフレークなど)の
歴史をみると、そこにはアメリカの広告、マーケティング100年の
発達も見ることができる…そんなことをドキュメンタリー番組で言っていた。
 
シリアルが普及するまでに様々なマーケティングが試されてきたのだが、
その方法は今でもよく使われているものばかり。たとえば…
・ベーブルースなど当時の人気大リーガーの写真をパッケージに使う。
・野球場に広告看板を出す(ラジオ中継のスポンサー)
・独自のキャラクター(動物など)を採用。(提案したのは広告代理店レオバーネット)
・当時テレビで西部劇ドラマが人気、それに便乗したキャラクターを使ったり
オマケをつける。
・水曜日お店で店員にウインクすれば無料サンプルを進呈するキャンペーン叫び
…キャラクターやオマケ、昔から変わっていないんだね。
 
店員にウインクというのも笑えるが、これも店頭で合言葉を言うとか
カップルで浴衣姿だと半額で入場とか同じようなプロモーションも
これまたよくやっているし。
フランク・シナトラが性欲促進にシリアルを食べていると言ったことが
記事になり(これはPRの活用?)、さらにヒットしたりもしたとか
 
シリアルは発明されて100年ほど経っているのだが、
その間、砂糖をコーティングしてヒットすれば、
商品名にsugarという言葉を入れたり、砂糖の摂りすぎは
身体に悪いという風潮が出れば、各社一斉に商品名から
sugarを取ったりと、時代のニーズやトレンドに応えながら、
生き残ってきた。
 
砂糖による味付けが、受け入れられなくなると、
鉄分やビタミンといった成分を前面にヘルシーフード
であることを訴求したりと実に、商品のライフサイクルや市場の
成熟度、世の中の空気に敏感に対応
してきたようだ。
 
ひとつの商品、たとえばタバコやクルマの広告の変遷を
みていくと、ライフサイクルやその時々の風潮に
あわせたメッセージになっているのが分かる。

 
広告やPRなどコミュニケーションを考えるとき、
商品とその市場、商品とその業界、商品と社会といった
商品との関係
がどんな状況なのか、いかにそれにマッチした
メッセージを考えるかが肝心。
 
その意味で最近目立っているのが環境保護、
そして安全や安心といった品質に関するもの。
いずれもここ数年の社会の動きやニーズをよく映している。
分かりやすく言うならば、世間の空気を読んだメッセージだね。
次のメッセージも今の商品をとりまく状況をよく表しているなー。
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
「農薬検査」やりすぎだって10年前は言われた。
 
 
英会話学校だって
安心で選ぶ
時代じゃないかな。

 

 
最初のコピーは雪国まいたけ、次のコピーは英会話スクールのイーオンの広告から。
2つに共通しているのは安全・安心の訴求。食品、英会話スクールといえば、
偽装や農薬混入、閉鎖などで信頼を失いかけている業界。
不祥事がなかったら、こういうメッセージの広告は出なかっただろう。
 
安全・安心の訴求は共通しているものの、表現については両者は対照的。
イーオンの言い方はストレート。英会話スクール選びを安心かどうかで
選ばなくてはいけない状況はどうかと思うが、業界に対する不信感が
まだ根強く残っているようならば仕方がない。
 
看板広告ということもあるだろうが、いかに安心なのかについては、
35年の実績という以外くわしくは語られていない。
言ってみればこれは、攻めでなく守りのメッセージ。それでも
知名度のみで選んでいてはヤバイという状況がある中、
安心を訴求することで、新しいイメージを見込み客へ知覚させる
にはいいチャンス
かな。そこまで考えているかどうかは分からないけれど。
 
雪国まいたけのコピーは、この会社らしいと思った。
同社の雪国もやしの「メチャめちゃ高いよ~」のCMに見られるとおり、
ストレートにまじめに言っても目立たない、コピーにもひと手間ふた手間かけたがる
体質があるようで、ここでも表現の強調にこだわり?を見る。
 
「10年前から厳しい農薬検査を行っています。」なんて
普通に言わない。「厳しい検査」を「やりすぎ」と
言い換えることで、厳しさのレベルの表現がぐんと強調される
こういう言葉のセンスは、雑誌やスポーツ紙の見出しに近いよね。
 
このメッセージも中国産冷凍ギョウザのことがなかったら、
発せられなかったかもしれない。
それでも、不祥事などによるネガティブな状況に
(業界の)ピンチは(自社の)チャンスとばかりに攻撃的守備、
あるいは高速広告カウンターで打って出るかで
その先、優位に立つことができるかもというプラス思考で
乗り切るのもひとつの手だ。
(あえて、額面どおり受け取ってもらえない広告で、余計なことを言うのを
控えた方がリスクヘッジとしては有効だという広告人もいる)
 
ところで品質というと、あの有名な広告がすぐ浮かぶ。
DDBが手がけたフォルクスワーゲンの「LEMON.」だ。
LEMONとは不良品のこと。これがキャッチコピー。
 
このクルマは出荷されませんでした~ではじまるボディコピーでは
肉眼で見えない小さなかすり傷やメッキはがれでも見逃さないくらいの
やりすぎ検査をしていること、それがクルマの長持ちを実現していることなど
厳しい検査から生まれる品質について語られている。

見た目では不良品とは思えないビジュアルとコピーのギャップで思わず読んでしまう。
 
VWレモン

 
 
キャッチコピーで「メリットを言え」という。
それは分かってる、問題はどう言えばいいか分からないこと。
そんな時に、コピーの神様を呼ぶ方法あります。
目次はコチラ  

「売る」コピー39の型/有田 憲史

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型から学ぶ、という方法はどうだろう。

今日はちょいと宣伝させて下さいね。
といっても、いつものようにスタート。
少々長いけどお付き合いください。ペンギン
 
型を知りつくして型を破ることは型破り、
型も知らずに勝手に思うままにすると型なし

正確ではないが、ある歌舞伎役者の言葉である。
 
これって歌舞伎などの芸事だけでなく、武道や
作法、芸術やスポーツにも通じると思う。
何か学ぶときに、たいてい基本の型から
入っていくことが多いしね。
 
小学生のころ少し柔道を習っていたのだが、
入門当初は、もう受身の練習ばかり。
畳にバッタンバッタン倒れて受身の型を
徹底的に身体で覚えさせられたものである。
 
技も同じように、何度も同じ基本動作を
繰り替えす。でも実戦では相手がいるので
うまい具合に技はかからない。
だから、技をかけられるよう自分なりに
工夫していくのだ。
 
そういう経験を重ねていくと、いつのまにか
基本の型を応用できるようになるものだ。
それに良くも悪くもその人のクセのようなものが
出て、オリジナリティが宿ってくるのだ。
習い事を経験したことがある方は分かると思う。
 
ミュージシャンやスポーツ選手など一芸に秀でる人を
見ていると、うまい人ほど基本の精度が高い、
すごい妙技も基本型を知り尽くしているから
できるって感じがするんだな。
たまに別次元のところから型破りなものを生み出す
天才もいるけど、それとて因数分解すれば
基本の型が見えてくることがある。
 
昔、あるベテランのコピーライターからコピー上達のために、
自分が担当する商品の分野のコピーを、何度も
英単語を覚えるようにノートに書いたことがあると聞いた。
ワープロ以前の話なので、さぞ大変な労力だったに違いないが、
その業界特有の表現を身体で覚えようとしたのだそう。
 
そういえば、あの有名人も学ぶことの心構えを
このように詠んでいる。
 
 
★今回のビックリマークコピーnot言葉。
 
 
規矩作法守りつくして
破るとも離るるとても本を忘るな

 
 
規矩(きく)作法とは、規範、ルールのこと。
これは茶人の千利休が茶道を学ぶ心構えを説いた「利休道歌」の
中の句。お茶について調べ物をしていたら出会った言葉で、
守・破・離の教え」としてよく紹介される。
 
「守・破・離の教え」とは、かいつまんで言うと次のように
解釈される。(解釈するひとによって少々違いはあるものの)
(=規矩作法守りつくして)」は、ひたすら型を真似して、
(=破るとも)」はその型から脱して、実践したり
他者へアウトプット
すること。
(=離るるとても)」は創意工夫をしてオリジナリティを
磨いて
いく。それでも基本(=本を忘るな)は忘れてはいかん
ということ。
お茶に限らず、学ぶことすべてに通じるよね。
サンキュー、千のリキュ~ル。
 
ところでコピーはどうだ。
コピーライターの方なら分かるだろうが、コピーを教えるのは
案外難しい。どこから教えればいいのか悩むのだ。武道のように
きまりごとや型があるわけでもなく、学びが体系化されていないので、
コピーライターによって教える内容も教え方も違うので、教えを乞う方も
もやもやすることが多いと思う。
 
そこで考えた。「守・破・離の教え」ではないけど、
せめて「守」の部分だけもきっちり学べる方法はないかと。
基本の型を知り尽くしていけば、実践で経験値を上げ
工夫して自分なりにコピーを上達させていけるのでは
ないだろうかと思ったのだ。
 
それで作ったんですよ。
「売る」コピー39の型という本を。
 
本表紙



文字通り、39通りの人も心も動くコピーの
アプローチや表現を解説したネタ本
みたいなもの。
広告やコピーに関する本は数あれど、こういう内容の
ものはなかったと思う。
 
その意味では、いま人気急上昇のテクノポップアイドル、
パフュームと同じように、
ありそうで無かった類の本だと思う。
 
新しい知識だとか、元気になる何かが
あるといったタイプではないけれど、ヌケるエロ本のように
何度も使える
内容に編集した。
 
ベースにしたのは、今までこのブログで紹介したコピーと記事。
50本くらいのコピーを取り上げ、39の「型」に分類して、
作り方・考え方を解説している。カッコよくいえば、
ライティングハックという感じ。
ある意味、ジャイアントキリングのための
コピーライティングってとこです。
 
解説もライティング術にしぼって、ほとんど新しく書き直したり、
加筆して2008年仕様にバージョンアップ&マッシュアップした。
音楽にたとえるなら、REMIXしてデジタルリマスターして
ボーナストラックをつけましたという仕様かな。
 
いつもの与太話やエロ話、サッカー話などは
省いた。(与太話などはブログで楽しんでくださいませ)
その代わりに書き下ろしパートがあります
 
詳しく解説できなったコピーは巻末に、ミニアドバイスを
添えてまとめた。ブログで紹介していない新しいコピーも
たくさん掲載!
150本もある
ので、コピーを考えるときに重宝するんじゃないかな。
 
それと、SNS広告会議室の協力で、一昨年担当させてもらった
コピー塾の添削事例も400本ほど掲載することができた。
初心者がけっこう陥りそうな間違いも分かるので
眺めていると勉強になると思う。
 
10年前、20年前にこんなコピーの本があったらいいのにねー
と思っていた、実用性の高い本に仕上げることができた。
39の型は、昔から使われてきた真っ当な表現やアプローチ
ばかりだし、僕なりにもっと具体的に細分化した型もあるので
実践に落としやすいと思う。
 
まずは「型」をマネして、徹底的に覚える。
コピーライターでないけど、コピーを書かなくてはいけない
人はそんな使い方を。
もう何本か考えなくてはいけないが切り口が思い浮かばないという
コピーライターの方は、ネタとかヒント集として
読むのが、オススメの使い方かなー。
 
ページが折れたり、手垢がつく頃には
コピーライティングのレベルがいい感じに
なっていると思う。
 
おおよそビジネス書とは思えない
楽しい感じの装丁をして下さったのは、
河南祐介さん。
ユル~いイラストを描いてくださった
のは寺山武士さん。オシャレなタッチが持ち味
なのに、イメージ悪くしたりして。

「面白い本にしましょ」とさりげなくプレッシャー
をかけてきた翔泳社・編集者の本田麻湖さん、
みんなで作ったという感じ
 
今やテレビもケータイも薄型流行りということで
大事なことだけをギュッとつめたので軽くて薄いのも特長
紙資源のムダを省いたエコ仕様になっています(ウソ)。

 
 
「売る」コピー39の型
パフュームのNEWアルバムと同じ
本日発売デス!

 「売る」コピー39の型/有田 憲史

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興味ないよ、という方のために
最後まで読んで下さったお礼として
パフュームの「ポリリズム」をどうぞ♪

 

迷える子羊を、導きたい。

 あと10回結婚式したい。
タレントの山田まりやさんが結婚式の
後にこう言ったとか。
「こんなに結婚式が楽しいなんて思わなかった。
死ぬまでに10回はやりたい」とご本人。
山田史上最大のクライマックスだったんだね。
 
ご存知?この言葉と同じような広告のコピー。
 
何度でも、やりたいと、思ってしまった。
 
どのくらい前なのか分からないが、
タカミブライダルの広告。
ビジュアル(写真)は式場に向かう
ため、家(町家風)を出る
ウエディングドレス姿の花嫁。その周りに
祝福する近所の人らしき人物たち。
コピーは、あの仲畑貴志さん。
さすがです。花嫁の気持ちを
ふわっと見事に写しとっています。
 
このコピーは、「コピーのぜんぶ 仲畑
貴志コピー集
」という本で見つけたのだが、
ブログを書くにあたって、パラパラと
ページを繰っていたら、コピーの勉強に
なる例もたくさんありますねー。
 
たとえば次のシャープの
電子レンジのコピーなんて
今でもよく使われる型である。
 
今どき、
どこの電子レンジ
でも、料理はできる。
では、どこで選ぶか。
 
お答えします。
それは「母の手さばきファジィ」です。

 
他にも、「今どき大画面じゃ、いばれない。」
「今どきどこのワープロも慣れれば打てる。」等
テレビ、ワープロ、ファクシミリ…の広告も
この表現。シリーズ展開だったのでしょうか。
 
ところで、この型は今でもよく使われると
言ったが、最近また見つけたのデス!
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
染まらない白髪染めはありません
「ニオイがしない」のは
この白髪染めです

 
 
ダリヤの白髪染めサロンドプロの広告より。
ね、冒頭に今どき~はないけど、アプローチは同じ。
特長を際立たせたり、特長を商品選びのポイントの
ように伝える
という型。
 
今まで何度か紹介してきたアプローチだね。
競合商品が多くて、機能も似たり寄ったりで
差別化を強調したい
場合によく使われる。
 
また、選ぶのが面倒なので、ブランド、
知名度などで選んでしまうお客の意識を
変えさせたい場合、上を行くライバルに
競り勝ちたいときに使える
表現である。
お客はいつでも迷える子羊だから、
うまく誘導させたい。
 
この白髪染めの広告は、よく新聞で見るのだが
時々、表現に変化をつけてくる。
「ニオイがしない白髪染め」という訴求の
軸はそのままだが、たとえば春になったら
こんな表現に。
 
思いきってひとつ明るい髪いろに
「ニオイがしない白髪染め」です

 
この季節らしくひとつ明るい髪いろに
染めませんかとスマートに提案。
オススメ上手な店員さんみたいだね。
お客の気分を狙い撃ちって感じ。
ツボを押さえたコピー展開を考えているようで。
勉強になりますね。
 
ところで商品キャラクターなのだろうか、
タレントのピーターさんがメインビジュアル。
それも「うふふ」とか噴出しついている。
これもツボなのか、それは分かりませーん。
 
 
さて、最初に花嫁さんの話が出たが、
ここ最近、いやずいぶん花嫁ソングって聞かない。
(J-POPでありますか?)
昭和のころはけっこうありました。
しかもヒットしているんだね
「花嫁」「瀬戸の花嫁」「ウェディングベル」など。
ここいらあたりで、花嫁のためのすばらしい
アンセム
を出すと、
ヒットしそうな気がするんですが。
 
昭和の花嫁アンセムといえば、はしだのりひこと
クライマックス
の「花嫁」かなぁ。
花嫁は夜汽車に乗って嫁いでいくという歌いだしは、
もう歌でなく詩になってます。
今聴くとソフトロックっぽい。ではどうぞ♪
時々やるよ、昭和ポップアーカイブ。


 
アメリカでは
ローラ・ニーロの名曲
ウェディングベルブルース」を
フィフス・ディメンションがカバー、全米1位に
なっている。なぜウェディングなのにブルース?
スイートでポップな求愛ソングなんですが。ではどうぞ♪