★コピーライターが思わず ! となったコピー。 -4ページ目

歳末、大放出。

年末年始ってこともあるけれど、
採録したコピーも溜まってきたので、
久しぶりに恒例の(といっても1年以上ぶり)
大放出やります。オモローというより、
実践的なやつを選びました。エロ詩吟の
天津木村さん風に言うと「あると思います」
ってやつです。
 
それではヒア・ウィ・ゴー!
 
☆その1
そのシフトチェンジは、瞬きより速い。

 
BMWのM3の広告より。
瞬きの速さがどんなもんかは分からないが、数値で
リアルに言われるよりそのレベルが分かりやすくなる。
針の落ちる音が聞こえるくらいの静けさとか。
 
☆その2
ヨーロッパの食通は、
オーストリア航空がお好き。

 
オーストリア航空の広告より①
「ビジネスクラス機内食、世界一」という自慢より
客観的な視点から言う方が好感がもてるという感じ。
 
☆その3
オーストリア航空は、
ヨーロッパに早く着く。

  
オーストリア航空の広告より②
ウィーン経由だと欧州100都市以上へ、乗り継ぎは
最短25分がウリなんだそう。それをものすごーく
利用者視点で分かりやすく言うとこうなる。

☆その4
匂いがなければ
もっと食べたいですよ、
カラダにいいし。

 
にんにく卵黄の広告より。
見込み客の感じている、購入へのハードルを
示すことで「あると思います」と共感させ
その商品がそのハードルをクリアすることを
伝える(あるいは匂わせる)。つまり匂わ
ないってことを。
 
☆その5
返信できないと、
「ジュリア」が悲しみますよ。

 
英検の広告より。
ジュリアからのメール(英文)のビジュアルに
このコピー。いったい何事かと物語を感じさせると
無視できにくいんだな。だから目をとめる。
 
☆その6
建て替えて新築の家に住めても、
無理なローンで苦しむとしたら、
幸せとは言えない。

 
へーベルハウスの賃貸収入付住宅の
広告より。
その商品を手に入れないと訪れる
ネガティブな未来を示してやれ!
というゴールデンルールに
リアルなイメージのコンビネーション。
 
☆その7
アラキドン酸
もしこの名前がすぐに記憶できなければ、
あなたには、アラキドン酸(ARA)が
不足しているかもしれません。
 
サントリーの健康食品の広告より。
記憶と学習に関係する成分らしいです。その特徴を
活かしたアイデアがいい。(しかも名前を覚え
させる仕掛けもあるし)商品の必要性に
気付かせるということで(どこまで正確か分からんけれど)
潜在的なニーズを顕在化させたり、ニーズから
ウォンツに変えるスイッチというわけだね。
 
☆その8
年齢肌はかたい。
だから
蒸らして柔らかくする。

 
ドモホルンリンクルの広告より。
問題とどのようなメカニズムで
それを解決するかを示すと説得力が出る。
「年齢肌をやわらかくする」と言うよりも。
 
☆その9
もう、何十年も
待たなくていい。

 
ヤマハのアコースティックギターの広告より。
ビンテージでないと出ない音が出るという
特徴によってもたらされるメリットを
使う人の視点で言いましょう。ということで
「もう~しなくていい」は使えますね。
 
☆その10
日本に、
きれいな女性が増えすぎる
可能性があります。

 
アセロラドリンクの広告より。
ビタミンCとポリフェノールがたくさんと
いう事実でこれだけ夢(デフォルメされても)を
膨らませてあげると関心を持ちますね。
自分を高める、深めるかもという
メッセージは無視できないでしょ?
 
☆その11
事故でパニックのときに、
「明日ご連絡します」なんてあり得ない!

 
ソニー損保の広告より。
これもその4と同じように、こんな商品は
イヤだなぁというというフレーズで
共感させて、「でもうちは大丈夫」と
言うと「24時間365日事故受付します」より
利用イメージがくっきりなって印象も強くなるよねー。 
 
☆その12
海を見たいなら、冬。
海と人を見たいなら、
夏でもいいけど。

 
ANAの沖縄キャンペーンの広告より。
物は言いようという見本。冬の沖縄は人が少ない、
閑散なんてネガティブに捉えられるような
ことをプラス思考で逆転。視点を変えれば、
アバタもエクボ。
平日がお休みな仕事をしている人が
「休日みたいに混んでいないからすぐ入れる」と
自慢する時と似ているよな。
 
☆その13
服と違って体は脱げない。

 
作家川上未映子さんの言葉より。
そのままエステのコピーに使えそうな表現。
ビジネス書ばかり読んでないで小説を読むと、
表現のひきだしが増えるって。
 
☆その14
塾も家庭教師も
なぜ2月に、
決めるのか。

 
家庭教師トライの広告より
なぜ、エグゼクティブはゴルフをするのか?
なぜ、社長のベンツは4ドアなのか?
なぜこの店で買ってしまうのか
なぜ、占い師は信用されるのか?
…最近のビジネス書のタイトルって「なぜ」が
多い。なぜだろう?それはワケを知りたいから。
だから本を手に取る。常套句だけど無視しにくいね。
 
☆その15
よその社長は、
“建設的な”こと言うなぁ。

  
テレビ番組「カンブリア宮殿」の広告より。
この時のゲストは、建設関係の経営者だったのか。
今となっては分からないが、そうだとしたらダジャレ?
 
☆その16
ハッとする帽子(ハット)。

 
山滝製帽の広告より。
これはあまりベタすぎてふつう言わないだろう
という勝手な思い込みを見事に裏切った、
いまどき珍しいダジャレ(というかおやじギャグ)コピー。
 
☆その17
ポール・ニューマンが入れても、
うちの父さんが入れても、おんなじ味でした。
 
ブレンディの広告より。
今年亡くなったポールニューマンを偲んで
昔の広告から採録。
 
☆その18
10年前より、きれいな私。
 
雑誌エクラのアンチエイジング特集の見出しより。
昔の方がきれいとか、若い方がかわいいとか
それは間違いだよな。先日、47歳の石野眞子さんを
テレビで観たけど、アイドル時代より魅力的だったなー。
いや、そう言う話じゃなく、先入観を覆す表現は
いつも引きがありますねってことデス。
 
☆その19
人々を奮い立たせる言葉の力を
甘く見るべきでない。

 
バラク・オバマが大統領選の予備選中(ニュー
ハンプシャー)にヒラリー・クリントンに言った言葉。
コピーも同じですね、人もココロも動かしましょ。
奮い立たせましょ。日本の政治家さんも宣伝会議とかに
通ってコピーライター講座でも受講した方がいいんじゃないか。
 
 
今年もたくさんの訪問やうれしいコメント
本当にありがとうございました。
それではまた来年!(も続く予定として)ニコニコペンギン
 
良い年を!!
 

転ばぬ先の、知恵。

ひとりあたり年間20万円だそうで。
何のことかと言うと、日本の消費者が負担している
広告費らしいです(セールスプロモーションも入れて)。
 
負担しているってどういうこと?
と疑問に思うかもしれないけれど、
広告費というのは、ふつう商品の価格に
含まれる。
 
地上波テレビやラジオを無料で視聴できるのも、
フリーペーパーが文字通り無料なのも、
広告費によって成り立っているワケで、
それは結局のところ商品の値段に乗せられて
回収される
のだ。
 
世の中にタダなんてものはなく
何かを手に入れるためには、僕たちは
何かを失っている。
お金、時間、人間関係…。
無料や安さと引き換えに、商品の購入を通して
広告費も支払っているわけだ。
 
だからお金のかかるタレントを使わないで
いいので、その分料金を安くしろなんて
声が上がる。
 
でも、広告、販促物を通して商品を知ったり、
買ったりすることも多いから、情報取得コスト
と捉えれば少しは大義名分になるかな?
それだけに、アドバイスなど役立つ情報を
教えてほしいなんて思いません?
たとえばこんな感じで…
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
住みやすさを重視するあなた!
返しやすさも
ちゃんと見てますか?

 
 
ソニー銀行の広告より。ソニー銀行の
広告っていつもコピーだけで勝負します!
という広告におけるコピースプレマシー&
アルティメイタムの精神がとても潔いと思うのです。
だからコピーの勉強にはいい参考になる。
 
人の欲望やニーズには、
今すぐの顕在化されたものと、心や記憶の
奥の方に埋もれている潜在化されたものがある。
 
自分のことを考えれば分かりやすいと思うが、
目先のことは意識しているけれど、そうでないことに
関してはおおむね潜在化されているもので、
言われないと気付かないことが多い。
 
しかし、プライオリティを上昇させる
ことができれば、潜在的なものが一気に顕在化し、
欲望がむくむくと起こったり、最優先の関心ごとに
変わったりするのである。そのトリガーのひとつが
広告だったりするわけだ。
 
僕の周りでもネットショップを開きたいなんて
言う人がちらほら出てきて、こういう商品を
売りたいんだと楽しそうに夢を語るのだが、
それで、どうやってアクセスさせるの?と集客に
ついて尋ねると、まだそこまで考えていないとか
どうすればいい?と反対に尋ねられる。
 
店を開くことと、お客さんを集めるのは
同じくらい重要なのに、つい目先のことに
とらわれてしまう。このソニーの広告も
家を買った後のローンという重要なことについて
アドバイスをしている。ちゃんと考えないと
後が大変だよと気づかせている感じだね。
 
あ、そうだった。忘れてた。アドバイス
ありがとう。(でも、その商品を買うか
どうかは約束できないけれど)
 
転ばぬ先の杖、いや先の知恵。
そんなメッセージだったら、
まぁ人生を賢く生きるための情報料と
いうことで負担も仕方ないって
思ってくれない?だめ?
 
運命と思うのも、
ただの広告と思うのも、
自由です。

 
ソニー銀行もこう言ってますし(広告で)。ね?
でも、20万円はなんだか高いよなっ!
 
 
さて、本当に素晴らしい一冊が出たので紹介。
「クルマの広告」。著者は西尾忠久さん。
かつてコピーライター(TCC殿堂入り!)であり、
DDBの広告などアメリカの広告の紹介に

尽力された方です。それも随分前から。
 
現在、「創造と環境」というブログ
毎日更新されていますが、その内容は
圧巻!フォルクスワーゲンをはじめ
エイビスなどDDBの代表的な広告や制作者たちの
インタビュー、その他アメリカのすばらしい広告を
翻訳して紹介している。

 
またご自身の著書なども再録、
絶版で手に入らない貴重な本が
読めるという幸せを手に入れることが
できるんだ。
僕は閲覧するために国会図書館まで
通ったけど、それがネットで読めるとは!
とにかく広告についてのこれだけ
貴重ですばらしいアーカイブを他に知らない。
 
本の話に戻るけど、「クルマの広告」では
フォルクスワーゲンの代表的な広告が紹介され
ている。もちろんコピーも日本語訳されているので
とても勉強になるよ。説得の文章、読ませる文章
のいい例ばかり。
表現やアプローチのアイデアの勉強にもなるし、
なによりビジュアルを見ているだけでも楽しい。
 
そこそこ経験を積んだ時期、それでも僕がきちんと
広告やコピーの勉強をしないといかんなと
あらためて思ったきっかけを作ったのが、
ワーゲンなどDDBの広告でした。
(今でもアイデアを拝借していますし)
 
特に若い人、ぜひこの本や西尾さんの
ブログを読んでください。力がつくよー。

クルマの広告―大人のための絵本 (ロング新書)/西尾 忠久
¥950
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コトバに花を、そしてスゴ味を。

よく物忘れする人に言いますね、「このトリ頭!」なんて。
3歩歩いたらきれいさっぱり忘れてコケコッコ~。
でもね、カラスはお利口だそうで。意地悪した人間のことを
覚えているっていいます。デスノートも持っていたりして。
僕も仕返しされたことありますし。パンチ!
 
ついでに、まったくカラスだけにクロウしますねって
ダジャレも言っておきます。(カラスは英語でcrow、
念のため言っておきますぞ)
 
豚肉を食べるとき 僕はお箸で肉をつまみながら、
この資本主義のブタめ、醜いブタめ!いただきまーす」
と言って敬意を表します。(これはウソ)ブタ
 
イヌ。わんこと言うとカワイイけれど、犬死とか犬侍とか
侮る表現にもよく使われますね。まぁ「わんこ死」なんていえば
ちょっとは侮蔑感が減るような気が。イヌが蕎麦を食べたら
わんこ蕎麦。なんちゃって。あ、失礼。
 
ごますりや腰ぎんちゃくのことを
○○のイヌめ!」と軽蔑したりします。
でもね、警察犬に「警察のイヌめ!」と言っても、
怒んないと思いますよ。「その通りですが何か?」と
吠え返されるのがオチ。たぶん。わんわん
 
野菜はどうかな?
太めの足のことを「だいこん足」と、昔よく言ったもの。
でもね、腹のすわっている人に言ってもあまり効果ありません。
「あら、そんなに白い?」と返され「バーカ」と言われる始末。
 
これも最近あまり耳にしないけれど、叱るときに
「このボケナス!」や「どてカボチャ!」なんて
野菜に失礼なフレーズもありましたね。
ナスやカボチャが聞いたら「なにさ、ポリフェノールも
カロチンもたっぷりなのよ、人間なんてコレステロール
ばかりじゃないの」と噴飯ものですよ。
 
美人のことを昔は、立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹、
歩く姿は百合の花
なんて、粋でイメージしやすい言葉で
言い表したもの。まさに言葉に花、花鳥風月黄色い花
 

それに比べて、チキン野郎(臆病者)、どろぼう猫
金髪ブタ野郎(by泰葉)、イモ野郎等々…と
悪しざまに言うときの表現と言ったら
人間の上から目線というドライブがかかりまくり。

自然への敬意が欠けていますね。
 
なんだか人間ってえらく傲慢じゃないですか?
物事のたとえに、動物や野菜など自然の生き物(それも大そう
世話になっているのに)を使って、言葉にスゴ味をきかせようとする。
でもね、そのくせ大臣なのに空気や漢字が読めないとか、副大統領を
めざそうとする人がアフリカを国名と思っていたりとか…。
まったく、トリのことなんてバカにできないと思うんですけど。
 
そう言えば、そういう人たちの頭のことを
ある野菜に例えたりしますよねー。
なんでしたっけ?
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
「スゴ衣」は、
ピーマン2個分の軽さ。
スゴイあったかい
ワコールの肌着です。
 
 
ワコールの肌着「スゴ衣」というスゴイ商品名の広告より。
商品名にも驚いたけれど、ピーマンにも驚く。
肌着の広告になんでピーマンの写真が?と
思わずクギづけになった。(そこがミソ)
 
ピーマンもね、よく呆れるような失敗をした時や
頭の回転がさえていない時に登場しますよね。
「お前の頭はピーマンか?」なんて。まぁ中身が
スカスカだから、ピーマンの肉づめという料理が
成り立つわけで、世の中持ちつ持たれつってことだよな。
 
さて、たとえにピーマンを持ってくるという
意外性だけに目を向けがちだが、商品の特徴の軽さを
分かりすく表している
ところは、実に基本を押さえて
いるという点で見逃してはいけない。
 
すごい軽いとか、着けていることを感じない軽さ
等と曖昧な表現、あるいは重さ66グラムと数値を
出されても、なかなか想像しづらい
もの。
受け手にすばやくくっきりイメージさせることは、
コピーで大切
なこと。
 
この場合は、ピーマンという比較対象を
引用してそれを実現。
強調したいことは、あいまいな形容詞より
例を挙げたり、具体的に描写して
分かりやすくする
こと。
 
よく分からんなと思われてしまうと(=想像できない)、
スルーされ、商品との間に架けられる欲望のハイウェイは、
工事の途中で崩れ落ちてしまう。
 
たとえ受け手がピーマンな頭であっても、受け手の
想像力増幅装置のスイッチを押すのがコピーの

(そこに使われる言葉)重要な仕事だ。
もちろん、イメージ増幅は早く起動させなければ
いけない。だから自分の知性や受け手の
IQを試すかのような連想テストのような
表現は避けないとね。
 
それと新商品だからでしょう。商品名(スゴ衣)、
ブランド(ワコール)、スゴイあったかい、軽い
と商品を簡潔に分かりやすく伝えている。
そんなものがあるとすればだけれど、
折り目正しいコピーの文法の手本のようで。
 
わずか30文字くらいで上手にはじめましての
自己紹介。1球目は速球ストレートでOK。
(すでに市場に類似商品がいろいろあって
違いが出しにくい状況だと、変化球が必要だけど)
 
なんてことは、何度も言ってきたけれど、
人間も忘れやすい動物だし、僕も時々忘れるんで
今一度、言っておきますよ。
 
これを読んで数分後、きっと「あれ、なんて
書いてあったけ?」と首をかしげるはずだし、
24時間後にはきれいさっぱり消去されているかも。
 
仕方ないですね。
なにせ、きっと僕もあなたもトリ頭ヒヨコでございますから。
 
 
プレゼントおまけ
こんな引っかけがありましたね。
「牛はビーフ、豚はポーク、じゃあ鳥は英語で?」
「チキン!」
「ブッブー、鳥は英語でバードですぅ」
 
 

背中が、恥ずかしい。

君にひとつ注意しておくことがある。
一度しか言わない、よく聞いてくれ。
ゴルゴ13に会う時は、彼の背後に立とうとしないことだ。
彼は野生の獣のような男だ。背後に立たれることが
何を意味するのか知っている。
後ろを取られることはすなわち死ぬことだ。ドクロ
 
たとえ女であろうとも幼い子供であろうとも、
イリオモテヤマネコであってもだ、彼の後ろに
立とうとすれば、裏拳やヒジ打ちが飛んでくる。
そして叩きのめされることになる。
いいか、絶対奴の背中に回ろうとするな。
 
…ということでなく、背中のことを言いたい。
思想家の内田樹(たつる)さんによれば、
日本人の規範としてよく言われる「恥の文化」
について、「みっともない」「はしたない」
「世間に顔向けできない」等と恥じ入らせる
人や世間といった他人は、具体的な
誰それでなく、一種の抽象的な概念だという。
 
そしてその概念が個人の中へ刷り込まれていくと、
誰も見ていないような時でも、内からのまなざしを
意識して、「みっともない」ことをするのを
躊躇
してしまうのだとか。叫び
 
こうしたルールは、長らく日本社会や
日本人を支えてきたし、そのような倫理に
育まれてきた人々は、人が居ようが居まいが
つねに居住まいを正して、芯の通った生き方

してきたのだと内田さんは書いている。
 
たしかに明治、大正生まれの祖父母や
昭和のはじめに生まれた親の世代を
見ているとそう感じることがある。
 
そこで背中。人の視線を意識することで
自分を律する日本人の倫理性をとりわけ
強く感じさせるのがお侍さんで
それは背中に対する意識に表れる。
 
たとえば着物の背についている家紋。家紋は家格を
象徴する大切なもの。それがみっともなく見られるのは
恥ずかしい。だから侍はつねにぴしっと背中を伸ばして
家紋を歪ませることなく居らなければいけない。
猫背などもってのほかなのだ。
 
あるいは刀。刀を差すと左後方に鞘の部分が突き出る。
この鞘を当ててしまうことは無作法のきわみとされる。
当てた方も、当てられた方もただ事ではすまない。
時代劇で侍の鞘に何か当ててしまい「えい、無礼者!」
と侍同士が斬り合うシーンを見たことがあるけれど、
そういうことなんだね。
 
武士は鞘を当てないよう、当てられないよう、
自分では見られない(でも他人から見られる)
背中へも意識を張り巡らせたきたのだと言う。
 
内田さんはさらに背中というセンサーが
機能している人は、身体的感知力が強く、
とくに優れたアスリートはそういう力が
備わっていると、中田英寿さんや中村
俊輔選手(察知力という著書もありますね)
などを例に挙げている。
 
だとすれば、この人の背中も
相当にたいしたものだ。
 
 
★今回のビックリマークコピー言葉。
 
 
苦しかったら私の背中を見ろ
 
 
男前な言葉でしょ。これ、サッカー女子
日本代表(なでしこ)のニッポンの誉れ、
澤穂希(さわほまれ)さんの言葉なんですね。
 
北京五輪中に、同じ代表のMF宮間あやさんにかけたのだそう。
見ろと言ったのか、見てねと言ったのか正確なとこは分からない
けれど、思わずアニキと呼びたくなるくらいの
肝のすわった言葉。試合にかける覚悟のほどが伝わってきます。
 
結果で言えば、メダルに届かず4位(すごいことだけど、
3位との差はかなり大きかったのも事実)で終わったけれど、
彼女たち「なでしこジャパン」の戦いぶりは、とてもすばらしかった。
心が揺さぶられるんですね、いつも「なでしこ」には。
 
彼女たちが注目されたアテネ五輪予選あたりから
見たくちだが、ひたむきで献身的な“あきらめませんわ、
勝つまでは”
という姿勢は、とても好感のもてるもので
たとえほかの国の代表でも応援せずにはいられない。
そんな印象があった。(日韓W杯のアイルランド代表も
そうでした)
 
そんな愛嬌が魅力の「なでしこ」といったところだが、
北京五輪の「なでしこ」には、美しさが加わっていたの
にはハッとした。個の技術と戦術的な部分がずいぶんと
レベルアップして洗練したのだ。しばらく見ない間に
ずいぶんベッピンになったねという感じ。
 
金メダルを獲ったアメリカ代表の監督がこう言ったそう。
これから女子サッカーのお手本となるのは日本。

素晴らしいパスと技術がある」と。うれしいじゃないか。
その言葉が世辞でないことは、五輪後に試合のオファーが
殺到したり、「なでしこ」の選手が今度発足するアメリカ
プロリーグから指名されるなどのモテぶりが証明している。
 
男子と比べて支援体制が脆弱な環境のなか、

「なでしこ」が美しく成長できたのは、男子と違って

継続的に強化できたからだと言う。
めざす姿を据えて、イノベーションを加えてきたのだ。
監督が変わってもブレがない。上積みができたんだね。
 
結果として「なでしこ」が愛称でなく、

愛されるブランドになれたのもそのため。
変わらない<らしさ>があって、感動体験を提供してくれる。
(監督名にジャパンをくっつける昨今流行の愛称は
いかんと思う。無粋だしリセットばかりして迷走するだけじゃない?)
 
「なでしこ」らしさの核となっているのが、いつも一所懸命な強い気持ち。
日本での女子サッカーの環境はとても厳しい。Lリーグ発足当初は良かったが、
その後リーグ衰退やチーム解散など地獄を見てきた。いつも崖っぷち、
だからオリンピックでいい成績を残すことがその後の女子サッカーの
運命を決めることにつながるのだ。
 
前述の宮間選手の次のコメントからそれが伺える。
「男子のプロ選手と自分とを重ねて考えることは、正直できないです。
プロはサッカーをすることイコール生活だから、とらえ方も違うと思うんですよ。
私たちは、男子のように『魅せるプレーでファンを増やしたい』って思うと
同時に『結果を出さないとチームが消滅してしまう』っていう現実も
考えなくちゃならないから……」
 
彼女たちが背負っているものは、つねに黄色と赤が
点滅している女子サッカーの未来。
言い訳しなくていけないようなふがいないプレーは、
死んでも見せられない。
澤選手は直前の合宿でこんなことを言ったとか。
「恥ずかしい試合はできない。仲間の思いも背負っている」
 
「苦しかったら私の背中を見ろ」と若い妹分へ自らの
背中で伝えたかったのは、プレーヤーとしての矜持と
覚悟なのか、「なでしこ」のDNAなのか。きっと両方だろう。
澤の姐さん、あんた相当にカッコよすぎる。
 
そんなタフな「なでしこ」だが、一方で涙もよく
見せるようで、最終メンバーにもれた仲間のことを聞いて
みんな涙で目を真っ赤に腫らしたり、最後の練習時に
これで解散かと感極まって泣いたり、試合前にキャプテンが
ポロリと涙したり
、負けて泣いたりとけっこうな量の涙を
流している。「なでしこ」はかなりの泣き虫、でも弱虫でない。
 
個人的に、お、なでしこと思ったのは、ノルウェー戦での
できごと。接触で倒れたままのノルウェー選手。
ユニフォームがまくれて、背中の半分が剥きだし。
 
そこへ「なでしこ」の選手が近づいて、いかに敵であっても、
人前で肌をさらして辱めをうけるなんて許されないことですわ
と言わんばかりにユニフォームの乱れもとに戻して肌を
隠してあげた。
「みっともない」のは恥ずかしい。そこらへんが、大和なでしこ。

羞恥心の国ゆえの敬意か。
 
新米の頃、上司からこんなことを言われた。
仕事はいつも誰かに見られていると思え
人は仕事、仕事をしている姿を見ていないようで、
けっこう見ている
ぞという。
 
新米だから見られていないと思わないこと、
お前の仕事や立ち振る舞いは、社内の人間はもちろん、
直接関係なくても取引先の人、関係者が見ている
(そして何らか評価される)。
 
だから、あいさつ、電話の受け答え、掃除といった
マナーや日常の業務から、打ち合わせや書いたコピー、

文字校正などの仕事まで、よく目につくことも、
目につきにくいことも、きっちりとやれ、手を抜かずやれ、
一所懸命やれ
という様なことを言われた。
お前の背中はいつもさらされいる、油断するなということだ。
 
他者の視線が、現在だけでなく、未来のお前の
評価や信頼につながって行く
というワケだ。
つまり、わたくしというブランドがどう他者に
知覚されるかということにつながるってことだね。
 
あいにくと基本的にボンクラだったので、
ずいぶんできていないことが多く、よく怒られて
いたけれど、今でもそのことは強く意識し、恥ず
かしくないよう、お客をがっかりさせないよう
努めている(つもり)。
 
それでも、余裕や驕りからヤバイ!とか
アイタタなことをしでかしそうになる時もあり、
その度にこの20年以上も前に言われた

言葉を思い出す。
その意味では、キャリアを積んだ今だから
言葉の重みを昔より感じる
のだ。
 
気がつくと、自分より若い世代と仕事をすることが
多くなっており、それはすなわち若い人へ、人生や
仕事の先輩として背中をさらしているわけで、
思っている以上に自分は見られていることを意識しないと
いけないなと、冒頭の背中の話を読んだ時に感じた。
 
澤選手のように、私の背中を見ろといえる背中に
なっていないのがアレだが、少なくともあんな背中の
人間になりたくないと思われないよう心がけるばかりである。
(たとえ恥ずかしい背中でも反面教師として機能はするか)
 
ところで、あんたの背中はどうだろう?

ちょっと考えてみてよ。
ついていきたい背中、それとも蹴りたい背中?
  


あ、背中にきび、ハッケーン!
デイズオブデッド


アメリカ発グローバルスタンダードとやらにくたびれたら

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫 う 17-2)/内田 樹

¥540
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おまけ

女子サッカーの人気アップは各国共通の悩み。

で、オランダではユニフォームをスカートに。

注目度上昇だとか。こ、これは…すばらしい!

(注:下はホットパンツなので見えません)


女子サッカー




まさしく、金言。

北京オリンピックで、銅メダルをとった日本の
女子柔道の選手が、おめでとうをいうレポーターに
対して、「金以外は同じです」というきっぱりした

言葉で悔しさを表しているのを観て、
以前、やはりオリンピックの水泳で銅メダルを
獲得した女子選手が「金がいいですぅ~」と
悔しそうに話していたのを思い出す。
 
宇宙人「先生、どうして女子アスリートはああも金に
執着するのでしょうか」
ドクロ「それはだね、フェミニズムの影響なんだよ。
男の持っているものには価値がある。女もそれを
持つべきだと思っているんだ」
宇宙人「そこから執着心が生まれると。なるほど。
しかしそれと金メダルがどう関係するのですか?」
ドクロ「ふふふ、ほれ、男には生まれつき付いておるだろうが。
両足の間に金のポニョが。女にはない。だから
執着するのだよ」
宇宙人「…先生、いっぺん死んでみます?」
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
やったぞ、金!
あ、北京の話ではありません。

 
 
総合ディスカウントリサイクルのコメ兵の広告より。
この広告が掲載されたのが、日本の女子ソフトボールが
金メダルをとった日の翌日の新聞。
つまりこの日の新聞には一面からスポーツ欄、社会面まで
このニュースが踊っているという素敵な状態である。
 
なぜ、やったぞ金なのか。それはいま金が高騰しているから。
キャッチに続く「今、金やプラチナが高騰中」という
一文で「やったぞ、金!」のワケが説明されてる。
金を売るなら今が、(コメ兵からすると買取)
ナウ・ゲッター・チャンス!ということである。
 
ビッグイベントに便乗する表現は、アイデアのひとつだ。
(この場合、4年に1回しか使えませんけどね)
ただ、この広告は5センチ×8センチと小スペースで、
同じページや隣のページには同業の高価買取の広告が
あるが、それに比べてもスペースが小さい。
 
スペースが大きな他社の広告を見ると、
即現金払いなどの特長や店舗地図など、
訴求したいことが複数表記されている。
しかし、スペースが小さいから同じような
アプローチはできない。
 
ちびすけが、多くの中で注目してもらうには、
大きな声でジャンプして手を上げなければいけない。
まずは目を止めてもらうこと。そこに注力する。
 
「私もできまーす」と訴えてまず選択の中に入れて
もらうことが第一の目的
である。
それには、忙しい人やぼんやりとしている人に
目をとめてもらわなければいけない。
 
小スペースだと、無難な表現の場合だと
見過ごされる恐れがあるから、奇をてらうような
表現が必要だ。多くのことも言えない。
そこでオリンピックに便乗したという
ことだと思う。
 
金が高騰というタイミングが味方した

とは言え、「やったぞ金」という表現で、
金を売るチャンスと受け手に行動させるよう

動機づけしている点は、小さいのに

しっかりしているねぇと褒めたい。
小さな広告でも表現にドライブをかける
ことができれば威力は大きな広告に負けない。
 
表現としては、奇をてらった感があるけれど、
広告の目的と表現がきちんと一致しているので
作戦としては真っ当な理にかなったやり方である。
 
さてさて、こうしたゲリラ的なアイデアを
人間が体を張ったらどうなるか。
それを実現したのが、あの江頭2:50さん。

 
吉田沙保里選手が金メダルを獲ったオリンピック
女子レスリング55キロ決勝の会場で
金色のコスチュームで観客席にいたところを
テレビカメラが捉えた。

 
 2:50
視聴率32.8%(関東地区)だって。
こちらも「やったぞ、金!」である。
それにしても、江頭2:50さんの
嗅覚の鋭いこと、決定力が高いというか
きっとストライカー体質なんだろうね。

バスに、気をつけて。

前のエントリーで、モーリス・ビンダーという
映画のタイトルバックデザイナーについて、
ちょっと書いてみた。
そのついでと言うわけではないけれど、
アノひとのことを忘れていません?なんて
言われそうな、アノ大物のことを
今回はお知らせしたいと思う。
 
広告とタイトルバックデザインについての
後編という感じで。
今回もね、やっぱりある広告がきっかけに
なったわけ。前回の「いいちこ」の広告のときと
同じようにね。
 
それで、きっかけとなった
広告っていうのがコレなんだな。
 
 
★今回のビックリマークコピーデザイン。
 
 
hp02
 
 
日本ヒューレットパッカードの広告より。
昨年あたりから、よく見られる同社のキャンペーン、
“THE COMPUTER IS PERSONAL AGAIN.”
一連の広告のひとつ。
本社アメリカでは、一足先に始まっていた模様。
 
このデザインを見たときに、たぶん年配の
デザイナーの方などは、おや!と思ったのでは
ないかな。(それに映画好きもね)
だって、アノひとのタッチを思い起こさずには
いられないデザインじゃない。
 
ここで、ようやくアノひとの登場だ。
アノひとの名前は、ソウル・バス
ああ、昔そんな黒人歌手が出てくる歌番組が…
なんてギャグはもはや通用しない。
いや、それはソウルトレインでしょ。
バスでなく、トレイン!という解説まで
つけないとわかんないよねー。言わなきゃヨカッタ。
今なら、韓国のバス会社?なんてツッコミますか。
 
ソウル・バスもやはりビンダー同様、
グラフィックデザイナーが出発点で、
企業のロゴなどを数多く手がけている。有名どころでは
AT&Tやコンチネンタル航空、日本企業では
ミノルタ(現コニカミノルタ)や紀文、味の素
など。
 
でも、僕個人としてはバスは、映画のタイトルバック
やポスターのデザインの名手。とくにサスペンスの神様
アルフレッド・ヒッチコック監督とのコラボは有名だし、
バスの名を知ったのもヒッチコック映画から。
斬新なタイトルバックのデザイナーとして有名に
なったのは、オットー・プレミンジャー監督作品の
「黄金の腕」や「或る殺人」からなんですけどね。
 
それで次のデザインをちょっと見てよ。
「黄金の腕」「或る殺人」のポスターなんだけれど、
シルエットのタッチやフォント(文字)のスタイルが
よく似ていると思いません?ヒューレッドパッカードの
ビジュアルと。
 
bass01
 
bass03
 
それで、ヒューレットパッカードは
(ね、似ているでしょ)
hp03

 
バスのデザインって当時の目では、モダンで斬新。
今の目ではちょっとレトロ。でもどこかワクワク
させるし、シャレていると思いません?
ちょっとバスが手がけたポスターをココ
見てみましょう。
ざざっとスクロールしてとくとご覧あれ。
 
俳優の顔や映画のシーンをほとんど使わず、テーマ
を表現していく
方なんですね、
そこらあたりは多くの企業のCIを手がけて
いたデザイナーらしい
なと。
 
 
ヒッチコック作品の中では、これが一番好き
「北北西に進路を取れ」縦線横線が段々と…
最後に出てくるバスに
乗り遅れるおっさんはヒッチコック。
もう、おちゃめサンなんだから。

 
 
バスっぽいレトロな味だけど、バス作品よりも
洗練した感じのデザイン。クンゼル&デガの作品。
「キャッチミーイフユーキャン」

 
ソール・バスの世界

¥2,953
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セクシーよりも、ぷるるんでございます。

谷村奈南が冒険王でG乳ぷるるん生ライブ!
 
久しぶりに更新したと思ったら、またエロネタですかい!
とツッコミたいあなたの気持ちも分かるのでございますが、
役に立たない話でもないので、まぁまぁしばらく
お付き合い願いたいのでございます。
 
わたくし、この谷村奈南さんを存じ上げません。
が、この見出しを見て思わずクリックしたのであります。
エロオヤジの端くれとして、いやいや端よりもう少し
真ん中寄りではございますが、本能に誠実に応えたので
あります。
 
さて、この見出し、8月13日のサンケイスポーツの
ネットニュースから。同じ出来事でも
媒体によって表現は次のように異なっているのが
面白うございます。
 
たとえば、朝日新聞‥
谷村奈南Gカップ揺らしながら新曲熱唱
日刊スポーツでは‥
女子大生歌手谷村奈南がGカップ最大露出
中日スポーツでは案外と大人しく‥
谷村奈南、セクシーダンスで3000人悩殺
 
デイリースポーツはちょっと変化球‥
谷村奈南 ポロリ寸前!?早着替え
毎日新聞も同じように‥
谷村奈南:どっきり舞台で生着替え
 
…とまぁズラリと並んでいるわけですが、
あなたなら、どの見出しに引かれるでしょう?
ファンであれば、谷村奈南という名前があれば
反応するのでしょうが、ファンでない人や
名前くらいしか知らないなんて人は、
どうしましょうか?
 
わたくしの場合、「ぷるるん」「Gカップ最大露出」
なんて言葉に反応したのでございます。
エロごころがピクッと動いたわけであります。
中日スポーツの「セクシーダンス」ぐらいでは
年季の入ったエロごころは微動だにしないのであります。
ええ、ええ、ピクリとも動きません。
 
お分かりでございましょうか、セクシーという
なんとなく分かるが、イメージしづらい言葉より、
ぷるるんと揺れるGカップという具体的な言葉
の方がイメージがくっきりと目に浮かぶのでございます。
 
デイリースポーツの「ポロリ」も悪くはないので
ございますが、「寸前」という言葉が見たくなる
寸前に躊躇させるのであります。はい。
これが、「あやうくポロリ」だと期待感もモッコリ
するんではないかと思うのでございます。
 
モッコリ、いやいや食いつきのよいコピー
は、想像力を増幅し、イメージをくっきりさせる
のであります。そういう表現にするためには、
あいまいより、具体的な言葉を選ぶ。
これ、セオリーのひとつ。
覚えていただきたいのでございます。
 
と、ずいぶん前置きが長くなりました。
まぁ、ここで終わって続きはWEBで、ではなく
次回へとも考えましたが、次回は気が変わって
別のことを書いてしまうかもしれないので
ございますから、もう少しお付き合い願いたい
のであります。
 
エロねたで始まりましたので、引き続きエロで
行きたいと思うのであります。
 
 
★今回のビックリマークコピーデザイン。
 
 
いいちこ
(画像はクリックで拡大できまーす)
 
 
三和酒類の焼酎<いいちこ>の広告でございます。
(画像はiichiko DESIGNより拝借)
ご覧ください、この気持ちのいい美しい風景。
これのどこがエロなのと不審に思うかもしれませんが、
これがあるのです。いいですか、画像に顔を近づけて
この画像のやや左下のいいちこのボトルを見てくださいよ。
そして右の目を隠して左だけで見てくださいね。
ほーら、見えてきませんか。
上のほうにヌードの女性のような…
 
 
なんて見えるわけないのです。ウソつきました。
ごめんなちゃい。では、気を取り直して。
…まぁまぁあなた、そう怒らないで。
 
わたくし、このポスターを見かけたときに
思ったものです。あ、バーバレラだ!と。
バーバレラ、ご存知でしょうか?
映画のタイトルです。もう古い映画であります。
間の抜けたお色気SF映画なのでございます。
 
それで、なぜわたくしがそう思ったかと申しますと、
ポスターの右下をご覧ください。
…今度はウソつきませんよ、ご安心ください。
右下にいいちこの文字iichikoが
パラリとまかれたようにデザインされてますね。
文字によるデザイン、タイポグラフィなのでございます。
 
これを見た瞬間に、思い出したのがバーバレラの
タイトルバック。映画の出だしのことでございます。
テーマ音楽にのって、出演者やスタッフの名前が
登場するシーンであります。
 
それで、バーバレラのタイトルバックでありますが、
これがまたエロなのでございます。
どんなシーンかと申しますと、無重力ストリップ
なのであります。詳しくは下に映像を貼っておきますので、
ごゆるりとご鑑賞いただくとして、かいつまんで
ご説明をいたします。
 
宇宙服を着た何者かが、宇宙船らしきものに
戻ってくるころから始まります。室内は無重力状態、
当然その何者かはふわりふわりと浮いているのであります。
そして、おもむろに服を脱ぎはじめます。手袋から
一枚一枚と脱ぎだすのでございます。
 
同時にソフトロック調の歌が流れ、やがてヘルメットから
顔が現れるのでございます。なんとそこに見るのはブロンドの
キュートな女性なのでございます。彼女こそがバーバレラ、
演ずるのは若きころのジューン・フォンダであります。
 
ふわふわと宙に浮かびながらバーバレラは服を脱ぎ、
スッポンポンになるのでございます。もうR-18なので
ございます。ハァハァなのでございます。
そのバーバレラの裸身にからまるように、
出演者やスタッフ名のアルファべットがこれまた
ひらひらと無重力遊泳するのであります。
 
このデザインがたいへんすばらしい。くわえて
エロなのでたいへんたいへんすばらしいのであります。
カメラワークもエロオヤジのねっとりとした
なめるような視線で、作ったデザイナーも
さぞかしエロな方だと想像に難くないのでございます。
 
その作った張本人でございますが、名前は
モーリス・ビンダー。有名なタイトルバックデザイナー
なのであります。有名な作品といいますと、映画007
のタイトルバックでしょうか。
 
シリーズのほとんどを手がけているようで、
ボンドガールのイメージなんでしょうが、やたらに全裸、
半裸姿の女性やそのシルエットがわらわらと登場する、
女性の体に文字や映像が映し出されるとか、やっぱり
なめるようなカメラワークとかどこかエロオヤジの
ねっとり感があるのでございます。ま、一言でいうならば、
やらし~のであります。
 
聞くところによりますと、なんでもビンダーさんは
007のタイトルバックのためのヌードモデルのオーディションも
自分で行ったとか、わたくし、昔その演出風景のひとコマを撮った
写真を見たことがあるのでございますが、ジェームズ・ボンドは
服を着ていましたが、モデルはスッポンポンだったような覚えがあります。
スッポンポンが大好きですね。このオヤジ。
そうでないと、バーバレラのアイデアなんぞ浮かぶものではございません。
 
もともと女性好きだとか言われているので
ございますが、不思議なことに生涯独身だったのであります。
すでに亡くなっていることをいいことに、さんざん
エロオヤジ呼ばわりしていますが、さすが広告デザイナー出身
だけあって、グラフィックセンスは面白い。
 
それがいかんなく発揮されてるのがシャレードのタイトルバック。
洒落怒(しゃれいど)と書くと、何か別のこわい団体名のようですが、
これはオードリー・ヘップバーンの映画なのでござます。
ここにはエロのエの字もございませんが、幾何学的なモチーフと
楽しい色使い、まさしく好色といった感じの作品なのであります。
これも下に貼っておきますのでごゆるりとお楽しみください。
 
いいちこのポスターを見て、バーバレラを連想する
こと自体が、ふつうではありえないのでありますが、
これも、エロオヤジならではの目のつけどころと
いいましょうか。
 
いやらしい、キモいなー、下品だなーと思いつつも
ここまで読んだくださったあなたも案外エロい人
ではないかと、そう思うのでございます。
おやおや、話がずいぶんと長くなりました。
今日はここいらで失礼させていただきます。
では、ごめんなすって。
 
 
☆タイトルバックの傑作!「バーバレラ」より
わたくし、このシーンだけ見たいがためにDVDを購入。
いつもタイトルバックだけ観ます。デザインはモーリスビンダー

 
 
☆これまたビンダーの傑作「洒落怒」いや「シャレード」より
最初、一瞬ぎょっとするかもしれませんが。

 

ワタシはコトバ、オシャレもしたいの。

そのとき、テレビから聞こえてきた言葉に、
おや、洒落たことをいうじゃないかと思わず反応。
テレビの中で料理研究家は、こんなことを言ったのだ。
「ナスの瑠璃(るり)色が‥」とね。
 
その言葉につられて画面に目をやると、
そこには揚げられたナスがお皿にお行儀よく
盛り付けられている。ナスの色がでもなく、
ナスの青色がとか紫色でもなく、瑠璃色なんて
言うもんだから、なんだかナスが油の照りと
も相まって艶っぽく見えてしまう。
 
面白いもので、これが言葉のマジックというのか、
化粧と同じように言葉にもすっと紅を引いてあげると
あれ、不思議。ベッピン度が増すもんです。口紅
「お、ナスの姐さん。今日は一段と艶っぽいね」
「あら、そう。うれしいことを言ってくれるじゃないか。
新しい紅をつけてみたのさ。ま、これから食われて
しまうんだけどね、ホホホ」ってな感じで。
 
たかがナス、されどナス。
ナスがままに(←はい、ココ笑うとこグッド!
写実しても伝わるし、理解もできる。
でも、ナスの色は青紫と言い切ってしまえば、
どこまでいっても青紫。そこから想像は広がらない。
 
ところが、瑠璃色というと(瑠璃色がどんな色彩か
分からないと困るけど)、脳内にほわんと趣が
立ち上り、ナスの色が艶やかに見え、美味そうに
感じてしまう。少々大げさですが。
 
伝われば十分という類もあるけれど、
読み手の脳内を刺激する、想像を広げるような
言葉で表現する心意気は大切にしたいじゃないか。
とりわけ広告のコピーにはそれが必要なんだけど。
 
ということで、どうでしょうか。
ナスの次は、ニンジン。一本でもニンジン。
ジンジンジン、僕らはニッポンジン。
(注:別に変なクスリはやっていません)
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
一年に一度の贅沢です。
まろやかに甘い、
冬にんじんのしぼりたて。

 
 
通販限定のカゴメの「冬しぼり」の広告より。
ここのところ、山椒のような小粒でもぴりりと
辛いコピーが少ないので、半年前の広告を
引っ張り出した。
 
それで、「一年に一度の贅沢です」という表現が
いやにベッピン言葉なんだな。このフレーズがなくても、
冬季限定とか旬のおいしさ、数量限定なんて言葉が
使われているので、言いたいことは伝わるし
マーケティング的引きもある。
 
でもね、一年に一度の贅沢という表現が
伝えたいことの価値を最大にしているように
思えてくるわけ。商品のモノとしての希少性の
価値は分かるけれど、それを味わうコトの価値まで
感じさせ
、想像させればもっと欲しくなると思いません?
 
モノの希少性を、旬のおいしさを味わう喜びという
コトへと拡大して言ってあげることで
イメージをくっきりさせる
というのかな。
 
それを「贅沢」という平易な言葉で表している
ところが良いんだね。
日々の暮らしの中で、大きな贅沢は無理だけど
小さな贅沢ぐらいは楽しみたいやねと思うのが人情。
 
丑の日には奮発してウナギを食うぜとか、昔の
我が家のように「お父さんのお給料が出たから、
今日は奮発してビフテキよ!」
なんて奮発したくなる力があるんじゃないかなと、
一年に一度の贅沢という言葉にはさ。
 
でも簡単な言葉だから、簡単にできそうだと
思ってしまうかもしれないが、案外難しい。
限定とか旬を、年に一度の贅沢へと変換するのは、
けっこう頭使いますよ。それでも、普段何気なく
使っている言葉にヒントがあったりするから、
耳をすませておこうよ。
 
ところで、ナスの色についてだが、
調べてみると茄子紺というそのまんま
ナスがまま(←はい、ココ笑うとこグッド!)な
言葉もある。他にも濃い青色系では紺青、
群青、藍、褐(かつ)、紫色系では紫紺、
濃紫、暗紫色、江戸紫などと
実にいろいろな言葉がある。
 
まぁこじゃれた言葉を使えばいいというわけでなく、
話すにしろ、書くにしろ伝えたいことの価値や意味、
そのイメージを最大化するという努力は
忘れたくないもの。
言葉の使い方ひとつで、うまみが引き出されたり、
ベッピンになるわけですから。
スゴイとかカワイイとかビミョーとかヤバイだけで
おおむね通じちゃったら味気ないじゃありませんか。
 
音譜ワタシはコトバ、おしゃれもしたいの。
 
 
そういえば、この人の歌には
「Mr.ブルー」とか「パープルタウン」とか
ナスの色味に近い色の名がついた、ヒット曲が
多いことに気づく。もっとも有名なのは「みずいろの雨」。
そんな色したナスはないけどさ。
オジサンは「思い出は美しすぎて」や「夜間飛行」が好きです。
(昭和ポップ・アーカイブその2)

みんなの不安は、蜜の味。

アメリカの大統領予備選でのバラク・オバマの躍進に
便乗して、勝手応援なる運動でちゃっかりと全国へPRした
福井県小浜市のことをニュースで見ながら思ったものだ。
 
うまいことやりよるな。それなら、僕も思いつく。
月に一度の火曜日の大セール
“スーパーチューズデー”はどうかと。
ところが、近所の商店街やスーパーではそんな
イベントをやっているふしは全くなく、つまんないなー
とふてくされるわたくし。
 
もし、この秋の大統領選挙で共和党のマケインが勝てば、
どんなに不利でも負けいん!とマケイングッズを
考えると売れるかなとほくそ笑む。
 
こういう商売のやり方を、世間では便乗商法と言う。
別に卑怯な手ではないのだが、どうも他力本願というか、
人のふんどしで顔を拭く 相撲をとるようなやり方が
ネガティブな印象を与えるようで評価されにくい。
 
まぁクリスマスセールだって便乗商法だとは
思うのだが、きっと「便乗」や「商法」という言葉が
マイナス印象を作っているのではと思う。
そうならば、最近ビジネス書のタイトルや金融方面で
使われているカタカナを使ってはどうか。
 
で、考えたのがレバレッジ商法。レバレッジというのは
テコのことで、小さな力(資本)でもテコの原理で大きな
力(リターン)をもくろむイメージとしてはOKな感じ。
「商法」もセールスやマーケティングに差し替えれば、
なんとなく格好がつく。少なくともネガティブな印象はなかろう。
 
でも、レバレッジ・マーケティング。それは何?と

聞かれれば、簡単に言えば便乗商法だよと

答えた方が分かりやすいのが悲しい。

 
分かりやすさVSカッコよさ、ま、どうでもいいですが
世の中の状況や空気をレバレッジすれば、メッセージも
強くなるかもしれないなー。
(簡単に言えば、世の中の空気に便乗しろやということで‥)
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
バター不足の折ですが…。

 
 
北海道の菓子メーカー六花亭の広告より。
創業75周年の広告なんだけど、いきなり
「このたび当社は~」なんて定型的なことでなく
バター不足という誰もが痛感している、世の中の
状況から語りだすところがミソ

 
その中で、あくまでマーガリンなどの
代替品を使わずにバターにこだわると言う。
そうでないと今まで守ってきた味が変わるから。
 
それは分かるとして、もしバターが手に
入らなくなったら、確保している分だけしか
お菓子を作らないと言う覚悟には驚く。
逆風にさらされてもなんとか変化に対応していく
のが生き残る道なら、こだわりに殉ずるのも
のれんを守る道
か。
 
これってアメリカ産牛肉にこだわった
吉野家と似ていますね。
以前、吉野家が倒産したとき、コストダウンのために
フリーズドライの肉や粉末のつゆを使ったため、
味が落ちてますますお客が離れていったのを思い出す。
お客は、ごはんに牛肉の煮込みがかかったドンブリでなく、
吉野家の牛丼が食べたかったんだね。
 
話を表現に戻すと、世間の状況や人々が感じている
(に違いない)ことを添える、あるいは便乗する

いうことで、メッセージを読ませる力やその中味に
対する共感を強める
ことができる。
 
バター不足のことが冒頭にあるから、
すわっ値上げかとか大変なことが起こるのかという
関心を引き込むフックの強さも含めてね。
 
オリンピックがあるので、大型液晶テレビを売ろう!
というタイミングをいかした便乗商売と同じように
広告のメッセージもタイミングをテコにすれば
強さも増幅されるというもんだ。
 
最近の広告を見ていると、そういう表現が目につく。
たとえば、JR西日本のエキスプレス予約の広告では、
 
なんでも値上がりの時代ですが、
せめて出張や観光はおトクに。

 
なんて言っているが、値上がり続きの今
(そしてそれをメディアが盛んに取り上げる今)
だからこそ、おトクなネタがいつもより際立ち

つい目がいく
世の中のすべての商品が値上がりしている
んじゃないかという錯覚も作用するけど。
 
その風は、ある商品にとっては向かい風かも
しれないが、ある商品にとっては追い風
となるわけだ。
原料高騰のいま、パンにとっては向かい風でも、
お米(ご飯や関連商品)にとっては追い風だろうし、
車の広告でも今まであまり訴求してこなかった燃費の
良さを強調するというのもひとつのアイデアかもね。
 
世間の空気という状況によって、どのように
商品価値が切り取れるか。それをどういう表現で
最大化させて伝えるか。
バター不足や値上がりの時代という言葉を
使うのもまたひとつのアイデア。

 

まぁ世の中の不安は蜜の味ということですか。
最近はエコばかりだけど、ピンチはチャンス、
向かい風に便乗、いやレバレッジを効かすこと
だってアリなのだ。
 
ところで、ここ最近の値上げラッシュ。
僕らのアイデアや制作のフィーも値上がり…
という噂をなぜか聞かない。
物価の優等生といわれる卵だって値上げするのにだよ。
あ、もしかして僕たちはニワトリ以下ってことですか?
ああ、そうですか。そうですか。むかっ
 




空気やタイミングを生かす表現とは?

「売る」コピー39の型/有田 憲史
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このままでは明日はない、試してみるかい。

君は銀行強盗に失敗した。おまけに逃げる
ところを警察に撃たれて舗道に転がっている。
撃たれた腕がずきずきと痛む。仲間も
全員やられたようだ。
 
逃げるかそれとも…考えあぐねていると
やけに背の高い男が君に近づいてきた。
ゆっくりと落ち着いた足取りで。
男はでかい斧のような銃を持っている。
そして君の前に立つと、銃を向けて話しだした。
 
「考えてるな。六発撃ったか。それとも五発だけか。
俺も夢中で撃ったもんだから分からない。
だが、こいつは44マグナム、世界一強力な銃だ。
こいつで撃たれりゃ、オマエの頭はきれいに吹っ飛ぶ。
よく考えろ。ついているかどうか、試してみるかい?
さぁどうだ、チンピラ」
 
君は考える。自分のショットガンはすぐ手の届く
距離にある。もし男の銃に弾が残っていないのなら、
チャンスはある。
しかし、1発でも残っているのなら自分は撃たれる。
そして死ぬだろう。
 
人生は選択の連続だ。それからは逃げられないことを
君は知っている。だが、今日はツキがない。
このまま大人しくすれば、治療もしてくれるだろう。
ム所のなかでもなんとか生きていけるかもしれない。
君は現実的な判断をくだすことにした。
誰も負け犬なんていわないさ。
 
そんな君の考えを見抜いたのか、男はショットガンを
拾い上げるときびすを返しはじめる。
君は男に問う。それでどうなんだ教えてくれ?
男は再び君の前に立ち、銃口を向ける。そして、
撃鉄を起した。恐怖が走る。男は引き金を引いた。
 
君は観念した。が、聞こえたのは
銃声でなく、カチっと撃鉄が倒れる音。
そこで君は弾は残っていなかったことを知る。
たぶん男は分かっていたのだ。君は笑いながら
去っていく男の背に毒づいた。
だが、それは同時に弱気な判断を下した
自分への罵りでもあった。
 
運命の女神は、いくじなしには冷たい。
失敗しても助けてくれない。そのくせいつだって
人の人生を弄ぼうとする。どう、試してみる?
現状維持に未来はないのよ。
 
どうやら広告の神は、
運命の女神と親戚のようである。(ウソ)
 
 
★今回のビックリマークなコピー。
 
 
君はいま「どこまで行けるか」を
試すこともできるし、
試さずに過ごすこともできる。

 
 
河合塾の広告(ポスター)より。
冒頭にあるとおり、映画「ダーティハリー」の中で、
刑事ハリーキャラハンは、手負いの銀行強盗の一人に
上のようにDo you feel lucky ?(さぁ運試しして
みるかい?)と問いかける。
今が運命の分かれ道、君の明日はどっちだ?というのは
映画の話だけでなく、広告のアプローチにもある。
 
この時期だから、夏期講習の広告なんだろう。
この夏がんばるかい、それとも何もしないで終わるかい
と選択肢を示す。どちらを選んだほうが良いのか
分かりきったことである。
 
それでも言うのは、躊躇している君の肩をポンと
押すため
だ。こわくて飛べない。大丈夫、飛べるさ。
飛ばなくても変わらないなんて幻想だ。飛ばなければ
ずるずる落ちていくばかりだ。その時、飛ばなくちゃと
思っても、すでに手遅れかもしれない。飛ぶなら今しかない。
そう言って、やり手の店員のようにクロージングをしかける
 
1ドル送ってイボ痔を治すか、1ドルケチってイボ痔と
暮らすか。
」なんてコピーがその昔あったそうだがそれと同じ。
この商品を手に入れて快適になるか(or不満を解消するか)、
それとも何もしないで我慢するか(それはつらくない?)

いう商品を手に入れないことで被るかもしれないデメリットを
感じさせるアプローチだ。
 
家賃を払い続けても、永遠に家は手に入らない。同じ金額を
支払うなら、いま家を買った方がよくない?なんて
アプローチを不動産の広告で見かけるけどこれも同じだね。
50才になって始めても遅くはないが、お金も手間もかかる。
45才くらいで始めれば…なんて言い方は健康関連方面かな。
 
内心はあなた、手に入れないとソンですよ。だから買って!
と思いながらも、表情には出さずにあくまでクールに語りかける。
ちょっと突き放す感じ
で、押し付けがましくなく。
 
川を渡るなら、水かさが増えない今この時に飛び込むしかない
と言えば、前向きな人間なら(そんな心理状態なら)思わず
行動するだろう。時には銃口(言葉やビジュアルで)を向けて
決断を促すことも。ココロ動かし、ヒトも動かせ。
 
なぁ、あんた。どのみちこのままでは明日はない。
それは遅かれ早かれやってくる。
いまがタイミングなんだ。運を試してみないか?
 
 
冒頭のシーンのもとになった
「ダーティハリー」の有名なシーン。このシチュエーションは
ラスト、連続殺人鬼サソリを追い詰めた時にも出てきますが…